なかなか暮れない夏の夕暮れ

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著者 : 江國香織
  • 角川春樹事務所 (2017年2月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413008

作品紹介

本ばかり読んでいる稔、姉の雀、元恋人の渚、娘の波十、友だちの大竹と淳子…。切実で愛しい小さな冒険の日々と頁をめくる官能を描き切る、待望の長篇小説。

なかなか暮れない夏の夕暮れの感想・レビュー・書評

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  • 本編の主人公と、彼が読んでいる本の内容が自然に往き来してしまうため、初めの頃は何が何だかよく分からなかった。

    読み進めていくうちに、どうやら主人公の行動と、本の中の行動が続けて書かれていることに気づく。
    そして、全体の物語の中に入っていくことができるようになりました。
    さらに物語は淡々と続いて行きます。
    本書が終わってからも、そのまま。

  • 江國さんの小説を久々に読みました。あぁ、そうだった、江國さん、こんな感じだった。
    稔と雀の姉弟を取り巻くたくさんの登場人物、稔が読む小説、、、、頭が混乱しましたが、徐々に慣れてきて、稔が読む小説の方が気になったりして。

  • P256夫婦というのはグロテスクだ。結婚して以来何度も考えたことを、渚はまた考えてしまう。互いに相手の考えていることがわからなくても、それどころか、相手の存在を疎ましく感じるときでさえ、夜になれば一緒に眠り、朝になればおなじテーブルにつく。小さな不快さも言葉のすれちがいも、何一つ解決されないまま日々のなかに埋もれ、夜と朝がくり返され、夫婦以外の誰とも共有できない何かになってしまう。世間では、それを絆と呼ぶのだろう。だから、絆というのは日々の小さな不快さの積み重ねのことだ。

  • 江國先生にしては珍しい、長編での男性主人公。
    そして、登場人物が読んでいる小説の文章が挟み込まれるという形式で書かれた小説でした。
    う~~ん先生が書くとこうなるんだな…。
    途中で出てきた海外の絵本がめっちゃ気になるんだよな~~…。

  • 読書好きの主人公・稔が読んでいる本の内容が、作中作として書かれている。本の中ではいろいろ事件が起こるけど、稔の方の世界は平穏で何も起こらない。スパイの世界に入り込んでいたのに、インターフォンが鳴ったり誰かに話しかけられたりして稔が現実に引き戻されると、私まで読書を中断させられたような気になった。その物語が途切れる感じがなぜか好きだった。わかる、わかる。最後の稔のセリフが微笑ましい。続きも気にならないし、記憶にも残らないような話だったけど、休日に旅先でのんびり本を読んでいるような気分になれた。それがいい。

  • 最初の数ページを読んだところで、突然文章がぶちっと切れて白い行が1行。うわっ、乱丁?落丁?なんか校正のミス??いやいやわざと?と思いつつさらに数ページ読むと、今度は同じ文章が二度続いてまた白い行が。絶対に乱丁かなにかミスでしょ??と思い、そしたら新しい本に変えてもらってから読もう、と思って本をとじたわけで。ツイッターでも騒いで本当にバカなわたし。で、なぜかその夜ふと夜中に目を覚まして考えごとしていて、あ、あれはミスなんかじゃない、あれで正しいのだ、とふっと理解した。
    ぶちっと切れていたのは、登場人物が読んでいる本の文章なんだけど、つまり、登場人物が意識を本から離したところでぶちっと切れ、眠かったりして何度も同じ行を読んだとき、同じ文章がくり返されているという。
    最初からすっとわからなかったわたしは本当に馬韓なんだろう。だれも、ミス?とか思ってないみたいだ。
    でも、え?と一瞬思わせるっていうしかけなんだろう。。。

    しかけにまんまとひっかかったから言うわけじゃないけど、うーん、わたしはこの登場人物が読んでいる本(劇中劇じゃなくて、なに? 本中本?)をそれほどおもしろいと思えなかったような。北欧だかロシアだかのミステリみたいなのと、南米だか暑いところのミステリみたいな話だけど。それが全体の何分の一かわからないけど(適当にいうと五分の一くらいに感じたけど)それを読まされるより、本編をもっと読みたかったかも。

    ストーリーは、なにかできごとがあるわけでもなく、中年のいろんな立場の人たちが、淡々と、連綿と、いろんな自分の人生を生きていっている、というような感じで、いかにも江國さんといったふう。なにも解決とかしないし。どうして?と思うことの理由もわからないまま。とらえどころがないというか。嫌いじゃないけど。やっぱり、江國さんの文章自体をわたしは好きなんだなと思う。

    本を読んでばかりいる稔は50歳で、膨大な遺産があるので働かなくてよくて、いつも本の世界に入っていて、他人に興味がなくて冷たいように見えるのに、わりにまわりに人がいて、かまってもらえて、世捨て人のようになっていないのが不思議というか。うらやましいというか。どうしてなんだろうとか思ったり。あと、なんというか、反省とか後悔がなさそう、こんなふうに本読んでばっかりでどうなんだろう?っていうのがないのもうらやましいというか。

    (うーん、江國さんは、なんですかね、好きなように生きる、っていうのがいつもテーマなんですかね。。。)

    (どうでもいいけど、同世代なんだけど、どうもやっぱりバブル期っぽいというか、浅野温子とかゆう子とか出てきそうな気がして…)

  • 資産家で読書好きな自由人が、ちょっと浮世離れしているというか、とても五十男には思えないところがなんだか楽しい。
    彼の読んでいる小説は、読んでいる部分しか内容が分からず全体が気になるし、読書を中断した後もまだ少し意識が本の中にある様子なんかは、そうそうそんな感じ、と頷いてしまう。

    小説の中身だけじゃなく、彼や周りの人達のことも、視点を変えながら断片的に知っていくのが面白かった。
    誰のことも少しずつ興味が増していくのに、一から十までは分からないところがとても自然でよかった。

  • 2018.1.26
    稔、雀、大竹、波十、淳子、渚、茜、由麻。本に入り込むと現実に戻ったときに一瞬?てなる感覚、よくわかる。大きな事件は起きない、登場人物のそれぞれの日常が静かに進んで行く。
    ふつう、なんてきっとないのだろうけど人は無意識のうちにそれを求め自分と比較してしまう。渚の、夫婦とか日常生活に対する感じ方が、なんとなくリアルに思えた。

  • 苦手かもしれない

  • 主人公が読んでる本の文章が、文中に入ってくるという、新鮮な内容だった。

    この、本の世界から現実に出てくる感じ、現実に戻っても半分本の中の世界に足を突っ込んでる感じ。ものすごくわかる。なるなる、と、思う。

    本の中は本の中で激しくいろいろあって、現実は現実で淡々としてる日々のようであれこれあって、そう、人生の一部分ってこんなふうだよなぁ。
    特に大きななにか出来事があるわけでもないけど、おもしろかった。

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