あい

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 538
レビュー : 109
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412087

感想・レビュー・書評

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  • 実在した人物の伝記的な小説。
    幕末から明治にかけて生きた医師・関寛斎の妻・あいの生涯。

    君塚あいは貧しい村に生まれ、塾を開いている伯父の妻・年子に織物を教わっていた。
    蘭方医として修行している伯父夫婦の養子と縁組が決まる。
    怖い伯母の年子に見込まれての親どうしが決めた結婚ですが、あいはいぜんに垣間見た少年に好意を抱いていました。
    若い夫は寛斎と名乗って医院を開くが、患者は身内しか訪れない。無医村だった村に、蘭方医は新しすぎたのですね。

    銚子に移り、豪商・濱口梧陵に見込まれて長崎に留学することに。
    人の援助を受けることをためらう夫に気づいたあいは梧陵を訪ねて真意を聞き、夫を叱咤激励して送り出します。
    家のためにと渡されたお金には手をつけないで暮らすとは、偉すぎる‥
    幕末にはいたかもしれない女性?!

    徳島の藩医として迎えられ、主君の信頼を得るが、そこでもまだ周りは蘭方医に偏見がありました。
    あいは真面目で頑固な夫をあたたかく支え続け、やがて12人の子供にも恵まれるが、その半数を病でなくす悲しみも。
    寝込んだままの妻をしかったと藩主に話したときに、見損なったと一括されるのが印象的。

    寛斎は成功した身分となりましたが、貧しい患者からは金を貰わない。
    戊辰戦争の際には野戦病院で、敵味方の区別をつけずに献身的に働く。
    長男とは何年か疎遠になるが、そのいきさつも夫婦の関係を物語っています。
    73歳になって寛斎は北海道開拓を思い立ち、離縁して行こうとする。
    あいはついて行くと言い切り、支えようとするが、病で倒れてしまうのだった‥
    後悔する夫に「わたしはあなたが開拓する村の木にいる、どこにでもいる」と。

    この時代にこの年齢で北海道へ行くのは正直、無謀に思えましたが。
    Wikiなどでちょっと調べたら~私財を投じて広い地域を買っての開拓というのは、ものすごい理想家だったんですね。
    開拓した土地には関神社が建っているとか。
    苛烈な性格も、傑物ならではなのでしょう。

    寛斎のことは詳しい資料が残っているけど、あいについては「婆のほうが偉かった」という寛斎の言葉ぐらいで、そこから想像で膨らませた内容。
    この一言に、あいの包容力と二人の夫婦愛を感じました。

    • nico314さん
      sanaさん、こんにちは!

      昨日、待ちに待ったみおつくしシリーズ最新刊を手に入れました!!
      待っている間、高田さんの他の本も読もうか...
      sanaさん、こんにちは!

      昨日、待ちに待ったみおつくしシリーズ最新刊を手に入れました!!
      待っている間、高田さんの他の本も読もうかと考えながら、結局手に取りませんでした。
      これも、よさそうですね!
      他にもおすすめがありましたら、教えてください。
      2013/06/16
    • sanaさん
      nico314さん、こんにちは☆

      コメントに気づくのが遅くなって、ごめんなさい!
      最新刊、もうお読みになったのですねーいいなあ♪

      「銀二...
      nico314さん、こんにちは☆

      コメントに気づくのが遅くなって、ごめんなさい!
      最新刊、もうお読みになったのですねーいいなあ♪

      「銀二貫」「出世花」もいいですよ~。
      みをつくしがやっぱり一番好きではありますけど。
      あとエッセイの「晴れときどき涙雨」もオススメ!
      2013/06/24
  • 上総の貧しい私塾の養子として育てられ、苦学の末に蘭学を学び医師となった関寛斎。
    徳島で侍医として取り立てられ、戊辰戦争では敵味方なく治療にあたり評価されるも、
    医療を金儲けの道具とすることをよしとせず、自らの病院では貧しい者も
    分け隔てなく治療する。
    そして晩年、北海道の原野を開拓することを夢みて、北海道に渡る。
    そんな関の信念を理解し、不服を言うことなく最期まで連れ添った妻あいの物語。

    芯が強く、苦難の中にも歓びを見出す主人公あいは、高田さんの筆致とぴったりで。
    こういう時代ものを読んでいて、破天荒な夫に連れ添う奥さんの強さと従順さには
    毎度「昔の女の人はすごいな」と思わされる。
    「支え合う」というより「支える」。
    自分で選んだ連れ合いでなくても、このように尽くし人生を捧げられるなんて。
    不服の多い自分を振り返ってあかんなぁと思いつつも、どうやったらそういう
    境地にいたれるのでしょうか。

    ただ、他の方も書かれているように、幼少から晩年までを1冊でまとめているのでかなり駆け足。
    何度も転居し、貧しさの中でも子どもが12人生まれ、そして不幸も続く。
    みをつくし料理帖のように、じっくりシリーズにしていたら、もっと深みが
    出るのに少しもったいないなぁと思いました。

  • 幕末の赤ひげ先生・関寛斎の奥さんのお話。芯の強い女性も高田郁が書くとふんわり優しい印象。人の一生を一冊に纏めてるので端折ってる感は否めない。いつも食べ物の描写が良すぎて気づかなかったけど、四季の描写もお上手なんだなぁ。

  • わたしの本棚でかなりの高打率を誇る高田郁さん。
    今作は実在の人物の一生を描いたもので、時代も江戸末期から明治時代、場所も房総半島・四国・北海道と、ずいぶん趣の違うものでした。

    内助の功で夫を支える女性の一生なので、タイプは違うものの
    「みをつくし」や「出世花」の手に職を持ち自立した女性と通じるまっすぐな心根を感じました。

    ただ、正直言うと、ちょっともったいない感じかな。
    関寛斎先生の立派な志や、あいの深い愛情、
    幾たびも困難や不幸にもめげずに前を向く姿には心を打たれるのだけど
    次の段落で一気に数年後になってたりするので、なかなかついていけず
    子だくさんなこともあり、段々把握しきれず少々めまぐるしかったです。
    端折られ感が随所にあって、もうちょっと細やかな描写があればもっとよかっただろうに・・・という思いが残ります。
    後半は年表を読んでいるようでね・・・いい話なんだけどね。

  • 二人の生き様、夫婦の在り方に心打たれました。
    生きる勇気をもらいました。
     「人たる者の本文は、眼前にあらずして、永遠に在り」

  • 関寛斎という実在の人物の婦人「あい」に焦点を当てた物語。
    関寛斎は一介の百姓のせがれから、苦労を重ねて医者となり、徳島藩の藩主の侍医となり、武士の身分を手に入れるまでになった。
    そんな寛斎を、陰に日向にただひたむきに支え続けるあいは、江戸時代の女性にしては珍しく、ただ夫に黙って使えるだけではなくて、進路に悩んだり、ためらったりする夫に、きっちりと自分の意見を述べる強い女性。
    人々の厚い信頼を得て、士族の身分まで手に入れて、子供たちも立派に育て終えて、ゆっくりするのかと思えば、なんと蝦夷地の開拓に行くという。
    無医村に医者として行くというのならわかるが、その老体で、いまさらなぜ鍬を振るわなくてはならないのか・・・
    それでも、あいはその考えに賛同して、ついて行くのだ。
    二人の、清すぎるそして真っ直ぐすぎる生き方に、私は少し息苦しさを感じた。
    人間臭いところがないのだ。

    今回はあいの目線で書かれた物語なので、寛斎の思いが今一つ感じられなかったが、寛斎については、徳富蘆花や司馬遼太郎が書いているらしいので、機会があればそちらも読んでみたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「私は少し息苦しさを感じた。」
      高田郁の作品は、どれも生真面目。。。
      「私は少し息苦しさを感じた。」
      高田郁の作品は、どれも生真面目。。。
      2014/02/27
    • カレンさん
      nyancomarusさん、お久しぶりです(^_^.)
      >高田郁の作品は、どれも生真面目。。。
       わかっております。わかっております  ...
      nyancomarusさん、お久しぶりです(^_^.)
      >高田郁の作品は、どれも生真面目。。。
       わかっております。わかっております  が・・・もうちょっと肩の力を抜いてほしい、寛斎とあい。
      2014/02/28
  • 内容紹介
    齢73歳にして、北海道開拓を志した医師・関寛斎。藩医師を経て、戊辰戦争における野戦病院での功績など、これまでの地位や名誉を捨ててまでも寛斎は北の大地を目指した。その彼を傍らで支え続けた妻のあい。幕末から明治へと波乱の生涯を送った二人の道程を追う歴史小説。妻の視点から描く、歴史の上に実在した知られざる傑物の姿とは――。そして、二人が育んだ愛のかたちとは――。高田郁が贈る、歴史小説にして最高の恋愛小説! ! 愛する事の意味を問う感動の物語。

  • 蘭医師・関寛斎の妻“あい”自身は歴史に何か貢献して名を残したわけでもない、ただの賢夫人。きっと歴史の陰でこういう賢夫人は知らないだけで多く存在したのでしょう。こうも真っ直ぐで堅実な誠心誠意の生き様に胸打たれました。“あい”の持って生まれた賢さや前向きさも然ることながら、“あい”の母“コト”も、表面の厳しさで誤解されがちな年子伯母さんの真の心を見抜ける素晴らしい人であったと感心しました。

  • 久しぶりに夢中になって本を読んだ気がします。
    永遠に在り!

  • 作者の一本筋の通ったところを感じられる作品。欲のない姿、やるべきことに一途に邁進する姿に憧れます。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「一本筋の通ったところを」
      損するタイプですよね、でも人前に出ると、恥ずかしがりの裏返しのような感じです(って、2度ほどお話を聴きに行った...
      「一本筋の通ったところを」
      損するタイプですよね、でも人前に出ると、恥ずかしがりの裏返しのような感じです(って、2度ほどお話を聴きに行っただけですが)。
      2014/04/23
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