なかなか暮れない夏の夕暮れ

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.46
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  • レビュー :67
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413008

作品紹介・あらすじ

本ばかり読んでいる稔、姉の雀、元恋人の渚、娘の波十、友だちの大竹と淳子…。切実で愛しい小さな冒険の日々と頁をめくる官能を描き切る、待望の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 本編の主人公と、彼が読んでいる本の内容が自然に往き来してしまうため、初めの頃は何が何だかよく分からなかった。

    読み進めていくうちに、どうやら主人公の行動と、本の中の行動が続けて書かれていることに気づく。
    そして、全体の物語の中に入っていくことができるようになりました。
    さらに物語は淡々と続いて行きます。
    本書が終わってからも、そのまま。

  • 江國さんの小説を久々に読みました。あぁ、そうだった、江國さん、こんな感じだった。
    稔と雀の姉弟を取り巻くたくさんの登場人物、稔が読む小説、、、、頭が混乱しましたが、徐々に慣れてきて、稔が読む小説の方が気になったりして。

  • P256夫婦というのはグロテスクだ。結婚して以来何度も考えたことを、渚はまた考えてしまう。互いに相手の考えていることがわからなくても、それどころか、相手の存在を疎ましく感じるときでさえ、夜になれば一緒に眠り、朝になればおなじテーブルにつく。小さな不快さも言葉のすれちがいも、何一つ解決されないまま日々のなかに埋もれ、夜と朝がくり返され、夫婦以外の誰とも共有できない何かになってしまう。世間では、それを絆と呼ぶのだろう。だから、絆というのは日々の小さな不快さの積み重ねのことだ。

  • 江國先生にしては珍しい、長編での男性主人公。
    そして、登場人物が読んでいる小説の文章が挟み込まれるという形式で書かれた小説でした。
    う~~ん先生が書くとこうなるんだな…。
    途中で出てきた海外の絵本がめっちゃ気になるんだよな~~…。

  • 読書好きの主人公・稔が読んでいる本の内容が、作中作として書かれている。本の中ではいろいろ事件が起こるけど、稔の方の世界は平穏で何も起こらない。スパイの世界に入り込んでいたのに、インターフォンが鳴ったり誰かに話しかけられたりして稔が現実に引き戻されると、私まで読書を中断させられたような気になった。その物語が途切れる感じがなぜか好きだった。わかる、わかる。最後の稔のセリフが微笑ましい。続きも気にならないし、記憶にも残らないような話だったけど、休日に旅先でのんびり本を読んでいるような気分になれた。それがいい。

  • 最初の数ページを読んだところで、突然文章がぶちっと切れて白い行が1行。うわっ、乱丁?落丁?なんか校正のミス??いやいやわざと?と思いつつさらに数ページ読むと、今度は同じ文章が二度続いてまた白い行が。絶対に乱丁かなにかミスでしょ??と思い、そしたら新しい本に変えてもらってから読もう、と思って本をとじたわけで。ツイッターでも騒いで本当にバカなわたし。で、なぜかその夜ふと夜中に目を覚まして考えごとしていて、あ、あれはミスなんかじゃない、あれで正しいのだ、とふっと理解した。
    ぶちっと切れていたのは、登場人物が読んでいる本の文章なんだけど、つまり、登場人物が意識を本から離したところでぶちっと切れ、眠かったりして何度も同じ行を読んだとき、同じ文章がくり返されているという。
    最初からすっとわからなかったわたしは本当に馬韓なんだろう。だれも、ミス?とか思ってないみたいだ。
    でも、え?と一瞬思わせるっていうしかけなんだろう。。。

    しかけにまんまとひっかかったから言うわけじゃないけど、うーん、わたしはこの登場人物が読んでいる本(劇中劇じゃなくて、なに? 本中本?)をそれほどおもしろいと思えなかったような。北欧だかロシアだかのミステリみたいなのと、南米だか暑いところのミステリみたいな話だけど。それが全体の何分の一かわからないけど(適当にいうと五分の一くらいに感じたけど)それを読まされるより、本編をもっと読みたかったかも。

    ストーリーは、なにかできごとがあるわけでもなく、中年のいろんな立場の人たちが、淡々と、連綿と、いろんな自分の人生を生きていっている、というような感じで、いかにも江國さんといったふう。なにも解決とかしないし。どうして?と思うことの理由もわからないまま。とらえどころがないというか。嫌いじゃないけど。やっぱり、江國さんの文章自体をわたしは好きなんだなと思う。

    本を読んでばかりいる稔は50歳で、膨大な遺産があるので働かなくてよくて、いつも本の世界に入っていて、他人に興味がなくて冷たいように見えるのに、わりにまわりに人がいて、かまってもらえて、世捨て人のようになっていないのが不思議というか。うらやましいというか。どうしてなんだろうとか思ったり。あと、なんというか、反省とか後悔がなさそう、こんなふうに本読んでばっかりでどうなんだろう?っていうのがないのもうらやましいというか。

    (うーん、江國さんは、なんですかね、好きなように生きる、っていうのがいつもテーマなんですかね。。。)

    (どうでもいいけど、同世代なんだけど、どうもやっぱりバブル期っぽいというか、浅野温子とかゆう子とか出てきそうな気がして…)

    • たまもひさん
      私、江國香織さんって読んだことがないんですが、niwatokoさんの感想でちょっと興味が湧きました。
      それと、バブル期のイメージが私と同じで笑っちゃいました。私もバブルと聞くといつも、ワンレンでキメたW浅野の姿が脳内に浮かびます。私だけかと思ってた(笑)。
      2017/02/23
    • niwatokoさん
      どうでしょう、江國さん、好き嫌いはけっこうありそうな気がします。ダメな人はまったく受けつけないかも……。
      バブルといえば彼女たちですよね!(笑)。
      中年になった彼女たちのようなイメージの字登場人物も出てきます。働いててお金があって、たまの休みにこじゃれたところで食事したり、温泉行ったりしてそうな。。。
      2017/02/23
  • ものすごく久しぶりに江國香織を読んだ気がする。
    これといって大きな何かが起こるわけでなく、ただ、淡々と日常が過ぎていく。そんな日々と、対極にある作内小説が交互に語られ現実と虚構が入り混じる。
    小説を読んでいる時、急に声をかけられてもすぐには現実に戻ってこれない感じ、よくわかる。

    高等遊民のような稔くん、いいねぇ。現実感が薄くて。
    でも雀さんの方が好きだ。

  • 久しぶりに読んだ江國氏の作品。珍しく男性が主人公。が、いつものように語り手はコロコロ変わる。
    ちょっぴり浮世離れした資産家の男、稔。働かずに本ばかり読んで暮らしている。彼を取り巻く家族や友人たちの日常と、彼が読んでいる本の作中劇が数頁ごとに語り手を変えて綴られる。
    ストーリーとしては別段劇的なことが起こる訳でもなく、たんたんと進む。読みながら途中で思い出した。そうだ、そうだった、江國氏の作品はストーリーを楽しむというよりはむしろ、読んでいる間に漂うその雰囲気を楽しめばいいんだった。
    稔が読んでいる本の中に出てくる「プランテインの揚げ物」が気になって、途中で検索して調べてみた。そしたら、その直後に作品の中で稔も同じことをやってて笑えた。金持ちの稔はさらにプランテインを取り寄せて揚げ物作りに挑戦していたが(笑)
    本好きの人の心理、頁を捲る喜びが分かる作品。
    2018/04

  • 作中小説を含むと登場人物が多い。でも読み進んでいるうちに、名前も覚えて設定も馴染んで読み終わる頃にはえっ、これでおしまい?とあっけなく終わってしまったと思うほどに小説の世界に浸った。作中小説の世界からなかなか戻って来られない稔みたいに。
    タイトルから感じる夏の心地よい気だるさを思い出させる小説だった。
    雀は誰かの目を通した人物像より、本人一人称の描写の方が好感を持てた。誰にも邪魔されない自分の世界は幸せそう。他の登場人物は充分自由そうな稔でさえも誰かの事を想って憂いだりしているのに。

  • 20180301読了

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