- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758412032
感想・レビュー・書評
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都会の片隅。限られた人間しか知らないバー。
それ存在自体が秘密であるかのようなバーで、一人の老人が語るのは、第二次大戦時の外交秘中の秘。
聞き手である僕と、語り手である津村老人。
この二人が語り合う舞台が、お洒落すぎる。舞台配置が素敵すぎる。
歴史回顧の舞台としてバーって、似合いすぎです。
聞き手の僕が、キャッキャしていないのが、いいのでしょう。本心、躍り上がってしまうぐらいの高揚感なんでしょうけどね。
誰もどこにも知られていない、当事者しか知らない真実を、本人から知りえる幸運。
なんて素敵。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
知らない話が多かったせいもあるが歴史的事実をベースに、フィクションの部分もリアリティを感じながら読めた。続編、それも長編で読んでみたいと思った。
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連作短編集。
柳広司の「D機関シリーズ」の結城中佐が外務省嘱託の砂谷に取って代わったような感じ。史実と上手く絡ませ、戦前、戦中の外交政策の裏側を見ているかのようで面白い。ただ、砂谷が一体何者か、という謎はタイトルで丸分かりなのが惜しいところ。 -
●は引用、他は感想
ライトノベルのような読みやすさだが、結構な重さの内容を本文に消化、昇華させていることは、巻末に挙げられた参考文献で明白である。
狂言使い(ホームズ)と狂言回し(ワトソン)が、過去と現代でイレコ構造になっている。
御前会議の聖断で、昭和天皇は阿南陸相に”泣くな阿南。朕には(国体が守れる)確信がある”と言ったといわれる。この確信とは何だったのか。今まで読んできた本でも、阿南陸相への配慮、海外短波ラジオ傍受による自信などが挙げられている。個人的には、天皇には独自のエージェントによる情報源があったのではないかと思っていたのだが、まさしく本書の主人公がそれである。
●「そこで、数年前、亡くなった牧野から、砂谷氏の活躍を聞いたわたしは、まことに心苦しいことながら、この困難な国際社会に日本が復帰するにあたり、もう一度働いていただけるよう陛下にお願いたてまつり、ご同意を得た」
→臣吉田茂を彷彿させる話。作家兼歴史研究家の肩書は偽りが無いようである。 -
秘密裏に行われた戦争中の外交駆け引きについて、引退した外交官が語るというストーリー。
初読みの作家。 -
赤城毅さんの、実体験に基づいた体の、酒場談義(と言ったら身もふたもありませんね・・・。)
「今明される太平洋戦争の謎の数々」、という感じの短編集です。
太平洋戦争に知識があれば、より楽しめると思います。
ですが、赤城さんの筆力で、知らなくても、もちろん楽しめます。
代理人は誰なのか、予想の少し上を行く回答が待っていました。
実在の人物か否かは置くとして、ホームズ・ワトソンみたいな掛け合いが楽しい一冊です。