憂いなき街

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.41
  • (12)
  • (45)
  • (68)
  • (11)
  • (1)
本棚登録 : 312
レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412346

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • もはや津久井さんや佐伯さんが他人とは思えない。

  •  作家が自らの作り出したキャラクターに愛着を覚えるのはごく当然のことだろうと思う。将棋の駒のようにキャラクターを配置したとしても、その各々の部品に命を吹き込むのが作家の描写力なのだから、命を得た人間として、他者として、独立した体温を持つ存在として、ある意味、キャラクターたちは作家の手を離れて動き出してしまう。

     独立作品ですらその思いは作家の中にも読者の中にも生まれる感情であるのだから、ましてやシリーズものとなると何度も登場させてきた登場人物への愛着の強さは、推して知るべしである。そのキャラクター造詣が上手くゆけばゆくほど、彼ら(彼女ら)を深く掘り下げてみたいと腕まくりしたくなるのは作家の本願ではないだろうか。

     そうして作者にも読者にも愛されつつ育ってきているシリーズの一つがまぎれもなくこの『道警シリーズ』ではないだろうか。一作目『歌う警官』において道警裏金疑惑への引き金を絞った一連のシリーズ刑事たちは、のっけから組織からはみ出した役柄を割り当てられて強い印象を残したものだ。佐々木譲という作家にとって警察小説への扉を開いた記念すべき路程標(マイルストーン)であったに違いない。

     その刑事たちは、二作目以降の作品で事件を解決しつつ、少しだけ佐伯と小島の恋愛模様がデコレートされていたものだが、本書ではむしろこの二人の恋に重ねて、津久井の脛に傷を持つ女性ジャズピアニストへの恋がメインテーマとなって描かれてゆく。

     おりしも大通公園の二丁目ではサッポロ・シティ・ジャズ開催が始まろうとしている。ジャズ好きの屯するお馴染みの店<ブラックバード>が舞台となるシーンが多いのも、捜査そのものよりも主人公刑事らのプライベートな側面にスポットライトが当てられているからに他ならない。

     大通公園二丁目に大きな白テントが張られて長期間に渡ってジャズのライブが行われていることは知っていたけれども、その内容、価値、スケールなどについてはこの小説で教えてもらった。一年遅れで読んだ作品となったが、遅ればせながら今夏は、サッポロ・シティ・ジャズにも是非足を運び、小説の中で相当グルーブして感じられたジャズ熱を自ら復活させ、改めての現在を体感してみたいものである。

  • 津久井くんやせ我慢できたね偉かったね。佐伯くん野暮だね。って話。

  • 2015.4.18

  • とても良かったです。刑事物なんだけど恋愛ものとも言えるかな\(//∇//)\

  • 久々の道警シリーズは津久井の恋がテーマ。スピード感があり、あっという間に読み終えました。

  • 北海道警シリーズ。題名に惹かれて読んでみたのだけれど、最後まで何故この題名にしたのかわからなかった。
    話自体は平凡だけれど、警察官の個人の人間としての葛藤がリアルに描かれていて面白いと感じた。シリーズとしては少しマンネリかもしれない。

  • 道警シリーズ7作目。今回はJazzピアニストと津久井の関係と佐伯と百合の距離感が中心のちょっとゆるいストーリー。元警察官が経営するJazzバーのブラックバードも健在でそこでピアノを弾く津久井のラストシーン渋切ないね…
    道警シリーズやっぱいいね♪

  • 道警シリーズ第7弾。
    今回はミステリーというより佐伯、津久井二人それぞれの恋愛を描くために事件が起こった感じ。
    佐伯と小島百合の煮えきれずにヤキモキしていたのがようやく、だった。
    対して津久井は切なすぎたなぁ。

    ジャズ聴きたくなった。

  • 道警シリーズ。Jazzで浮かれた札幌の街で起こった事件を追う津久井の話。津久井の純情と、渋い男たちの物語。

    JazzのCD聞きながら読了。切なかった。
    読み終わったばかりなのに、次のシリーズ作が早く読みたい。

全50件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

一九五〇年三月、北海道生まれ。七九年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。九〇年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。二〇〇二年『武揚伝』で新田次郎文学賞を、一〇年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。他に『ベルリン飛行指令』『疾駆する夢』『昭南島に蘭ありや』『警官の血』『代官山コールドケース』『獅子の城塞』『犬の掟』など著書多数。

「2017年 『武揚伝 決定版(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

憂いなき街のその他の作品

佐々木譲の作品

ツイートする