- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758412117
作品紹介・あらすじ
生まれたときから父親はいない。絵画修復家の母と、近所に住む母の年上の友人・ユキさんに育てられた。幼い日のわたしは、わたしたち三人が家族だと知っていた。家族という言葉は知らなかったのに。わたしは愛に飢えることもなく、三人のしあわせな日々がいつまでも続くと信じて疑わなかった。あの日がくるまでは-。十八歳の少女が辿ってきた様々な出会いと別れを描く、切なくも瑞々しく心ふるえる書き下ろし長篇。
感想・レビュー・書評
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どんなに心を通わせていても、家族以上に家族の様な存在であったとしてもそれぞれがしがらみを抱えて生きている限りさよならを言わなければならない時がある。
戸籍上の家族と言うだけで、血のつながりがあるだけ離れられない宿命。
戸籍上の家族でないと言うだけで、別々の道を生きなければならない理不尽さ。
男女間の恋愛話だったら結婚して新たに家族になると言う選択がある。
しかしこれが男女間、もしくは同性の間の友情だとしたら・・・。
主人公の“いつか”は父親のいない家庭に生まれた。
絵画修復士の母と家族以上に母娘を支えるユキさん。
母の友人である“チチ”。
そして血のつながりのある祖母。
彼らの出会い、繋がり、別れが淡々と静かに語られる。
祖母がいつかと母の人生に暗い影を落とすようになるのだが、祖母もまた不器用な人だったとも見える。
作者は祖母の生き方を批判しているとも思えない。
あえて祖母の言葉の刺を浮き彫りにする事で、家族の関係性の難しさを描いているのだと思う。
ユキさんが親子と助けるくだりや、チチとのあっけない終わり方は納得いかない部分もあった。
それでもなお家族とは何か、友情とは何か改めて考える良いきっかけにはなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み始めて、この文体はわたしの好みではないな、とすぐに思った。のに、最後まで読みたくなったのは冒頭が最後のまで繋がらないストーリーのうまさだと思う。
チチが途中から亡くなった自分の父にすりかえられていて、泣きそうになりながら読んだ。
もうひとり子どもを産むことができたら、女の子ならいつか、男の子ならみのりってつけようかな -
母は絵の修復を仕事とし、結婚はせず、私を産んだ。
そばにはいつだってたまたま同じアパートに住んでいた、ユキさんがいた。
母とユキさんと私。母とユキさんに育てられた私。
それが、ユキさんが故郷に帰ることになり、母と二人の生活。
学校の勉強と家事をこなす私の日々に、祖母が突然加わった。
折り合いの悪かった母と祖母が馴染めるはずもなく、母は仕事に逃げ、祖母の嫌味を受ける私の精神は限界だった。
ぼろぼろになった私は、父と一時的に生活するようになり、父の建築家としての仕事も見せてもらい、
祖母も叔父夫婦のもとへ帰り、新しい道が開けたかと思った矢先、父は事故で亡くなった。
愛しい人にさよならって、ユキさんのことかと思ってたのに、途中から出てきた父に向けての話だったのか、と。唐突な印象を受けたなあ。
私も、苦しいときに、誰かにいてほしかったなあ。 -
おもしろかった。
いつかちゃんを応援する感じで読んでいたので、終盤の展開はちょっとつらすぎ。
槇さんのお母さんって、なんであんな感じなのか、とかいろいろ考えてしまった。
読み終えた後もさわやかな風が吹いている感じ。 -
久々に石井先生作品を拝読しましたが、そうだそうだったこういう・・・穏やかで優しい世界観だった・・・心にじわじわ沁みて来る・・・。
やっぱり好きだな~~~と思ったらラスト・・・切ない・・・かなしい・・・それも含めて愛しいんだな・・・。 -
2013.04.28読了
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文学
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不思議なテイスト。母子家庭で、育った女性の主人公が自分の生きてきた物語を語っていくお話。
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日経の書評で★5つがついていたので読んでみたのですが。。。ごめんなさい、私にはちょっと理解不能な部分があって、話にうまく入れませんでした。