愛しいひとにさよならを言う

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.40
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本棚登録 : 158
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412117

作品紹介・あらすじ

生まれたときから父親はいない。絵画修復家の母と、近所に住む母の年上の友人・ユキさんに育てられた。幼い日のわたしは、わたしたち三人が家族だと知っていた。家族という言葉は知らなかったのに。わたしは愛に飢えることもなく、三人のしあわせな日々がいつまでも続くと信じて疑わなかった。あの日がくるまでは-。十八歳の少女が辿ってきた様々な出会いと別れを描く、切なくも瑞々しく心ふるえる書き下ろし長篇。

感想・レビュー・書評

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  • どんなに心を通わせていても、家族以上に家族の様な存在であったとしてもそれぞれがしがらみを抱えて生きている限りさよならを言わなければならない時がある。
    戸籍上の家族と言うだけで、血のつながりがあるだけ離れられない宿命。
    戸籍上の家族でないと言うだけで、別々の道を生きなければならない理不尽さ。
    男女間の恋愛話だったら結婚して新たに家族になると言う選択がある。
    しかしこれが男女間、もしくは同性の間の友情だとしたら・・・。

    主人公の“いつか”は父親のいない家庭に生まれた。
    絵画修復士の母と家族以上に母娘を支えるユキさん。
    母の友人である“チチ”。
    そして血のつながりのある祖母。
    彼らの出会い、繋がり、別れが淡々と静かに語られる。

    祖母がいつかと母の人生に暗い影を落とすようになるのだが、祖母もまた不器用な人だったとも見える。
    作者は祖母の生き方を批判しているとも思えない。
    あえて祖母の言葉の刺を浮き彫りにする事で、家族の関係性の難しさを描いているのだと思う。

    ユキさんが親子と助けるくだりや、チチとのあっけない終わり方は納得いかない部分もあった。
    それでもなお家族とは何か、友情とは何か改めて考える良いきっかけにはなった。

  • 不思議なテイスト。母子家庭で、育った女性の主人公が自分の生きてきた物語を語っていくお話。

  • タイトルそのまんまの物語。
    大切な人との別れを経験しているなら、いつかちゃんの気持にシンクロできると思う。性別も年齢も違う俺なんかでもグイっと入れ込んでしまって…

    ユキさんやチチとの幸せな生活描写が凄くいいんだけど、この物語の真骨頂は祖母と過ごした日々の描写。いつかちゃんが味わう、小さなストレスが蓄積してボディブローやローキックのように効いてくる時のヒリつくような痛みが可哀想でホント哀しくて。こういうヤな奴っておるよねぇ、近くに居たくないよねぇ。

    石井睦美さん作品を初めて読んだけど、この方児童文学で有名な方なんですねぇ。勉強不足でしたが、知らずに読んでも掘り出し物の傑作でした。

  • 日経の書評で★5つがついていたので読んでみたのですが。。。ごめんなさい、私にはちょっと理解不能な部分があって、話にうまく入れませんでした。

  • 『「我慢、できる?」と、母は訊いた。 ・・・ 「我慢、できないか」と、ぽつんと言った。我慢できないわたしが悪いのだろうか。こころがささくれだつ。せめて、我慢できないよね、と言ってほしかった。ユキさんに会いたかった。』言い方ひとつで世界は残酷にも変わってしまう。

  • 女にとっての家族の心情的機能を書く舞台だてのつくり方にはこの年になるとちょっと違和感を感じるけれど。女性にとっての心情的家族機能がよく書けているのは素晴らしい。

  • 石井睦美さんの本は「卵と小麦粉、それからマドレーヌ」から読み始めていて、ある意味、この本も同じようなところがあるのだけれど、でも、もっと遠くまで行っていると思います。読みながら、親子について、愛することについて、哀しさと、素晴らしさと、孤独とを実感しました。

  • 父がいて母がいて。そんなあたりまえを知らないはずなのに、ふいにさびしさに襲われる。
    何が足りないというのか、父でもない母でもない、けれど母であり祖母であるユキさんがいる。
    これ以上なにが足りないのか。

    静かなピアノ曲のようなこの本。

    だけど、ほんのすこしだけ欠けていることが、不安にさせる。

    ふわふわふわふわ、ことばにできない気持ちたちを手のひらで掬い上げたような気になった。

    血か繋がっていても遠い人や、そんなこと関係なく近しいひと。
    血の繋がりなんかより気持ちのほうが大切だと人は言うけれど、それでもなにより切っても切れないものだ。
    田舎に帰ったユキさん然り、母が訪ねてきたいつかの母、槙然り。
    そしていつか然り。
    嫌だと、合わないと思っても、真実そうでも、必要とするときが、されるときがきっと来る。

  • 空気感は好き。でも終わりが唐突で少し物足りなかった。

  • 母親との折り合いが悪く、美大を卒業したあとに一人親で娘を育てている女性と彼女を偶然助けたことから生涯この母子のめんどうみることになったユキという女性の献身的な働き。まるで家族のようになった女性二人と娘の生活がユキが故郷に帰ったことから変わり始め・・。母との確執と言ってもちゃんと大学の学費を出してくれるような母親に反発するなんて、人によってはとてもわがままでぜいたくなことだと受け取られる気がする。

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