点をつなぐ

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.45
  • (15)
  • (44)
  • (66)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 515
感想 : 75
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412537

作品紹介・あらすじ

28歳の滝口みのりはスイーツの商品開発に携わっている。ヒットはまだ、出したことがない。進路、恋人、仕事、服、デートコース…これまでに選んできた「点」は、正解だったのだろうか…。リアルな心情描写が胸を打つ長編小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 主人公はコンビニスイーツの商品開発の仕事をしているみのり28歳

    テレビで食品の開発担当者の特集を見ることがあるけれど、
    本当に大変なお仕事だな~と…
    そしてどんな味か気になって買ってしまう(まんまとね・笑)

    この年齢の頃を振り返ってみると、
    みのりと同じように悩んで揺れてたなぁって思います。
    人生ってほんとに選択の連続ですよね~

    「点つなぎ」って名称は知らなかったけど子供のころよく遊びました。
    線がまっすぐに引けなくて、できた絵がいびつなのが嫌で消したら他の線も消えちゃったりしてね。

    生きていくなかで選び続けた点をつないだら、
    いつか自分の信じた形になってくれたらいい。
    選んだものが間違ってなかったと信じたい。
    すごくよくわかります。

    こうして物語の世界に入り込むと、すぐその頃の自分に戻れるのが楽しい。
    選ばなかった、選べなかった道に立つ自分を想像することもできる。
    だから読書はやめられない。

    そして本を閉じ”現実”を精一杯生きるのです♪

  • カトチエさんの長編初読み。長編になることで、カトチエさんの持ち味である小気味よい文章のリズム感が崩れてしまわないかと心配したのだが…瑞々しい世界観はそのままで、夢中で一気読みしてしまいました。
    30歳手前の、「人生、これでいいのか」という焦燥感。誰もが通る道だからこそ、描き方によっては陳腐になってしまいそうなところだが…一つ一つのエピソードがリアルで、「あるある、あるある!」と共感しまくりでした。大学進学を機に上京し、そのまま東京のコンビニチェーンに就職したみのりが、地方に帰省するたび感じる、親や友人との価値観の相違。どう説明したところで伝わらないだろうという諦念。描写が本当にきめ細やかで、個人的には一番の共感ポイントであった。
    物足りなさがないと言えば嘘になるけど、カトチエさんらしいセミスイートさが存分に味わえたかなと思う。彼女の作品でも好きな方かも。コンビニスイーツ開発のお仕事の場面は興味深く読みました。「点をつなぐ」というタイトルの意味に思いを馳せ…今の自分は28歳のみのりより、取捨選択を繰り返して点をつなぎ続けている。どんな形が出来るのか、わかりそうでまだわからない。まだまだ人生途上だな、なんて感じることのできた一冊だった。

  • 主人公の名前が私の名前と一緒だったのがきっかけで手に取りました。


    いろんな思い出と重なって、
    なんとも言えない、しっとりした気持ちになりました。

  • 私とは年齢は違うが、都会で働く女性はこんな思いを抱いて生きているのではないだろうか?
    もっと自由な選択肢があればと思うが、生きるのは自分。点という選択肢を選ぶのも自分。常に自分らしくあるか問いかけながら進むのがベストなのだと感じさせる本だった。

  • 28歳の滝口みのり。大学進学と同時に上京、そのまま東京で就職。慌ただしくここまで歩んできたけれど、時々にあった選択は果たして正しかったのか。

    「あの時こうしていれば違う今があったのではないか」人は誰しも自分の選択を思い返す時があるかと思います。過去に戻ることは出来ないけれど、その先にあったかもしれない違う人生を空想する。それは果たして無意味なことでしょうか。
    大きな事件は起こりません。しかし読み終わると、私自身も自分の過去と今を静かに振り替えりたくなりました。今ある自分を丸ごと認める。背中をぽんと押してもらえたような、静かに寄り添ってもらったような、不思議な心地よさが残りました。

  • 君にしか出来ないと任される立場の一方で、私に出来ることなど有るのかと自信喪失する背中がいる。商品開発という重責、都会に揉まれ自分が何を目標としてきたのか見失ったとき、最終的に繋ぎ止めるものは「好き」ただその一点なのだと思います。私が選んだもの、選ばなかったもの、どの選択が正しいかはその先の私だけが知っています。点を線でつないで見えてきたものが、私の一番欲しいものであり、覚めない夢であればいいと願いました。例えそれが最も望んだ絵ではなくとも、何度でも諦めず選び続けてきた人生は一際輝いて映っていると信じたい。

  • 29歳になる年、みのりは焦っていた。
    仕事に夢中になっているが、果たして今の仕事を続けていて満足なのか?
    周りの同級生が結婚、出産する中で、何も変わらない自分に不安を感じている。

    私は結婚、出産もしたけれど、「今のままで満足なのか?」という問いに即答できないみのりの気持ちがよくわかる。

    正解はないけれど、自分の選んだ点をつないで、浮かび上がってくる形が正しいのだと信じて、選び続けていくしかない。
    そう結論付けたみのりは強いと思うし、私も選び続けていきたい、と思う。

  • 結婚とは、人生とは…みたいな本ばっかり最近読んでる気がするw
    いちいち、分かるわーって思いながら読んでた。周りと比べての不安や焦燥感。いやいや主人公は三十路やけど私はまだ…とも言ってられんのですよ!!←
    共感出来るところが多すぎる。って事でこの評価。

  • コンビニスイーツの商品企画の仕事をする28歳独身のみのり。
    やりたかった仕事に就き、やりがいを持って働いて入るものの、仕事に追われる毎日に疑問も感じていた。


    はじめましての作家さん。
    読みやすく、選ばれた言葉の使い方が好きでした。

    みのりの揺れる気持ちは、女性ならきっとみんな心当たりがあるものではないかなと思います。
    だから切実でリアル。
    そんなみのりが、藍田さんとの会話でたどり着いた「自分の選んだものが間違っていなかったと、信じるしかないんだと思っている」と言う気持ちに、共感しました。

    女性の大先輩としては、みのりは、さらに素敵なひとになるでしょうから、もっと自信を持って生きていって欲しいなと思います。

  • 働き始めてから、何度もこの選択でよかったのか…と悩み続けていた私にとって自分を見ているかのような物語でした。
    決してすかっとする話ではないし、劇的な展開があったりするわけではなかった。でも、人生は選択しなければならない場面ばかりで、自分の選んだ道が正解だったかなんて分からないけれど(むしろ他の選択肢の方が想像が膨らみ正解のように思えることの方が多いと思うけれど)、自分の選んだ点をつないでいくと、自分にとって1つの意味のあるものが浮かび上がると信じたいという主人公の考えには励まされました。
    自分の中で意味のあるものにするためにも、1つ1つの選択をしっかり吟味して責任をもって選んでいかなければならないな、とも考える要素があった気がします。

全75件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1983年、北海道生まれ。歌人・小説家。立教大学文学部日本文学科卒業。2001年、短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビュー。2009年、『ハニー ビター ハニー』で小説家としてデビュー。その他、詩やエッセイなど様々な分野で活躍。著書に『あかねさす――新古今恋物語』『真夜中の果物』『こぼれ落ちて季節は』『この街でわたしたちは』『消えていく日に』『そして旅にいる』『マッチング!』などがある。

「2023年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加藤千恵の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×