サーベル警視庁

著者 : 今野敏
  • 角川春樹事務所 (2016年12月31日発売)
3.13
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  • レビュー :25
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412988

サーベル警視庁の感想・レビュー・書評

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  • 明治を舞台とした刑事モノ。この時代の作品は他の作家も含めて初めてだったので新鮮だった。やはり現代とは異なっていて普段とは違う空気を感じさせてくれた。ミステリーとしては凝ったものではないが、まさか斎藤一が出てくるとは思わなかった。活躍度はNO.1だった。黒猫先生が現代を見たらやはり国民と国が別のものになっていると思うのだろうか。最近になって平凡であまり活躍しない者を主役にする作品が多いと感じるのだが気のせいだろうか。

  • 明治38年、日露戦争中という時代の警視庁で起こった事件の小説。
    時代背景に興味がなくなかなか読み進められず苦労しました。

    まだ電車が走り始めたばかりで、道は舗装されておらず一部の人が馬車や車を使う時代。警視庁は部長レベルしか車は使えず巡査は電車か歩きで移動。
    薩摩、長州という勢力を描きたかったのかなと思うけれどちょっと小説的にはおもしろくなかった。
    現代では薩長なんて言葉は聞かないけれど、今でも結局中枢にいるのは薩長なのかなと調べたくなった。

  • 斎藤一にあまり存在感はなかった。
    サーベルと日本刀。江戸と明治。

  • 明治38年、日本海海戦の快勝に沸くなか、不忍池に死体が浮かぶ。警視庁では、妖怪と渾名された鳥居耀三の縁者といわれる鳥居部長が指揮をとり、事件解決に乗り出す。
     貴族院議員の孫の探偵西小路、新撰組三番隊組長だった斎藤一などの協力を得ながら、内務省預かりとなった事件に果敢に挑む男たちの姿を小気味よく描いている。

  • 明治時代が舞台の警察モノ。今野敏先生の作品でこの時代は初かな?

    明治時代ではあるが、推理小説というよりはやはり警察小説っぽい。権力間での折衝や派閥争いなど、顔は違えど、どの時代でもよく似たことが起こっているものなのだなと。
    時代モノならではで、斎藤一や小泉八雲、黒猫先生(!)など、歴史上の人物が色々登場してくれるのが楽しい。時代背景の描写も興味深く読めた。
    今作もシリーズ化してくれそうかな。岡崎クンなど警視庁の面々のキャラは皆良かったけど、探偵クンのキャラはちょっと中途半端な感じがしたので、もう少し掘り下げてくれたら良いのになと思う。

  • 犯人はタイトルもヒントになっている。
    しかし、タイトルだけならこの作品読まないだろうな。なんかB級っぽくて(個人の受け止め方だけなんだけど)

    明治維新後の東京が舞台、どざえもんが見つかったことから、話は始まる。
    この死体は大学教授とわかるが、その後次々と殺人が行われた。遺体の傷痕には特徴がある。その特徴こそが犯人に繋がるヒント。

    最終的には、あることで捜査をやめ、手打ちとなったが、落としどころはよかった。
    齊藤一や山縣有朋が出て来て大物感が出ていた。

  • 時代性を強調しようとしてなのだろう“史実”のせいで、事件そのものは、すっかり影が薄くなってしまっていた。
    https://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14905899.html

  • その時代の空気がよくわかって面白かったけど、謎解きとしては今一つ。

  • 明治三十八年というから、時代は日露戦争の真っ最中、警視庁第一部第一課巡査の岡崎を狂言回しに連続殺人事件を追う警察小説である。今野敏といえば『隠蔽捜査』などの警察小説が専門だが、時代を明治時代に取るのはめずらしい。新シリーズを目したものか、それとも一種の偽装か、一段と気合が入っているように思った。

    山田風太郎に、明治初期の警視庁を扱った『警視庁草紙』に始まる「明治もの」と呼ばれるシリーズがある。本編の中に、サイド・ストーリーとして当時活躍中の文士等の有名人が何人も登場するのが特徴だ。明らかになっている史実と史実の間にある間隙を小説家の想像力によって埋め、いかようにも話が作れる。そこがおもしろい。警察ではなく本屋を舞台に取った京極夏彦の『書楼弔堂』シリーズなども同じ着想を共有している。

    一人の有能な刑事が事件を解決するのではなく、チームとして事に当たる。警察小説によくあるスタイルだ。警視庁第一部第一課を指揮するのは、伝法な六方詞を使う鳥居部長。妖怪とあだ名された鳥居耀蔵の縁者と噂される曲者だ。六方詞(ろっぽうことば)というのは、旗本の六方組からきている。歌舞伎の『幡随院長兵衛』に出てくる白柄組もその一つ。川路利良から始まる警視庁では薩摩が幅を利かしている。その中で旧幕臣であることを見せつけるような振舞いをしてはばからないのは、薩長の専横に対して思うところがあるのだろう。

    鳥居の下に、課長の服部、警視庁随一の理論派といわれる警部の葦名と続く。その配下に鳥居が舎弟と呼ぶ上位巡査、米沢出身の岡崎、会津出身で小兵ながら溝口一刀流免許皆伝の岩井、柔術の猛者久坂、江戸っ子で角袖姿の刑事巡査荒木の四人がいる。このチームに加わって捜査協力をするのが、貴族院議員を祖父に持つ西小路という私立探偵。岡崎の知り合いで東京帝大文科大学に勤める黒猫先生の教え子である。不忍池にあがった水死体が帝大文科大学の講師だったことから捜査に加わることに。

    死体は胸を鋭利な刃物で一突きされていた。発見者は富山の薬売りであったが、話を聞こうと岡崎らが駆け付けた時にはどこを探しても見つからなかった。仕方なく腹ごしらえに入った食堂で話しかけてきた男が、被害者はドイツびいきで、それを憎む学生が怪しいと名前を挙げる。そうこうするうち、同じ犯人による殺人が続いて起きる。今度の被害者は陸軍大佐で、家の前でやはり一突き。目撃者があり、杖を持った士族風の老人を見たという。仕込み杖か、と色めき立つ巡査たち。

    その老人、女子師範学校で庶務をしていることがわかる。そこに通う城戸子爵の娘喜子が殺された高島という講師に付け文をされており、その仲介をしていたのが庶務のおじさんと呼ばれる藤田だった。尋問のため警視庁に連れてこられた藤田を見て鳥居が驚く。岡崎たち二十代の巡査では知らないのも仕方がないが、この藤田五郎、改名前の名は斎藤一。新撰組三番隊長で、瓦解後は警視庁の大先輩である。

    出てきました。有名人。明治の警視庁が舞台ならこの人が出てこないはずがない。しかも新撰組、会津で戦った後に斗南藩士という経歴だ。敗者側の視点から明治を描く本作には外せない。背筋をピンと伸ばし、歩く時も上体がぶれない、無類の剣の使い手である。疑いの晴れた後、この藤田五郎も捜査に加わり大活躍をする。それだけではない。事件の背景にある幾つもの対立関係の頂点に立つある大立者との対決が待っている。それは後に置いておいて、まずその他の対立とは何か。

    高島が新しい日本はかくあるべき、公用語さえドイツ語を用いるべしという開明派の筆頭であるとすれば西小路が私淑する黒猫先生はその反対、いくら頑張っても日本人がイギリス人やフランス人にはなれない、という考え。日本の針路についての対立が一つ。もう一つは親ドイツ派とフランス派の対立。例えば、ビスマルクに傾倒する山縣有朋のような長州人は親ドイツ派だが、警察組織はフランスをまねて作られている。この対立が、佩刀するサーベルを用いた剣術にまで及ぶ。また、同じ長州でも派閥対立があり、苦汁をなめる者もいた。

    官有地払い下げ問題に端を発した疑獄事件、君臨する長州閥の領袖に対する周囲のとどまることを知らない忖度を原因とする事件の続発、とまるで現代日本の姿を予言するような日露戦争当時の日本。国を憂うる者が心ならずも敗者となり、勝者が国を私する姿を見て憤る。しかし、権力は向こう側にある。警視庁はもとより内務省の管轄下だ。そこで、活躍するのが、私立探偵の西小路や子爵令嬢の喜子、ただの庶務のおじさんとなった藤田五郎たち。もちろん、最後には鳥居たちも馘首を覚悟で一太刀浴びせることに。

    黒猫先生は何度も俺に言ったよ。これから日本は、うんと苦しむことになるだろうって。今まで、日本という国と日本人という国民は同じものだった。この先は国民と国が別のものになっていくだろう。黒猫先生はそうおっしゃる。それはつまり、安心して暮らしていた家から放り出されるようなものだ

    鳥居が黒猫先生から聞いた言葉だ。日露戦争当時の日本を背景にした言葉だが、とてもそうは聞こえない。日本国憲法のもとで、安心して暮らしてきたこの何十年。それが今、とんでもない嵐に巻き込まれそうになっている。やたらに長州人を持ち出し、明治を憧憬の対象にするあの人に、藤田五郎の科白を聞かせてやりたい。「この国が自分のものだとお思いでしたら大間違いです」「貴殿のものでもなければ、薩長のものでもありません。この国で生まれ、暮らし、死んでいくすべての者たちのものです」と。

    でも、本など読まないだろうなあ。云々が読めなかったものなあ。もし、読んだとしても黒猫先生という名で呼ばれている人の本名も気づかないだろうなあ。ああ、もったいない。

  • 時代小説かつ警察小説。

    舞台設定とか非常に良いと思うのだが・・・。
    もうちょっと、どうにかできそうな気が。

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