我々は、みな孤独である

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 246
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413619

感想・レビュー・書評

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  • これは面白い!題名や表紙の絵柄から想像できる以上にハードな内容であるが、貴志祐介らしい作品。ちょっと変わった探偵ものかなと思いながら読み進めると大傑作『新世界より』を彷彿とさせる広がりを感じさせる世界観が表れるところは、身震いしてしまう。哲学的な展開になっていくが、SF的な広がりの中で語られるので何となく納得感をもって読み終える。一気読み必至の傑作。

  • ◆おすすめ度◆
    ・輪廻転生なホラー小説度:★★★★
    ・サイキックなオカルト小説度:★★★
    ・暴力行為が強烈なノワール小説度:★★★★

    ◆感想◆
    探偵の茶畑は、「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」という依頼を受ける。前世などあるわけがないと思っていた茶畑は、依頼人の正気を疑うのだが…

    探偵の茶畑が、前世で起きた殺人事件を調査するというオカルティックなストーリーがメイン。
    そこにサイコキラーや霊能力者、麻薬組織などのアブナイ人たちが登場して、ノワールな側面もあるエンターテイメント小説に。
    というか、ノワールな内容がメインになっている感も。

     前世はあるのか? 誰が犯人なのか?
     人が人にふるう暴力は、なぜ最悪の愚行なのか?
     「我々は、みな孤独である」という表題の意味は?

    広げた風呂敷はどう畳むのか?というのが最大の興味となって読み進むが、SFぽい味付けもある想像を超えた結末に唖然。
    これは、愛が孤独を癒やすということ?
    生きる苦しみは自己愛が救うということ?

    残酷な描写は鳥肌モノですが、ラストは遥かな未来を夢想するような感じ。
    著者らしいジャンル分け不能のエンターテイメントでした。

    本書で学んだ教訓:女性のオッパイは、やたらと揉んではいけません。その後を見据えた覚悟が必要です。

  • 茶畑探偵事務所に正木エンジニアリング会長・正木氏から持ち込まれた調査依頼は、「前世で私を殺した人物を見つけてくれ」というものだった。
    正木氏は、夢に見たという前世の事件を語り始める。前世などはなから信じていない探偵・茶畑だったが、適当に調査して法外な調査費用だけ頂こうという事務員・毬子の口車に乗り調査を進めるうち、次第にその夢が実際に江戸時代にあった史実と不思議に合致していることに気がつくのだった‥‥

    冒頭から想像していたのとはなんだか違う展開になっていく物語、どこに連れて行ってくれるのか興味津々で読み続ける。
    だけど、江戸時代の水利争い、山崎の戦い、太平洋戦争末期、昭和40年代などどんどん出てくるエピソードが次第にとっ散らかってきて、話がどこへ向かうのかが見えなくなる。

    人がたくさん出て来るけど放置されていたり、会社乗っ取りの話も結論は分からず、メキシコマフィアの問題も中途半端‥‥
    で、前世、生まれ変わりに話は収束し、最後はわりと唐突に終わる感じが否めない。
    ん〜、作者が伝えたかったメッセージはなんとなくわかるんだけど、もう少し決めの細かいストーリーにして欲しかったな〜残念

  • 夢に見た前世で起こった殺人事件の犯人を捜してほしい、という奇妙な依頼から始まる物語。前世は本当にあるのか、という馬鹿馬鹿しいような問題を突き詰めていくうちに、次々と前世の夢を見始める関係者たち。夢と事実との合致に加え、前世が重複するという奇妙な現象。怪しげな占い師の警告。さらにはメキシコマフィアとの息詰まるような攻防も加わり、いったいどういうジャンルの物語なのかがわからないけれど、とにかく怒涛の展開に引き込まれてしまう一作です。
    ミステリのようでもあり、SFのようでもあり。宇宙の真理にも到達してしまうような恐ろしい物語。というよりこれを恐ろしいと捉えるべきなのか、それとも救いと捉えるべきなのかは人によるのかもしれません。これを「孤独」だと認識してしまったらたしかにたとえようのない恐怖ではありそうですが。丹野のように吹っ切れてしまってもそれはそれで恐ろしいのかも。

  • 探偵の茶畑の元に、前世で自身を殺した犯人を捜してほしいという依頼が舞い込む。その話をした霊媒師に話を聞きに行くと、茶畑も徐々に前世が見えるようになる。依頼人の前世を調べるうちに、前世の様々な矛盾が明らかになる。前世とは何なのか?かなり哲学的な話になっていきます。途中幼馴染の暴力団員とメキシコマフィアとの構想に巻き込まれたりと、かなりえぐい描写もあるが、貴志さんらしいと言えるのか?ネタバレすると、最初の話もなんでもありになるので、どうなのかなとも思います。すっきり感はないかな・・・

  • この作品を読み終わって、とんでもないものを読んでしまった感覚になっています。

    貴志祐介さんは元々好きで、新しい作品ということで嬉嬉として軽い気持ちで手に取りましたが、思っていたのとはまた違う方向ですごい小説でした。

    今までのエンターテインメント性の高い作風とはすこし違った感じで、読者の思想や内面に語りかけてくるイメージ。

    もちろん、ストーリーはストーリーとして楽しめますが、かなり攻めた、試験的で挑戦的な作品だなぁという印象が強いです。
    わたし的に、今年いちばんのヤバイ本でした。

  • 著者の久しぶりの作品。
    伏線の回収もなく
    唐突に終わるラストはあまりにも酷い。
    各々のエピソードは面白いから余計残念感が増し増し。
    今年ワーストに決定。
    今年の文芸は不作、単行本高いし
    様子見してから購入しようと決意させてくれた一冊。

  • 探偵茶畑が企業の会長正木から受けた依頼、「前世で自分を殺したのが誰なのかつきとめてほしい」

  • 死生観をテーマとした作品

    孤独のレベルや日常生活で一般人が経験する出来事のレベルを限界突破し過ぎているせいか、現実的な想像が出来ず、やや読者が置いてけぼりを喰らった感があります。

    けれどもそれくらいがいい。
    そのくらいぶっ飛んでいる方が読んでいて爽快でした。

    読了後も自分の死生観について考え直させられ、作品の余韻を味わっています。

  • 探偵である主人公の元に寄せられた依頼は、「前世の自分が何者かを明らかにして、自分を殺した人物を見つけ出して欲しい」というものだった。

    荒唐無稽な依頼を負わなければならなくなったのは、事務所からお金を持ち逃げされ、挙げ句ヤクザからも追われているという体で……。

    以下、解釈挟むのでストーリーの根幹に触れられたくない方はご注意。



    この二つの事件?を軸に、話は展開するのだが。

    確かに、前世の謎を追うというパートでは、不思議だけど落とし所もあって面白い。
    個人的には、占い師さんの言葉(宇宙の中では暴力が最も愚劣な行為ですわよ、みたいなやつ)がリフレインする中で、悪行を重ねる人間は、輪廻の輪から逃げられないんだぞ!という永劫地獄エンドを想像していたのだけど……違った(笑)

    北川くんパートについては、人間の扱いが残虐すぎて、いつの間にか主人公までそっち側に躊躇いなく進んでいくことに、付いていけなかった……。
    貴志祐介らしいと言われたらそうなんだけど、最初に普通人ぶって、いきなりボコボコにするの躊躇いませんけど、すーん、は怖すぎる。

    そういう違和感を抱えながら、エンディングに希望を見出されても……って引いてしまった。

    生まれ変わりがあるなら、人間がどんどん増えていっていることとの整合性はどう考えるのか。
    という問いたては面白いのに、暴力性を際立たせたことの効果よ、いかに……。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。96年『十三番目の人格-ISORA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2017年 『ダークゾーン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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