- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758413701
作品紹介・あらすじ
お隣さんと助け合いながら、毎日を生きる。
月10万円で「れんげ荘」にひとり暮らすキョウコ。
必要なものは最小限。
ささやかな幸せをかみしめる日々。
大ロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、待望の第5弾!(書き下ろし)
大手広告代理店を早期退職したキョウコは、貯金を切り崩し、
古いアパート「れんげ荘」で相変わらずつつましく暮らしている。
元住人で、旅人だったコナツさんの新しい彼とその子どもとのことを心配したり、
折合いが悪かった母親が倒れたり……と、いろいろあるものの、
時にはお隣さんたちとゆっくりお茶を飲みながら、自由に穏やかに過ごしている。
そんなキョウコの一番の楽しみは、心の恋人・猫のぶっちゃんと散歩途中で出会うことだ。
感想・レビュー・書評
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れんげ荘シリーズの5作目。
前作を読んでからだいぶ時間が経ってしまったのでちょっと忘れかけていた。読みながら少しずつ思い出すパターン…
れんげ荘シリーズに限らず、群ようこさんの本はとにかく平和で癒される。猫も重要な登場人(動)物。
中年無職女性賃貸一人暮らしを描いたこのストーリー、落とし所はどこになるのだろうと気になって追っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
群ようこさんの、れんげ荘物語シリーズ第5弾。
40代半ばで大手広告代理店を退職し、れんげ荘という格安物件に引っ越し、貯金を切り崩しつつ質素だが悠々自適に暮らす女性の物語。
第1巻の出版は2011年のようで、10年経ってもなお続いている物語。
群ようこさんは、別のエッセイで、れんげ荘物語の主人公キョウコの設定は、予想外に反響が大きく、主人公のような生活に憧れ会社を辞めたと報告して来る読者もおり、そこまでの責任は取れないと戸惑った、というような話を書かれていた。周りに流されず、自分の人生を自分で決めている感じが共感を集めるのだろうなと思う。このシリーズを読んでいると、幸せの価値を何に置くのかは人それぞれだと改めて感じる。
淡々とした日常の積み重ねの物語だが、れんげ荘の個性豊かな住人との温かい交流や、それぞれの人生模様がゆったり描かれており、『パンとスープとネコ日和』に並び、読んでいて癒される。次作も楽しみな終わり方になっている。 -
れんげ荘シリーズ。
働かず、家賃3万円のれんげ荘で世間の嫌なしがらみから切り離された生活を送る主人公。ありのままを認めてくれる隣人に恵まれて、隣人の相談に乗ったりれんげ荘に切り花を飾ったりしながら、自由な気持ちを謳歌している。
近所の猫、ぶっちゃんと会えると、幸せな気持ちになる。お金は減っていく一方だけど、自由で自立した丁寧な生活を送る主人公が好きだ。 -
『れんげ荘シリーズ』第5弾。大手企業を早期退職してボロいアパートで暮らしているキョウコさん。生活は慎ましくなって持ち物も少なくなり周りの人達には何を考えているのかわからないと思われているけれど、当人はいたって幸せだ。それが一番なんだよね…って、しみじみ思う。
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れんげ荘シリーズ5作目。
前作を読んだのが随分前だったので忘れている部分もあったが、群さんらしく淡々としているけど温かい一冊だった。 -
「れんげ荘」シリーズ、第5弾
ササガワ キョウコは、有名広告代理店での仕事に疑問を感じ、貯金を崩して月10万で生活する「持たない」無職生活に入った。
年金を受け取るまでには、ちょっと間がある。
キョウコの母は、娘を思い通りに支配しようとする母親だった。
長じて、自分の思い通りにならなくなった娘を疎ましく思い、大企業を辞めて無職になったことで激怒、断絶状態となった。
その母が亡くなった事で、頭の上の蓋が取れたように感じるキョウコ。
いがみあうことも無くなってお互いのために良かったのではないか。
世代が違えば価値観も違う。
キョウコの周りには、驚くような生き方をする若い人たちがいて、自分の経験に照らして、ついアドバイスという名の口出しをしたくなるが、母と自分の関係を考えるにつけても、「若い人の生き方に口を出してはいけない。ああした方がいい、こうした方がいい、と考えることからしてお節介」と、自分を戒める。
昔の自分たちの「常識」は今の時代には通じない。
そもそも、常識の「常」とか、「普通」とは、簡単に定義ができないほど世の中は多様化してきた。
若い人たちの、キョウコから見たら危うい生き方が、この先も続けて行けるのか失敗に終わるのか、先のことは分からない。
ただ、周りからどのように経験談を聞かされたり諭されたりしようとも、自分で経験してみる、或いは失敗してみない限り、人は「分かる」ことはできないのだ。
キョウコは、今の(たおれ荘な)れんげ荘の暮らしが快適だと思う。
住人たちとの付かず離れずの距離感は心地良いし、クマガイさんは、なんとも頼れるお姉様。
しかし、ここに住めなくなったら・・・
例えば、れんげ荘が倒れるとか、キョウコが倒れるとか。
キョウコを心配して同居しませんかと親切に何度も勧めてくる兄嫁に、遠回しに断りながらも、散々勝手していても、結局は世話になるのではないか、それは虫が良すぎるのではないか・・・
迷うキョウコであった。
あれ?「おたがいさま」は、何を指しているのだろうか?
何かあった時は遠慮なく頼りあいましょう・・・ってこと?
とりあえず、猫のぶっちゃんと会うことだけで幸せになれるキョウコであった。
そんな暮らし。 -
お母さんが亡くなり、兄夫婦に同居を勧められるが、れんげ荘に留まり気兼ねない生活をおくりたいキョウコ。
猫のぶっちゃんとの出会いが何より楽しみ。
本人が良ければそれで良いのだろうが、私だったら不安な気持ちに押し潰されそうになる。
キョウコも将来の不安がないわけではないだろう。
さて、キョウコはどうするのだろか。 -
れんげ荘での穏やかな生活を気に入っているキョウコさん。
巻が進むに連れてれんげ荘への愛着が伝わってくる。ぶっちゃんへのつのる想いも。
今回は母との別れ、兄夫婦からの同居のお誘いなどもあり、心に波風が立つこともあるけれど、キョウコさん自身は自分は何もできていないとやっぱり思ってしまう。
今の生活に切り替えたこと自体がすごいことなのに。
コナツさんに続き、チユキさんにも人生の岐路が。
真逆のような二人だけど、決断して幸せになって欲しい。 -
れんげ荘シリーズ、第一5弾。
大手企業を辞めて持たない生活に入ったキョウコさんの、レンゲ荘での日々はあいも変わらず淡々と。
同じ店子のクマガイさんに、チユキさん。前回アパートを出たコナツさん。みな、色々それぞれ日々を送りつつ新たな事に向き合っているのに…キョウコさんは本当に何も変わらずです。
確執のあった母との別れだけが変化だけれど。。。
事件が起こるわけでもない物語なのですが、やっぱり読んでしまいます。
今作で印象に残ったのは、クマガイさんの辞めたいとか離婚したいとか相談に来た人がそうした事はない、と言うくだりです。
おっしゃる通り、大半の人はイヤだと思っていても切り離せないのです。