- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758413091
感想・レビュー・書評
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相場英雄『トップリーグ』ハルキ文庫。
大和新聞の松岡直樹と週刊新時代の酒井祐治の二人の記者を主人公にした政界ミステリー小説。タイトルの『トップリーグ』とは、総理大臣や官房長官、与党幹部に食い込んだごく一部の記者を指すらしい。
池井戸潤の半沢直樹シリーズのような出来る男が主人公の一種のお仕事小説といった内容で、主人公の一人である松岡がいきなりトップリーグに登り詰める過程が面白い。また、あのロッキード事件を題材に、政界の闇を巧く描いており、終盤の畳み掛けるような展開は非常に読み応えがある。政治ミステリー小説というよりも、政治ホラー小説と言って良いくらいの怖さがあった。
都内の埋立地で発見された1億5千万円の謎を追い掛ける酒井祐治は、次第に政界の闇へと足を踏み入れる。一方、酒井の同期の松岡直樹は政治部へ異動した直後に官房長官番となり、またたく間にトップリーグへと登り詰めるが……
今月にはシリーズ第2弾が文庫化されるようだ。
本体価格760円
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終盤にきての大展開。最後の最後は....そういうことになるんじゃないかと、思ってたw
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この間 菅義偉が、安倍首相の長期政権を維持できたのか?
「官邸主導」という 政治スタイル。
そして、人事権を掌握して、官僚まで掌握する。
記者会見のふてぶてしさ。
嫌いな記者には、情報を与えない。
その内実と内情が、よくわかったのがよかった。
この物語は、実に 菅義偉とマスコミのコントロールの手法が、
実に 明確に描写される。
松岡という新聞記者と酒井という週刊誌記者が競い合う。
二人は、新聞社の元同僚だった。
松岡は、経済部から政治部へ。
総理番から、ピンチヒッターで官房長官の懇談会に参加。
松岡が質問することで、官房長官に気に入れられる。
官房長官番となり、さらに 裏懇のメンバーにもなる。
政府の首脳に直接 話ができるようになることを
トップリーグという。
酒井は、埋められていた金庫の中に札束があり、
1億5千万円 入っていたことで、大きな事件にぶつかって行く。
結構、スリリングな展開。
普通の記者として 進むのか?
トップリーグの記者として、かがやくのか?
終わり方が、読者に どちらを選んだかを 想像させる。
実に、巧みな 問題提起のある 作品である。 -
ラストが微妙に誤魔化されたような気がします。
それが良いのか悪いのか。
流れ道理に行けばシンプルなストーリーだったと思います。
けどそれだとタイトルのトップリーグの意味が無いのかな。 -
経済部から政治部へと異動となった新聞記者の松岡は、瞬く間に「トップリーグ」と呼ばれる官房長官に食い込んだごく一握りの記者となる。一方、元同期で現在は週刊誌記者の酒井は、昭和史に残る一大疑獄事件の真相に迫るも、発表を前にして妨害工作に遭い瀕死の重症を負う。後を松岡に託すが・・・
ロッキード事件をモチーフにしており、登場人物のネーミングは面白い。現在の政権トップや与党幹部など、すぐに思い浮ぶ顔もあり楽しめた。
結局・・・気になるところだが。 -
トップリーグとは何ぞや?ロッキード事件をモチーフにした事件を中心に物語が進んでいき事件の真相が明らかになるなかで政府首脳と特別な立場になった番記者との魑魅魍魎なやり取りを描いている。題材が大きすぎてページが足りないように思う。政府首脳の攻撃を結果としてしか描いておらず、もっと過程を描いて欲しかった。最後の松岡の決断がすごく気になる!
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ロッキード事件をモチーフにした作品。
お台場で発見された大量の聖徳太子の1万円札。このお金はロッキード事件に関与するものと思われ、元大和新聞の記者で現在は週刊誌の記者をしている酒井は過去の事件の真相を改めて追い始める。
その酒井と交互に、政治部に異動したばかりなのに、何故か官房長官番に選ばれた酒井の同期で、現在も大和新聞の記者である松岡の様子が描かれる。
政界の関係者は、名前は変えられているものの、安倍政権の現職を思い浮かべてしまう。
こういう隠れ資金ものの話は好きなので、全体的に面白いと思って読んでいたが、展開がスピーディーではなく、なかなか進まないのがいまいち。結果は見えているのに、そこまで長引かせておきながら、ラストのまとめ方が雑なのがすごく残念。 -
相場作品はハズレがなく、本当に面白い。ラストの決断を読者の想像に委ねるあたりも心憎い。クセになる面白さ。