なかなか暮れない夏の夕暮れ

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.47
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本棚登録 : 724
レビュー : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413008

作品紹介・あらすじ

本ばかり読んでいる稔、姉の雀、元恋人の渚、娘の波十、友だちの大竹と淳子…。切実で愛しい小さな冒険の日々と頁をめくる官能を描き切る、待望の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 本編の主人公と、彼が読んでいる本の内容が自然に往き来してしまうため、初めの頃は何が何だかよく分からなかった。

    読み進めていくうちに、どうやら主人公の行動と、本の中の行動が続けて書かれていることに気づく。
    そして、全体の物語の中に入っていくことができるようになりました。
    さらに物語は淡々と続いて行きます。
    本書が終わってからも、そのまま。

  • 江國さんの小説を久々に読みました。あぁ、そうだった、江國さん、こんな感じだった。
    稔と雀の姉弟を取り巻くたくさんの登場人物、稔が読む小説、、、、頭が混乱しましたが、徐々に慣れてきて、稔が読む小説の方が気になったりして。

  • P256夫婦というのはグロテスクだ。結婚して以来何度も考えたことを、渚はまた考えてしまう。互いに相手の考えていることがわからなくても、それどころか、相手の存在を疎ましく感じるときでさえ、夜になれば一緒に眠り、朝になればおなじテーブルにつく。小さな不快さも言葉のすれちがいも、何一つ解決されないまま日々のなかに埋もれ、夜と朝がくり返され、夫婦以外の誰とも共有できない何かになってしまう。世間では、それを絆と呼ぶのだろう。だから、絆というのは日々の小さな不快さの積み重ねのことだ。

  • 江國先生にしては珍しい、長編での男性主人公。
    そして、登場人物が読んでいる小説の文章が挟み込まれるという形式で書かれた小説でした。
    う~~ん先生が書くとこうなるんだな…。
    途中で出てきた海外の絵本がめっちゃ気になるんだよな~~…。

  • 読書好きの主人公・稔が読んでいる本の内容が、作中作として書かれている。本の中ではいろいろ事件が起こるけど、稔の方の世界は平穏で何も起こらない。スパイの世界に入り込んでいたのに、インターフォンが鳴ったり誰かに話しかけられたりして稔が現実に引き戻されると、私まで読書を中断させられたような気になった。その物語が途切れる感じがなぜか好きだった。わかる、わかる。最後の稔のセリフが微笑ましい。続きも気にならないし、記憶にも残らないような話だったけど、休日に旅先でのんびり本を読んでいるような気分になれた。それがいい。

  • 最初の数ページを読んだところで、突然文章がぶちっと切れて白い行が1行。うわっ、乱丁?落丁?なんか校正のミス??いやいやわざと?と思いつつさらに数ページ読むと、今度は同じ文章が二度続いてまた白い行が。絶対に乱丁かなにかミスでしょ??と思い、そしたら新しい本に変えてもらってから読もう、と思って本をとじたわけで。ツイッターでも騒いで本当にバカなわたし。で、なぜかその夜ふと夜中に目を覚まして考えごとしていて、あ、あれはミスなんかじゃない、あれで正しいのだ、とふっと理解した。
    ぶちっと切れていたのは、登場人物が読んでいる本の文章なんだけど、つまり、登場人物が意識を本から離したところでぶちっと切れ、眠かったりして何度も同じ行を読んだとき、同じ文章がくり返されているという。
    最初からすっとわからなかったわたしは本当に馬韓なんだろう。だれも、ミス?とか思ってないみたいだ。
    でも、え?と一瞬思わせるっていうしかけなんだろう。。。

    しかけにまんまとひっかかったから言うわけじゃないけど、うーん、わたしはこの登場人物が読んでいる本(劇中劇じゃなくて、なに? 本中本?)をそれほどおもしろいと思えなかったような。北欧だかロシアだかのミステリみたいなのと、南米だか暑いところのミステリみたいな話だけど。それが全体の何分の一かわからないけど(適当にいうと五分の一くらいに感じたけど)それを読まされるより、本編をもっと読みたかったかも。

    ストーリーは、なにかできごとがあるわけでもなく、中年のいろんな立場の人たちが、淡々と、連綿と、いろんな自分の人生を生きていっている、というような感じで、いかにも江國さんといったふう。なにも解決とかしないし。どうして?と思うことの理由もわからないまま。とらえどころがないというか。嫌いじゃないけど。やっぱり、江國さんの文章自体をわたしは好きなんだなと思う。

    本を読んでばかりいる稔は50歳で、膨大な遺産があるので働かなくてよくて、いつも本の世界に入っていて、他人に興味がなくて冷たいように見えるのに、わりにまわりに人がいて、かまってもらえて、世捨て人のようになっていないのが不思議というか。うらやましいというか。どうしてなんだろうとか思ったり。あと、なんというか、反省とか後悔がなさそう、こんなふうに本読んでばっかりでどうなんだろう?っていうのがないのもうらやましいというか。

    (うーん、江國さんは、なんですかね、好きなように生きる、っていうのがいつもテーマなんですかね。。。)

    (どうでもいいけど、同世代なんだけど、どうもやっぱりバブル期っぽいというか、浅野温子とかゆう子とか出てきそうな気がして…)

    • たまもひさん
      私、江國香織さんって読んだことがないんですが、niwatokoさんの感想でちょっと興味が湧きました。
      それと、バブル期のイメージが私と同じ...
      私、江國香織さんって読んだことがないんですが、niwatokoさんの感想でちょっと興味が湧きました。
      それと、バブル期のイメージが私と同じで笑っちゃいました。私もバブルと聞くといつも、ワンレンでキメたW浅野の姿が脳内に浮かびます。私だけかと思ってた(笑)。
      2017/02/23
    • niwatokoさん
      どうでしょう、江國さん、好き嫌いはけっこうありそうな気がします。ダメな人はまったく受けつけないかも……。
      バブルといえば彼女たちですよね!...
      どうでしょう、江國さん、好き嫌いはけっこうありそうな気がします。ダメな人はまったく受けつけないかも……。
      バブルといえば彼女たちですよね!(笑)。
      中年になった彼女たちのようなイメージの字登場人物も出てきます。働いててお金があって、たまの休みにこじゃれたところで食事したり、温泉行ったりしてそうな。。。
      2017/02/23
  • 久々に江國香織。物語のなかの物語がきになる。

  • 読むなら、季節が移ろいゆく晩夏がぴったりだと思う。それも、夕方、風が吹き抜ける屋外で「なかなか暮れない夏の夕暮れ」を感じながら読めたら。毎日本ばかり読んでいる稔を中心に、登場人物の何気ない日常を描いた作品。物語の中で特別なことは何も起こらないけれども、登場人物一人ひとりの心情は少しずつ変化していく。そして、ひと夏が終わる頃、気持ちの変化ははっきりと目に見えるようになっている。季節も人の心も、確実に移ろうのだ。

    p103
    午後の淡い日ざしが冬枯れた庭園を侘しく彩っている。早く仕事を終えてロシアに帰りたかった。静かに降る美しく清潔な雪が、醜悪なものをすべて覆い隠してくれるロシアに。

    p240
    「……今夜会えない?」

  • なんで夏じゃない季節に思い浮かべる夏の夕暮れはものすごくよいものに思えるんだろう。
    うっかり昼寝しちゃって汗まみれで起きた時のだるい頭の中とか、もわんとしてゆっくり歩くしかないサンダルが足裏に貼りつく感じとか。
    本の中の本、という試みがとってもおもしろかった。主人公のびっくり具合を同時体験できるのは、本ならではののめり込みのおかげなんじゃないか。本の中の本のその後はかなり気になるけど。

  • 読んでよかったー,と思える本だった。読んでる本を途中で止めたときの感覚とか分かるところ多しだし,ラースはどうなったのか分からんままは嫌だといった凡人の心情も収拾してもらえるし。ここでも君たちはどう生きるかが出てくるか,というのも面白かった。
    あんまり期待せず読んだのがよかったのかもしれないけど,朝日新聞よありがとうと言いたい。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。
1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。
代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。

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