純喫茶パオーン

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.22
  • (36)
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  • (67)
  • (11)
本棚登録 : 2004
感想 : 175
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413589

作品紹介・あらすじ

その昔ながらの喫茶店には
なぜか不思議な事件と
個性的な人々が引き寄せられる。


看板メニューはおじいちゃんの「特製ミルクセーキ」おばあちゃんの「魔法のナポリタン」!
店主の孫の「ぼく」が見た、どこかとぼけて愛らしい温かな日々と少しの謎。
『しずかな日々』『るり姉』の著者が描く喫茶店ミステリー!

創業50年(おおよそ)の喫茶店「純喫茶パオーン」。
トレイを持つ手がいつも小刻みに震えているのに、グラスにたっぷり、表面張力ギリギリで運ぶ「おじいちゃんの特製ミルクセーキ」と、
どんなにお腹がいっぱいでも食べたくなっちゃう「おばあちゃんの魔法のナポリタン」が看板メニューだ。
その店主の孫である「ぼく」が小学5年・中学1年・大学1年の頃にそれぞれ出会う不思議な事件と、人生のちょっとした真実。
心地の好さに、きっとあなたも通いたくなる。

感想・レビュー・書評

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  • 脱力系で気軽に楽しめそうなタイトルだったので手にした一冊、クリスマスに読むのに相応しいのかわからなかったけど3人の小学生がサンタはいつまで信じてたかって話題で盛り上がってたのでまあまあニアミスかなって感じで読めました。主人公の祖父母がお店を開いてる純喫茶その名も「パオーン」って一見さんは入りづらそうだけど常連さんに愛されてそこそこ繁盛しているお店のようです。エセ方言を使ってお客さんの気を引こうとするお祖父さんにはちょっと退いてしまいそうなんですが、語尾に「だっちゃ」とか「ニャー」とかつけて再度挑んでくるあたりになると、無視しても悪そうな気もするし憎めないかも。
    主人公が中学、大学になるにつれてお店を手伝ったりしながらも続いててメンバーも成長しても変わらず贔屓にしてくれるお店っていいですね。タバコ臭そうな店内でメニューもあまり無さそうだけど、まだまだ社会に必要とされてるってところが使命感あって良さげでした。
    エピソードはちょっとしたミステリー要素もあるけれどまあご愛嬌でよかった感じでした。

    • かなさん
      しじみさん、おはようございます(^^)
      この作品の表紙、すごくかわいいですよね♪
      私も読んでみましたが、ラノベっぽい読み口だったかな…
      ...
      しじみさん、おはようございます(^^)
      この作品の表紙、すごくかわいいですよね♪
      私も読んでみましたが、ラノベっぽい読み口だったかな…
      あったかいミルクセーキ、飲みたくなりました♡
      2023/12/26
    • つくねさん
      かなさん、こんにちは♪

      私はナポリタン食べたくなりました。
      小学生の時に喫茶店で、はじめて食べて感動したんですよね。
      こちらの方で...
      かなさん、こんにちは♪

      私はナポリタン食べたくなりました。
      小学生の時に喫茶店で、はじめて食べて感動したんですよね。
      こちらの方では鉄板にナポリタンが盛り付けてあって上にウインナーがのってて、まわりを溶き卵でコーティングして熱々のうちに食べるのが
      ナポリタンなんですよね。
      スパゲッティといえばこのナポリタンのことだと思ってましたが
      パスタって呼ぶようになっていろいろ種類があることに
      カルチャーショック受けたことを思いだしました。
      それと食べ方もフォークとスプーンを使ってくるくる巻いて食べるとか
      そんなお洒落な食べ方しりませんでしたww
      2023/12/26
  • ミステリー系ばかり読んでいたので何か心温まるような話はないかなと思い適当に選びました。

    純喫茶パオーンは来人のおじいちゃんとおばあちゃんがやっている昔ながらの喫茶店。
    来人が小学校5年、中学1年、大学1年のときの純喫茶パオーンで起こったお話。

    パオーンという名は象の鳴き声だそうです。
    おじいちゃんの、なんちゃって方言には笑えます。
    サンタクロースを信じているかどうかの話から始まり、パオーンにのっぺらぼうの幽霊が出るという二話目。
    そして最終話はパオーンに強盗が入ります。
    来人の親友の圭一郎が突然タップダンスを踊り出したのには思わず声を出して大笑いしてしまいました。

    パオーンのメニューではミックスサンドが、玉子サンド、ハムサンド、ピーナッサンドというのが気に入って、家でも作ってみようと思いました。
    他にもナポリタン、ミルクセーキ、バナナジュースなども美味しそうでした。

    • しずくさん
      先日図書館へ行った折りに本作が新刊コーナーにあり、どこかで見た装丁??? 思わず借りました。椰月さんはずいぶんと久しぶりです。まことさんの本...
      先日図書館へ行った折りに本作が新刊コーナーにあり、どこかで見た装丁??? 思わず借りました。椰月さんはずいぶんと久しぶりです。まことさんの本棚だったのですね。
      2021/07/01
    • まことさん
      しずくさん。
      椰月さんの作品は私は初めて読みました。
      最近ミステリーばかりだったので、気持ちを和ませてくれました。
      (この作品も軽いミ...
      しずくさん。
      椰月さんの作品は私は初めて読みました。
      最近ミステリーばかりだったので、気持ちを和ませてくれました。
      (この作品も軽いミステリーなんですが)
      2021/07/01
  • 常に手がふるえてしまうのに

    飲み物をこぼさないおじいちゃんや

    LGBTの美人ゆりちゃんなど

    キャラがいい味出してます



    来人や幼馴染たちも

    パオーンで無銭飲食しすぎだし

    ゆりちゃんにサービスしすぎだし

    いかにも 儲かってなさそうで

    ザ・昭和の喫茶店です



    本当の昭和の喫茶店は

    こんなに薄利多売ではありませんが

    人情にあふれたイメージ通りで

    心温かく読むことが出来ます

  • 昨日まで読んでいた本がシリアスでハードだったので、今日はほのぼの系を。

    フォローしているレビュアーさん方のレビューを読んで気になった作品。
    今や見付けるのが難しいほど少なくなった純喫茶〈パオーン〉を舞台に、少年・来人(らいと)の成長を描く。

    特に大きな事件が起こるわけではない(最終話はちょっとした事件だが)。来人の友人たちとの関係、年上の幼なじみの恋、自らの初恋など青春の一ページをコミカルにでもちょっとセンチメンタルも織り交ぜて進む。

    魅力的なのは〈パオーン〉を営む来人の祖父母。似非方言を織り交ぜて話すのが癖のおじいちゃんはいい加減なようできちんと人を見ている。その上で見守る時、引く時、言うべき時を分かっている。こういうさじ加減はさすが四十年以上の商売経験、それ以上の人生経験があってのこと。
    その中には苦しいこと辛いことあったはずだが、飄々とおふざけをしたり格好良い。
    そしておばあちゃんの作るナポリタンやミックスサンドなどの純喫茶らしいメニューがどれも美味しそう。全てレシピなどなく長年のさじ加減で味付けが出来るというのもさすが。

    少しずつ来人らが成長する一方で祖父母は年を取っていく。だが来人も一見頼りないがそうではない来人の父親もいるし、きっと大丈夫。世代交代しても〈パオーン〉の味は続く。

  • ブクログの喫茶店の本特集で知った1冊。
    特集を読んでちょっと気になっていたところ、たまたま図書館の紹介棚にあり、勝手に運命を感じて(笑)借りました。

    この本の舞台はタイトル通り「純喫茶パオーン」。
    この喫茶店は、ちゃっきちゃきおばあちゃん(キッチン担当)とデタラメチャーミングな方言を話すおじいちゃん(ホール担当)が営んでいます。
    その老夫婦の孫・来人が、本作の主人公です。

    収録されている物語は3つ。
    物語が進むたびに来人も小5、中1、大学1年と成長していき、来人とパオーンのまわりで起きるちょっと不思議な出来事たちが、それぞれの時間軸で展開されています。

    来人くんは小5のときから落ち着いた感じなので、読んでいる方から見ると良くも悪くもあまり年齢差を感じませんでした。
    じゃあ読んでるお前さんは、小5、中1、大学1年とどんだけ内面変わってた??モノローグ書くとその差がわかるくらいに変わってたかい??…と言われてしまうとこまっちゃうナ…なので、来人くんのモノローグにそこまで変化がないこともまた、そういうこともありますよ〜くらいで留めておきます。

    また来人くんが成長する…ということは、そのまわりも年を重ねる…ということ。
    それぞれのお話のおじいちゃん、おばあちゃんの変化、特に最後のお話「パオーンは永遠に」での2人の描写は、読んでいてせつなくなりました。

  • この装丁、レトロな雰囲気で可愛い!そう思い手にとった作品です。
    創業約50年の「純喫茶パオーン」…店主は主人公の来人のおじいちゃんとおばあちゃんで来人も友達と一緒に訪れたりお手伝いに通っていた…来人が小学5年生、中学1年生、大学1年生、それぞれの時期に「純喫茶パオーン」で繰り広げられる連作集…。
    読み終えて、このおじいちゃんの存在がすっごくいいと思いました。孫のため、家族のため、地域のために奮闘するおじいちゃん、憎めないなぁ~!ナポリタンとミルクセーキ、注文したらおばぁちゃんが作ってくれておじいちゃんが運んでくれる…そんなあったかい場所、リアルに行ってみたくないました。その後「純喫茶パオーン」がどんな風になっているのか、続編読みたくもなります。

  • メロンクリームソーダ色の表紙(イラストも)が目を引く本書。

    昔ながらの喫茶店〈純喫茶パオーン〉。
    店主・おじいちゃんの「特製ミルクセーキ」とおばあちゃんの「魔法のナポリタン」が看板メニューです。
    そんな〈パオーン〉を舞台に、老夫婦の孫・来人(らいと)の視点で綴られる、連作三話の構成となっております。

    “純喫茶”って、オッサンのオアシスというイメージですが、本書の〈パオーン〉は“終日喫煙OK”だったりと、“ちゃんと昭和”な喫茶店ではあるのですが、来人とその友人達を始め、“心が乙女”のゆりちゃん等、客層若めな印象で居心地良さそうですよね~。
    何といっても、店主のおじいちゃんのトボけた感じと、おばあちゃんの作る“間違いない王道メニュー”の数々が魅力なのです。
    そんな〈パオーン〉に入り浸る(お手伝いもしてます)来人が小学5年(一話目)・中学1年(二話目)・大学1年(三話目)に経験する、アレコレが軽いタッチで描かれていて、サラっと読めちゃいます。
    来人は、昨今の少年主人公像にありがちな、ちょっと冷めている目線の“小器用で小賢しい”キャラで・・と書くと、何だか嫌な奴みたいになってしまいますが、そんな事はなくて、おじいちゃんとおばあちゃんが大好きで、ちゃんと正義感もある良い子です。
    ただ、自分の事を“可愛い&そっち方面の男性から好かれる”と自覚しているところとかは鼻につくかな・・。(※個人の意見です)
    それに比べて、終始“やらかして”いる圭一郎の方が可愛げがあって、“頑張れよ!”と応援したくなりますね。
    第三話で、圭一郎の浅はかな“ドッキリ企画”が思わぬ“本物さんご登場”になり、洒落にならない展開になってしまった時は、皆から(特に女性陣・・あ、勿論ゆりちゃんも“女性陣”です!)大ブーイングされてお気の毒でした。(確かにドッキリの内容はドン引きものでしたが、あの物騒な展開は彼のせいではないもんね・・)
    個人的には、第二話の琉生の“迷惑行為”も大概だと思うのですが、こっちはあっさり許されていました。(ま、中学生だし、彼は彼で悩んでいたし・・という事かな)

    ・・等々、色んなことが〈パオーン〉で起こる訳ですが、それらをまるっと受け入れる、おじいちゃんとおばあちゃんの器の大きさが良いですね。
    一方、来人達の成長と併せて、お二人も歳をとっていく訳で、最終話でのお二人の様子にはちょっと切ないものがありました。
    琉生や来人のお父さんが〈パオーン〉を引き継く気満々なのは良いですが、ちゃんと“魔法のナポリタン”作れるかどうか・・これ大事ですよね~。

  • そこではいつもの日常とちょっとした謎が繰り返される。
    店主の孫、来人が
    小学5年・中学1年・大学1年と成長してゆく物語。

    その分、おじいちゃんとおばあちゃんは
    ちゃんと歳をとる。

    それがとても正直で当たり前でちょっと切ない。

    日常は当たり前と驚異と切なさに溢れている。

    保育園からの友達、圭一郎と琉生もいいキャラで微笑ましい。
    優しい、どこか懐かしい「純喫茶パオーン」
    ご近所に一軒欲しい。
    そうしたら絶対ナポリタン食べる!
    #純喫茶パオーン #NetGalleyJP

  • 祖父母が営む純喫茶を手伝う孫の、大事件は起きなくても色々あるのだというような日常のお話。明るくにぎやかで、軽やかに読めた。
    彼が小学生から中学生、大学生へと成長していく中で、考えや興味や気がかりの内容も変わっていくのが微笑ましくて、遠くの親戚のような気分になる。
    みんなが大好きなお店がずっと続くといいなと思った。

  • レトロ喫茶店を営む老夫婦の孫くんが主人公。
    小学、中学、大学生でお話が進んでいきます。
    さっくり読めてしまいました。

    友人たちや家族とのやり取りが重ねられながら、全体的にほわっとした空気感をまとっていて、どこか懐かしさを感じられるお話。
    そして、終始、主人公の来人くんが、落ち着いているけど独特な感性の持ち主(?)のスタンスを貫いてくれているところも安心感に繋がっているのかなと。幼い正義感、オカルトへの好奇心、変なポイントを気にしてしまうところ……自分の子供時代と重ね合わせて過去を懐かしみながら、LGBTや女性が働くことなど、社会の1面もミックスされていて、考えさせられる。

    出てくる料理もどれも美味しそう!ナポリタンとかミルクセーキと普段あまり食べないので、今度の週末は喫茶店探して出かけてみようかなとおもいます。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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