君のいた日々

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.09
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  • レビュー :41
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412261

作品紹介・あらすじ

大切なひとをなくした人へ、そして、今、大切なひとがいる人へ-"妻を失った夫"と"夫を失った妻"の、それぞれの世界から紡ぐ究極の夫婦愛。

感想・レビュー・書評

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  • パートナーに先立たれた一組の夫婦の物語。
    妻に先立たれた夫。
    夫に先立たれた妻。
    同じ家族、同じ設定で二つの話が交互に語られる。
    パラレルワールドだ。

    夫は部屋の電球がチカチカすると、そこに妻がいると考える。
    一方、妻はいつも夫の気配を近くに感じながら過ごしている。
    失う前も、失った後もお互いへの思いが途切れることはない。
    いや、むしろ忘れてることを恐れている。
    少々理想的すぎる気もしないでもないが、こんな夫婦いいなと
    思わせるあったかいお話だ。

    小説の中にはたくさんのおいしいものが出てくる。
    うなぎだったり、天丼だったり、しゃぶしゃぶだったり。
    美味しいものを食べると、あの人が好きだったなあ、あの人にも食べさせたいなと思いを馳せる。

    そうだよなぁ、家庭の中で食べることって重要だよな。
    仮に毎日一度だけも一緒に食卓を囲んで30年。
    それだけで1万回以上、一緒にご飯を食べることになる。
    これだけ一緒に食事して、相手の好みを知らないなんて愚の骨頂。
    果たして私の夫は、私を失くしたらどんなものを食べた時に思いを馳せてくれるのだろうか。

    この小説では美味しいものは外食に限られている。
    でも私なら、ふとなにかを食べたその拍子に、私が作った料理の味をもう一度食べたいと夫が思ってくれたら。
    それこそ毎日ご飯作ってきた甲斐があるというもんだ。
    果たしてどうだろうか。

  • 18年連れ添ったアラフィフの夫婦・春生と久里子、そして高1の息子亜土夢。妻が亡くなった世界~夫が亡くなった世界が交互に語られるという設定はなかなかに斬新(『ルート225』を彷彿とさせますね)。まずは妻が亡くなった世界から始まるため、悲しみに暮れる「泣きおやじ」春生にどっぷり共感してしまい、2章になると久里子が生きていることに一瞬違和感を感じる。背中合わせでありながら、それぞれが亡くなった理由は異なり、共通の登場人物(亜土夢、春生の姉、秘書課の三浦さん、夫婦共通の友人西沢)との絡み方も微妙に違う。章が変わるたび頭を切り替えながら、それぞれの世界の時間軸で読み進めていくと、真ん中あたりからエピソードが一部リンクし始める。それぞれの思い出の絡み方が絶妙で、胸がきゅーっと締め付けられる。
    今現在私と夫はアラフォーで、春生・久里子の一世代下に当たるだろうか。日々夫にイラつくこともあればたまには感謝することもあり、何となくそれがずっと続いていくのだろうと漠然と感じていて…それがどちらかの死によりピリオドが突然打たれる可能性があるなんて、あまり考えたことがなかった。だから彼らの物語に自分を重ね、すごく切なくなった。藤野さんらしく、悲しみを描きながらもベタつくことなく、時にユーモアも交えながらの描写だけど、だからこそ微妙な感情の揺れがリアルに感じる。ちらつく電気や廊下を歩くようなみしみしときしむ音にそれぞれの存在を感じるくだりは、わかるなぁと思ってしまう。
    春生の死は突然で、なかなかすんなり受け入れられない久里子の迷いも辛かったけど、一方の久里子の場合は病による死で、憔悴した彼女が「春さん、わたしがいなくなったら、まただれかと結婚していいからね」と語る場面が一番泣けた。切なくて悲しすぎる。ここでもまた、自分だったらどうだろうと考えてしまう。勿論先のことなんてわからないけど、せめてなるべくは、日々を大事に過ごせるようになれればいいかなと…読み終えて思ったのだった。
    テーマはヘヴィーかもしれないけど、秀逸なフード描写や脇役キャラ達、ユーモラスな小道具(お掃除ロボット。かわいい。)が物語を和らげ、穏やかにしている。そしてやっぱり藤野作品で毎度毎度心奪われるのが装丁。カバー袖と裏、見返しの爽やかなストライプが素敵です。表紙イラストがアラフィフ夫婦にそぐわないという声もあるけれど、私もちょっとはそう思ったけど、このイラストはイラストでかわいらしくて、すごく好きだなぁ。藤野作品は単行本・文庫本全部揃えて棚に面陳したいくらい装丁に惚れてます。
    今まで読んだ藤野作品の中でも、余韻を引きずる、心に染み入る一冊。

  • 物語は特に佳境を迎えるわけでもなくスーッと終わる。

    若い人には退屈だろう。
    「だから何?」と思うに違いない。

    私は作者や主人公夫婦と同年代だから、色々と考えさせられた。

    店名は書いていないけれど、グルメ本なのか?というくらいに、実在する飲食店についての記述が出てくる。
    この有名天丼屋さんに行ってみたくはなった。

    それにしても、表紙はなんでこれなの?
    編集者と著者、何故これでOKなの?

  • 愛する人が亡くなってしまったら。夫が亡くなった場合と妻が亡くなった場合、残された者の視点で交互に話が描かれている。二つの世界があって、どこかつながっているような感じ。残されたものは悲しく切なくても、残りの人生を歩まなければならない。こんなにも愛し合えるパートナーと出会える人生ってうらやましいなと思ってしまった。そんなに派手さがあるわけではないけれど、夫婦の感じとか穏やかでほんわかしていてよかったです。読みながら、切なくて、うるうるとしてしまいました。

    書店でカバーをみて、一目ぼれに近かったのに、買わなかったがために、なかなか入手困難なことになってましたが、やっと読めました。

  • 仲が良かった1組の夫婦。
    妻が先に逝ってしまった時、残された夫は?
    夫が先に逝ってしまった時、残された妻は?
    そんな両面からの不思議な物語でした。

    「何でこんなに淋しいのかなぁ…?」
    「それは幸せだったってからだよ」

    大事な人がいなくなってしまった時の
    寂しさがじんわり伝わってくる。

  • 2017.4.9読了 34冊目

  • あっちからと
    こっちからと
    面白い設定で
    スラスラ

  • 妻を亡くした春生の日々。
    夫を亡くした久里子の日々。

    中学生の同級生同士の夫婦は仲がよく、
    連れを亡くしてからも、どこかそれぞれのそばにいるような気配を感じながら
    喪失感と記憶のなかで生きていく毎日。

    泣きおやじと息子の亜土夢に言われてしまうほど
    涙もろく、
    会社の美人秘書と行列ご飯を食べに行き
    和室の蛍光灯がチカチカするのは妻久里子の存在だと信じている。

    義姉と姪と美味しいものを食べに行き
    ころころと変わる息子亜土夢の彼女のこと
    廊下を歩く音みしみしさんの気配は夫春生だと感じる久里子。

    いったいどっちが亡くなったんだ!?
    連れを早く亡くすってつらっ。

    互いが互いを死んだと思いながら同じ世界でありながらも違う世界で生きていくのは不思議。
    パラレルワールドみたいな感じ??
    大昔に読んだルート225みたいな感じ??
    最後に二人が真実に行き着くのかと思ったら、、、
    そうでもなかった)^o^(

  • 50歳の春夫は妻久里子を亡くした。
    子供の頃から泣き虫だった春夫は姉や息子から「なきおやじ」と揶揄されながらも、なんとか妻のいない生活に慣れようとしていた。仏壇のある部屋の蛍光灯がちかちかすることを「久里子がいる印」だと信じ、なんとなく新しいものに変えないでいる。

    そんな日々を送る春夫は、会社の同僚である秘書課の三浦さんと、「行列に並んで安くてうまいものを食べる」という目的で何度か食事に行く。そこで三浦さんから告白されるが、久里子以外を考えられない春夫は「俺が年寄りだから安心するんだよ」と断る。

    そして蛍光灯を変える決心をする。
    蛍光灯はバチバチっと点滅した後もうチカチカする事はなくなった。

    そして春夫の物語と対になる物語。

    久里子は夫春夫を亡くした。
    保険などでなんとか生活には困らないものの、これから息子の学費などがかさむことを考えて、友人から勧められた学習塾のお手伝いをする。

    部屋の床が鳴る事を「みしみしさん」と呼び、春夫が来てくれたんじゃないかと期待する。でもそんな事を言うと周りが変に思うんじゃないかと思って胸に秘めていた。

    夫の同僚の西沢君と春さんの昔話などをしながら、ふとみしみしさんの事を漏らす。でも誰も笑わなかった。

    伴侶を失うことはとても辛いのだけれど、それを乗り越えることが辛いんだな、死を受け入れる事は忘れることではないんだなと改めて思う。

  • *大切な人を亡くした人にも、今、大切な人がいる人にもぜひ読んでいただきたい夫婦の愛あふれる、感涙必至の書き下ろし長篇。 あなたと過ごしたかけがえのない大切な瞬間。 (妻)と(夫)のそれぞれの世界から紡ぐ、(小さな奇跡)の物語*
    泣きました。ええ、そりゃもう泣きましたとも。泣きおばさんですよ。こんなに優しい夫婦愛のお話、初めてかも。死しても、そばにいる。ずっとそこに、いる。大切な何かを教えてもらった。

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