烈日―東京湾臨海署安積班

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.76
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本棚登録 : 354
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758411660

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず安定の読みやすさである安積班シリーズ。安積班シリーズは長編より短編の方が好きかも。

    今回は新顔・女性刑事水野が登場。


    「みんな、私のことが苦手みたいですね」
    「みんな…?」
    「おまえさんは、まだ異分子なんだよ」
    「異分子…?」
    「警察がどういうところが知っているだろう。いまだに強固な男社会なんだ。俺たちはそれに慣れている。今まで、俺たちの班は男ばかりだった。それでうまく回っていた。そこに女性警察官がくるだけで調子が狂うもんだ」
    「邪魔者ということですか?」
    「そうじゃない。まだ、俺達の方がどう接していいか分からずにいるんだ」
    「女性も男性も関係ありません。私は警察官です」
    「実際問題は、そうはいかない。俺たちは男で、おまえさんは女だ。今回の事案だって、男と女の問題がなければ起きなかったことだ。警察官は現実主義でなければならない。男女の問題は厳然として存在するんだ」
    「私は、どうすればいいんです?」

    「今のままでいいと思う。そのうち、みんな収まりどころをちゃんと見つける。そのとき、おまえさんは、俺たちの本当の仲間になれる」

    安積の最後の一言カッコいい!

  • 4.6
    安積班シリーズを読み重ねてきて、ちょっと飽きてきたかなー、という絶妙なタイミングで新しい登場人物が増えました。女性刑事ですが、このおかげて話の展開に変化が出てきて、面白く読めました。
    相変わらず、内心ぐちぐちと考えるハンチョウですが、まあ自分も似たようなところがあるよなと、妙に親近感湧きます笑笑
    そのくせ、周囲には信頼されて尊敬されているのが羨ましくもあり、自分もそうありたいと思い、仕事頑張ろうと活力をもらえたりもします。

  • 短編集でした。村雨さん、桜井さん目線のお話が読めて良かった。最後のは、そこまでの大病ではない気がするんだけど・・・それでも、そこまで感じ入ってしまうのが安積さんなのかもしれない。彼の気遣いというか、気にしすぎな所に 苛立ちを感じる事もあるシリーズだけど、速水さんの言葉を読むと、もしかすると、私も若干そういう所があるからなのか・・・と思ってしまった。相楽さんへの感情も改善してきていて、次もまた楽しみです。

  • 安積班シリーズは短編の方が好きだと改めて痛感した次第。

    個人的には、長編は警察小説では定番の謎解きを、
    短編は謎解きよりも係の中の人間関係や心中の葛藤を味わう、という
    2種類の醍醐味が用意されているような気がしている。
    相楽班が異動してきて、更に水野巡査部長の着任という大きな変化を受けて
    これまでの短編集以上にヒューマンドラマの側面が際立っていたように思う。
    いっそのことカテゴリも『お仕事小説』に入れちゃおうかと思ったくらいに。

    原作にはなかったキャラクターが映像化を受けて原作にも登場する場合
    どうしても演者のイメージが被ることが多いのだが(ガリレオの柴咲コウさんとか)
    今回の水野真帆巡査部長はいい意味でそれを裏切ってくれた。
    黒谷友香さんもかっこいいのだが、この本の中の水野さんとはちょっと違う。
    男所帯の中に異動してきたばかりの浮き上がり感とか
    ドラマでは描きようのなかった部分が巧く働いているのかもしれない。
    彼女が徐々に安積班に馴染んでいく過程を読むのが、この先の楽しみとなった。

    記者の山口友紀子さん視点の『開花予想』が読んでてグサグサ突き刺さった。
    普段なら気にならない言葉なのに、弱ってるときに投げられると傷ついてしまったり
    そういうときだからこそマイナス思考に囚われてしまう心の動きがよく判る。
    読んだタイミングもあるのだろうが、自分の心を読まれてるような気がして怖かった(笑)。
    最後に安積班の面々の前で泣いてしまう友紀子さんと
    泣いてる友紀子さんを見て慌てる安積さんと
    『泣かせちゃダメじゃないですか』と茶化す安積班の面々。
    その関係性が素敵だな、とちょっと泣けた。変な話だけど。

    他に村雨さん視点の話がひとつと、桜井くん視点の話がひとつ。
    村雨さんの話は、例えは悪いけど報われない片想いをしてる人みたいで
    読んでて気の毒になってしまった(笑)。
    桜井巡査の話は、帳場でコンビを組む退官直前のベテラン警部補がカッコいい。
    桜井くん自体も『最前線』の頃に比べて成長した姿が見て取れてよかったなと。
    (シリーズがここまで長くなるとつい保護者目線で見てしまうという/笑)
    桜井くんが意外としたたかだというのがそれこそ意外だったけど。

    意外と、といえば意外だったのは『厳冬』での相楽警部補だった。
    対抗心剥き出しで横槍要員なのは相変わらずだが
    意外と嫌なヤツではないのかも、と思わされたのがなんとなく悔しい(爆)。
    風邪ひきネタで1話成立しちゃう辺りもすごい。

    全編通して速水さんの存在感はすごかったと思う。
    要所要所で核心を突くことを自信たっぷりに言い放つのがかっこいい。

    大袈裟かもしれないが、安積班シリーズの中でこの本がいちばん面白かった。
    起こる事件は切ないけど、読後感に暖かいものが残る。

  • やっぱり文句なく面白い安積班シリーズ。
    今回から新メンバーの美人刑事も加わり、登場人物にも厚みが出てきた。しかし、現実はどうなんだかわからないが、ここ数年で小説では女性刑事が増えた。

  • 話によって視点が違っているので、それぞれの思う安積班が垣間見れて面白かったです。
    一番好きだったのは表題作の『烈日』。黒木と桜井のいない、ために村雨と須田コンビという安積班はなんか新鮮でした。村雨視点。
    普通に警察ものとして、桜井視点の『白露』も良かったです。ベテラン刑事と若手の話。
    そして速水さんは相変わらず。『逃げ水』といい『凩』といい『厳冬』といい、良い。
    今回から女性刑事が安積班に加わりました。ドラマからかな。元のとおり男だらけで十分おもしろいんだけど、件の女性刑事の水野は意外にするりと馴染んでるような気がする。アイドル扱いでもなく、肩肘張ってるでもなく、入ってくる側だけでなく受け入れる側にも違和感や戸惑いがあって、少しずつ波紋が薄れてまた凪いだ水面に戻るみたいな描き方に、やっぱり今野敏はうまいなぁ、と思わされます。

  • 今野敏さんの本大好きです。ドラマの「ハンチョウ」をみてこれは…!とおもいました。

  • 長編は基本的に謎解き、事件解決に対して短編は心理面の話。
    それぞれ湾岸署の人たちが日常を通してどのように考え過ごしているのか。
    警察官(刑事)の仕事小説。
    それぞれ考え方や価値観が違えど少しずつ同じ地域を担当していくことで一体感が生まれてくるのかなと思う。
    どの人も根っこの部分は悪くなく警察官として全うな考えかた価値観の人たちだなと思う。実は今野小説のファンになってから町の周りさんを見かけて心の中エールを送っています。

  • 安積警部補シリーズ 第14弾
    ベイエリア分署復活編 第7弾

    8つの短編作
    ・新顔
    ・海南風
    ・開花予想
    ・烈日
    ・逃げ水
    ・白露
    ・凩(こがらし)
    ・厳冬

    短編の面白さがとてもよく出てる作品だと思います。

    安積班に須田の初任科同期で、女性巡査部長・水野が登場する「新顔」

    村雨の視点から安積班を表現した「烈日」

    嫌味なキャラの相楽が、安積の良きライバルな一面も見せてくれる「厳冬」

    捜査員一人一人の成長や、人物像の良さが伝わってきます。

    この班のつながりや、信頼関係が羨ましくなるような読後感でした。

  • ドラマ「ハンチョウ」で人気の「安積警部補シリーズ」の最新作。短編集です。もったいなくて、一日一編ずつ読んでました。ドラマ版のオリジナルキャラであった女刑事・水野さんがついに原作登場!ドラマで水野を演じる黒谷友香さんを思い浮かべて読むと、楽しさ倍増。安積さんを蔵之介さんが演ると聞いた時は「ビミョー」と思ったものでしたが、今は慣れましたね。蔵之介さんは舞台やってた頃からのファンですが、安積さんも思い入れのあるキャラだったので。

  • 刑事もの。短編集。事件よりも刑事同士のライバル意識や信頼などが中心に書かれている本。
    登場する刑事がクセはあるけど、みんな良いやつ。
    人情ものの警察小説かな。

  • 安積班の捜査に対する情熱。

  • 安積班シリーズの短編集
    久々に今野敏の本をよんだ、やはり面白い。
    又、図書館で予約しなくちゃ!

  • 安積班シリーズ。これは短編。
    語りの目線が、いつもの安積班長だけでなく、ほかのメンバーや記者目線もありました。
    「開花予想」が特によかったな。
    繰り返し登場する人物も把握できてきて、さあ脳内準備OKです。

    タイミングよく、安積班の(たぶん)一番古いのが図書館に到着したようです。そこからまた読んでいこうと思います^^

  • 新・東京湾臨海署になってから初めての短篇集。
    庁舎が新しくなり、係の人員は増えても安積の悩みの種は尽きません。

    ドラマのオリジナル刑事だった水野がついに登場。
    これは新戦力だ!と有り難がると同時に心配も抱えてしまうところが安積らしい(笑)

    ところでこの巻を読んで相楽の印象が変わりました。性格の違いはあれど芯は安積に似てる相楽。安積も認識を新たにしたようですが、これからもうんざりする場面はあるんだろうな

  • 短編です。

    安積班のメンバーの個性が出てて面白く読めました。

    班長がTVシリーズより少し人間臭いです。

  • 水野が加入。

  • なんとなくほのぼのした警察物

  • 県立図書館より。
    今まで読んだものとは少し味はひが違ふ。執筆時期の違ひか。
    悪くはない。
    舞台は同じで短編集の体裁。読みやすい。
    --
    久しぶりに読み返してみた。
    今回は市立中央図書館より。
    なかなか味はひのある短編集である。
    p.152 「炎天下の中」といふ表現がある。
    これは妙だ(*^_^*)。「炎天下」が既に炎天の下(もと)といふ意味だからだ。
    あと、何箇所か出てくるが、この人は「一生懸命」と書かない。「一所懸命」と書くのだ。これは正しい。

  • 安積班シリーズの短編集。最近再放送が有った『安積班シリーズ』大ファンである水野刑事(黒谷友香)登場の巻。TVドラマ「警視庁神南警察署」オリジナルだった水野刑事が原作にもデビューした。イメージは黒谷友香さんがピッタリで、新しいシリーズで安積が警視庁に移動してしまい登場しないのが残念。安積の同期で親友速水小隊長率いる交機隊の活躍する「凩」が面白かったがドラマ化されていない。古いシーリーズから読み直したい。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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