- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758411912
作品紹介・あらすじ
『800』『夏のこどもたち』の著者が贈る、海辺の養護施設・愛生園を舞台にした「ワケあり」な少年少女たちの物語。
感想・レビュー・書評
-
「14歳の世渡り術」で推薦されていたので、読んでみた。
少し内容も描写も目を背けたくなるようなところがあるけれど、逆にそこなのかなぁ、と思った。14歳に薦める理由。
愛生園に住む色んな背景を持った子どもたちは、幸福とは言い難い。けれど、現実にはもっと悲惨な状況の子どもたちもいる。
同じ年頃の大半の子どもたちは、そういう事が世の中にある、という事は知っていても、リアルに想像することなんてまずできない。
本を読むことのメリットのひとつは、現実では知り得ない不快感情を体験するという事、と考えると、
英雄譚や冒険物語を読むのと同じくらい、目を背けたくなる物語を読む事も、子どもの成長を促すものかなと思った。
後半、恵まれない時代を経て、なお微かな希望にまっすぐに向いてる子どもたちの姿に、色々言われた愛生園でもやはり肯定される存在なんだろうなと思わされた。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「児童養護施設に送られてきた不遇な子どもたちが作り上げる世界。それは鬱屈して、錯綜して、不安に満ちているけれど、それだからこそ、そこから生まれる希望は初々しくリアリティがある。逆境に生きる子どもたちの物語。」
「川島誠は、現代社会のどこかに置き忘れたような場所に住む子どもたちを大胆に、やさしく、正々堂々と、細やかに描いていく。やりきれない虚しさ、くやしさ、怒りが充満する空間で、いくつもの物語がほかの物語とからみあい、何人もの子どもたちが交わるうちに、驚くほど豊かな感情が芽生えていく。暗そうな設定の作品なのだが、決して暗くない。それどころか、吹っ切れた爽快感がある。」
(『10代のためのYAブックガイド150!2』ポプラ社 より抜粋) -
複数の登場人物の一人語りで進む構成は好み。
-
児童養護施設、愛生園で暮らす子どもたちの生い立ち、暮らす理由、心身の傷。
客観的なセリフで淡々と語られ、余計ツライ。 -
金原瑞人が絶賛していたので読んでみた。YAにおすすめとなっていたが、どうかなあ。私なら高校生でもおすすめはしないな。
実際に虐待されている子どもは読みたくないだろう。普通の子どもが読むにはちょっとハードすぎるし、世の中を知らない子どもが施設で暮らす子どもに偏見を持ってしまいそうなのも気になる。いくら孤児院(児童養護施設)とはいえ、親から性的虐待を受けたり、親が人殺しだったり、食事も与えられないほどのネグレクトだったり、母が売春婦で殺されたり、あまりにも凄すぎないか?小さい施設の割には。両親が離婚したけど引き取れないとかもうちょっと普通の子がいてもいい気がするけど。
子どもたちの友情はなかなか感動的だけど、施設の大人たちの個性が殆ど感じられないのは何だか平面的な感じがする。『青空のかけら』の方がずっといい。
子どもたちの将来に明るさがあまり見えないところも子ども向けとは言えない。
大人が読むなら特に問題ないけど、すごくいいかと訊かれると、そうでもない。 -
神は、その子をお与えになるほど、この世を愛されたのです。
柔らかい頭で読んでほしい。かわいそうな話ではない。あまりに小さい頃に読むと、わからないかもしれない。でも、中学生くらいで読んでほしい。子どもが生きていくうえで、必要なものは何なのだろうか。居場所? -
愛生園で暮らす子どもたちの様子、なぜ愛生園に来たのか、自分の親や周りの大人たちのことが、子どもの目線で書かれている。
-
#読了。連作短編集。児童養護施設(孤児院)の愛生園を舞台に繰り広げられる少年少女の物語。もちろん家庭に問題があるから、このような施設に子どもたちは来るわけだが・・・今一つ共感できず。