烈日―東京湾臨海署安積班

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 278
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758411660

感想・レビュー・書評

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  • 安積班シリーズは短編の方が好きだと改めて痛感した次第。

    個人的には、長編は警察小説では定番の謎解きを、
    短編は謎解きよりも係の中の人間関係や心中の葛藤を味わう、という
    2種類の醍醐味が用意されているような気がしている。
    相楽班が異動してきて、更に水野巡査部長の着任という大きな変化を受けて
    これまでの短編集以上にヒューマンドラマの側面が際立っていたように思う。
    いっそのことカテゴリも『お仕事小説』に入れちゃおうかと思ったくらいに。

    原作にはなかったキャラクターが映像化を受けて原作にも登場する場合
    どうしても演者のイメージが被ることが多いのだが(ガリレオの柴咲コウさんとか)
    今回の水野真帆巡査部長はいい意味でそれを裏切ってくれた。
    黒谷友香さんもかっこいいのだが、この本の中の水野さんとはちょっと違う。
    男所帯の中に異動してきたばかりの浮き上がり感とか
    ドラマでは描きようのなかった部分が巧く働いているのかもしれない。
    彼女が徐々に安積班に馴染んでいく過程を読むのが、この先の楽しみとなった。

    記者の山口友紀子さん視点の『開花予想』が読んでてグサグサ突き刺さった。
    普段なら気にならない言葉なのに、弱ってるときに投げられると傷ついてしまったり
    そういうときだからこそマイナス思考に囚われてしまう心の動きがよく判る。
    読んだタイミングもあるのだろうが、自分の心を読まれてるような気がして怖かった(笑)。
    最後に安積班の面々の前で泣いてしまう友紀子さんと
    泣いてる友紀子さんを見て慌てる安積さんと
    『泣かせちゃダメじゃないですか』と茶化す安積班の面々。
    その関係性が素敵だな、とちょっと泣けた。変な話だけど。

    他に村雨さん視点の話がひとつと、桜井くん視点の話がひとつ。
    村雨さんの話は、例えは悪いけど報われない片想いをしてる人みたいで
    読んでて気の毒になってしまった(笑)。
    桜井巡査の話は、帳場でコンビを組む退官直前のベテラン警部補がカッコいい。
    桜井くん自体も『最前線』の頃に比べて成長した姿が見て取れてよかったなと。
    (シリーズがここまで長くなるとつい保護者目線で見てしまうという/笑)
    桜井くんが意外としたたかだというのがそれこそ意外だったけど。

    意外と、といえば意外だったのは『厳冬』での相楽警部補だった。
    対抗心剥き出しで横槍要員なのは相変わらずだが
    意外と嫌なヤツではないのかも、と思わされたのがなんとなく悔しい(爆)。
    風邪ひきネタで1話成立しちゃう辺りもすごい。

    全編通して速水さんの存在感はすごかったと思う。
    要所要所で核心を突くことを自信たっぷりに言い放つのがかっこいい。

    大袈裟かもしれないが、安積班シリーズの中でこの本がいちばん面白かった。
    起こる事件は切ないけど、読後感に暖かいものが残る。

  • やっぱり文句なく面白い安積班シリーズ。
    今回から新メンバーの美人刑事も加わり、登場人物にも厚みが出てきた。しかし、現実はどうなんだかわからないが、ここ数年で小説では女性刑事が増えた。

  • ドラマの影響がけっこうあからさまに出てきているような…水野登場なんてその最たるものですけど、彼女が元鑑識という設定をドラマより上手く活かせているあたりは流石。あとキャラの肉付けをより明文化してくれているらしい?ところも、色々と思うところがあったのかしら、とか。
    とにかく問答無用で完全無欠にかっこいい速水さんに、ドラマでの傷つきがちょっと癒された思いです…(ほろり)

  • 短編集。ドラマのオリジナルキャラ水野刑事が原作に逆輸入される。
    転校生が入ってきてちょっと気になる安積班の面々。その中で水野がだんだん馴染んでいくのがドラマでは描かれなかった部分で楽しい。

    だんだん安積班の面々とドラマのハンチョウのキャラが被ってきた。昔は別物として読んでいたのに…でもそれも悪くないと思う元原作ファンがここにいる。

  • 新顔 海南風 開花予想 烈日 逃げ水 白露 凩 厳冬 の8編収録

    水野が安積班に参加する「新顔」、山口友紀子の葛藤を描いた「開花予想」、桜井の成長を描いた「白露」などを収録

    安積班は事件を追う刑事たちの人間模様がメインのシリーズで。この烈日ではそれがより一層はっきりと描かれている作品です。

  • 話によって視点が違っているので、それぞれの思う安積班が垣間見れて面白かったです。
    一番好きだったのは表題作の『烈日』。黒木と桜井のいない、ために村雨と須田コンビという安積班はなんか新鮮でした。村雨視点。
    普通に警察ものとして、桜井視点の『白露』も良かったです。ベテラン刑事と若手の話。
    そして速水さんは相変わらず。『逃げ水』といい『凩』といい『厳冬』といい、良い。
    今回から女性刑事が安積班に加わりました。ドラマからかな。元のとおり男だらけで十分おもしろいんだけど、件の女性刑事の水野は意外にするりと馴染んでるような気がする。アイドル扱いでもなく、肩肘張ってるでもなく、入ってくる側だけでなく受け入れる側にも違和感や戸惑いがあって、少しずつ波紋が薄れてまた凪いだ水面に戻るみたいな描き方に、やっぱり今野敏はうまいなぁ、と思わされます。

  • 今野敏さんの本大好きです。ドラマの「ハンチョウ」をみてこれは…!とおもいました。

  • 安定して面白いけど、もう少し盛り上がりも欲しいところ。 安積班に新しい女子が加わったのはなかなかよかった。それにしても 登場人物が「恋に落ちたり」しないでホントによかった^^;

  • 2011.01.12 読

  • 人間関係の参考になる。一生懸命で周囲の人を気にかける人がリーダーになるということ。

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著者プロフィール

今野 敏(こんの びん)
1955年北海道三笠市生まれ。上智大学文学部新聞学科在学中、「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。大学卒業後、東芝EMI入社。ディレクターと宣伝を勤める。主な担当は、TMネットワークの前進バンド『スピードウエイ』。宣伝では、オフコース、甲斐バンド、チューリップなどニューミュージックを担当。1981年、同社を退社、作家に専念。
2006年『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞を受賞。2008年『果断 隠蔽捜査2』で、第21回山本周五郎賞、第70回推理作家協会賞を受賞。
2018年は「作家生活40年」のメモリアルイヤーで多くの特集が組まれている。2018年7月、任侠シリーズ最新刊『任侠浴場』を刊行。

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