- Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758413015
作品紹介・あらすじ
許されぬ恋、王位継承の争い…激動の時代をみずみずしく描く、書き下ろし長篇小説!
感想・レビュー・書評
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飛鳥、蘇我、古事記と好きなもの三連コンボのご本。大元の古事記を借りようと思い検索をかけた時、引っかかったので一緒借りてみたのですが、大変面白かったです。語り部の語る古事記の話と主人公の娘の物語が交互に、しかし違和感なく紡がれています。娘の物語は歴史の裏をつく壮大なフィクションなのですが、もしかしたらこんなこともあったかもと思う物語でした。この辺りの歴史物語が好きな方にはオススメです。
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『高天原ーー厩戸皇子の神話』の後に読んだのでその続編として読め、「古事記」が完成されて良かったなと思えた。まぁ1300年も昔の話なので、のちに「序文」が書き加えられた経緯も”然もありなん”で面白かったし、そもそも古典文学全般にそういったことがあったのだろうに現在まで脈々と受け継がれてきたのは本当に素晴らしいことだと思う。にしても当時、渡来人の存在感て今思う以上に大きかったのだろうなぁ…私が大和和紀の名作『天の果て地の限り』を読んでいた頃より学術的研究も進んだのだろうし。おかげで近頃じゃ、中大兄皇子や大海人皇子のイメージ像が随分変わりましたよ(^^; ヤマドリとコダマの物語は美しくも哀しかったけど、古代の人々が生き生きと感じられて良かったです。また奈良に行きたくなった~。
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歴史物は好きでよく読むが、乙巳の変(大化の改新)から壬申の乱のあたりの話は読んだことがなかったので新鮮だった。古事記のなりたちを絡めた斬新な話ではあったが、登場人物を含めなんとなくほんのりと柔らかく、面白かった。
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教科書でしか知らなかった登場人物が
いきいきとその時代を生きる。
ヤマドリとコダマの切ない恋物語。
1300年以上前の時代に
壮大なロマンを思う。 -
乙巳の変から壬申の乱と政情穏やかならざる時代を、百済人の家族の視点から描いています。仕えていた蘇我入鹿から生まれたばかりの女児を託されたことで、時代の激動に飲み込まれます。コダマが愛らしいキャラなので感情移入してしまい、物語の展開に一喜一憂します。虚実を自在に織りまぜていて、だれずに一気読みできます。古代史入門としても高校生くらいから広く手に取られるのもいいですね。
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雨だから1日読書。家にこもって読んだからこそ、余計に際立つ壮大さだった。物語は語り手のものであり、聞き手のものであり、両者に受け入れられたものが今に残ったのだと思う。伝えたい気持ちが、何かを残す。1000年以上も前の物語が今に残ることの素晴らしさを思う。
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書き下ろし
百済系渡来人「舟」氏が直面した大化の改新から壬申の乱までの激動の物語で、豪族連合のヤマト政権から天皇中心の中央集権国家に変化していく過程で否定され滅ぼされた蘇我氏の赤ん坊を、舟氏の長が極秘に救い自分の娘として育てるのだが、その盲目の娘コダマの波乱の半生記でもあり、古事記のなりたちの物語でもある。
税吏の舟氏は、文書吏としても「大王記国記臣連伴造国造百八十部并公民等本記」(すめらみことのき・くにのき・おみむらじ・とものみやつこ・くにのみやつこ・ももあまりやそべならびにおおみたかららのもとつふみ:本文中では音読みになっているが、なつかしい!)を編纂した(と描かれる)が、盲目の娘はこれをそらんじ、聞いた神々の説話を結びつけて生き生きとした物語として語るようになる。
史学概論の最初の講義で「歴史」を意味するドイツ語には”Geschichte”(記録されたできごと)と”Historie”(物語られた歴史)があると教わったが、さしずめ後者としての古事記の成立を、物語を担った人々の人生に想いを寄せて描いてみせた著者の視点に、なるほどとうなずかされる。