先祖探偵

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.55
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本棚登録 : 685
感想 : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758414203

作品紹介・あらすじ

ひとりでも寂しくない。
私はもっと、強くなれる。

「あなたのご先祖様を調査いたします」
風子は、母と生き別れてから20年以上、野良猫のように暮らしてきた。
東京は谷中銀座の路地裏で、探偵事務所をひらいている。
「曾祖父を探してください」「先祖の霊のたたりかもしれないので、調べて」など様々な、先祖の調査依頼が舞い込む。
宮崎、岩手、沖縄……調査に赴いた旅先で美味しい料理を楽しみながら、マイペースで仕事をしている風子。
いつか、自らの母を探したいと思いながら――

大人気作家による「探偵小説」の傑作が、ここに誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 先祖探偵とは、初であり珍しい探偵じゃないか?と思わずにはいられない。

    そして、期待を裏切らずに面白くてサクサク読めた。

    1人で探偵事務所を立ち上げて、動き回わるのは邑楽風子。
    彼女は、母と生き別れており、5歳のときに邑楽町役場の前に残された。
    名前の記憶もないままに…。

    それでなのか、自分のルーツを知ることに興味を持つということも相まっての先祖探偵。

    キャラの良さも見事だが、全五話のどれも濃くて深い話である。
    ルーツを辿るために地方に足を運ぶのだが、その風景も食事もさらりと盛り込んでいるのが、にくいほどで読む楽しみを倍増させる。

    最終話では、邑楽風子自身のことがわかるという見事な着地。

    戸籍についても丁寧に調べて、こんなにも複雑なのかと感じることをきっちり言及しているのには、さすがに凄いと感じた。

    ① 幽霊戸籍と町おこし
    ② 棄児戸籍と夏休みの宿題
    ③ 焼失戸籍とご先祖様の霊
    ④ 無戸籍と厄介な依頼者
    ⑤ 棄民戸籍とバナナの揚げ物

  • 新川帆立さん4冊目。今までは弁護士の話だった。今回は探偵。それも戸籍謄本を取り寄せ、先祖をたどっていくという”先祖探偵“だ。

    主人公、邑楽オウラ風子。
    でも、この名前は本名ではない。それでも風子にはこの名前しかない。あの日
    三十年前のまだ5才だった自分に、母はこう言った。「あんた、自分の名前を忘れなさい。お母さんの名前を聞かれても、自分の名前を聞かれても、分からない、と答えなさい」風子は素直に忘れてしまい、しばらくは泣いてばかりいた
    母は、娘を役所の前に置き去りにした
    何故忘れてしまったんだろう・・・・
    風子は今でも思っている。

    棄児戸籍という制度がある。
    役所の職員に発見されて、風子はこの
    戸籍が与えられた。名前はそこの市区町村長に命名権がある。邑楽町だったので
    邑楽、風の子ということで、風子になったらしい。何とも安易な・・・・
    でも、このような戸籍を赤ん坊の時に
    取得している人は、この日本に悲しい話だがいるということを知った。

    風子がこの探偵事務所を開いたのは、ただひとつ母を探したかった。
    お客の先祖をたどりながら、自分の先祖も知りたいという思いがあった。

    この本は、5話から成っている。
    最初の話は、自分の先祖は武田信玄の重臣だ、調べて欲しい!という人が来る
    武田は人気だからなぁ、と軽い気持ちでいると・・・・何と!

    私が一番気に入ったのは、「焼失戸籍と
    ご先祖様の霊」少年に変な霊が憑いている。調べてみると・・・・そして話を聞かせてくれたおばあさんの背後に・・・・

    どれも良かったが、今までの帆立さんの本とは、大分趣が違っている。
    憑依、霊などは面白く読めた。丁度今は夏だし、その手の類も嫌いではない。
    帆立さん(^_^)/今度は、弁護士でもなく
    公取委でもない、一味違う話を読んで
    みたいと、この本を読んで思うように
    なりました。

    2022、8、26 読了

    • アールグレイさん
      かりうささ~ん♪(^_^)/

      今、かりうささんの本棚を拝見していました!
      そしたら!沢山のいいねが・・・・
      びっくりしました!伝わっちゃっ...
      かりうささ~ん♪(^_^)/

      今、かりうささんの本棚を拝見していました!
      そしたら!沢山のいいねが・・・・
      びっくりしました!伝わっちゃったのかな?まさかと思いました。
      元気ですか?
      主婦になっているのかな?とか、思ったり・・・・失礼だったらごめんなさい(^-^;
      また、タイムラインで
      (^ー^)ノ
      2022/09/01
    • ポプラ並木さん
      新川帆立さん、やっぱり楽しそうだね。
      自分の母親系が江戸時代に宮家だったらしい(本当かな?)。
      宮大工と姫さま?が駆け落ちしたらしくそこ...
      新川帆立さん、やっぱり楽しそうだね。
      自分の母親系が江戸時代に宮家だったらしい(本当かな?)。
      宮大工と姫さま?が駆け落ちしたらしくそこから宮家ではなくなったらしい。先祖探偵に真相を調べてほしい(^^♪
      2022/09/06
  • 主人公は、自分自身が何者かわからない。
    高校を卒業したあと、五年間興信所でアルバイトをして生活していた。母との記憶だけが頼りだった。本名も母の名前も忘却の彼方になってしまった。だから「あなたの先祖を探します」という名目で、東京の谷中銀座から一本入った筋の二階建ての二階に探偵事務所を開業したのだ。

     邑楽風子(主人公)は、二十年以上、野良猫みたいに暮らしてきた。本来の探偵業法に抵触しないから、免許は要らない。基本的に依頼があっても、人探しのために尾行や張込みをしない。

     ある日、依頼人が舞い込んできた。
    相談内容は、「親族を探したい」都内に住む大手商社に勤務する男性だった。「ひいじいさんを探してほしいのです」今年百十一歳になる男性らしい。(但、生存していれば)
     勿論、会ったこともない人だ。依頼人は東京生まれで東京育ちだから…。

     一枚の名刺を見せられた。「宮崎県日南市役所・地域振興課〇〇〇」も探しているということで、依頼者の元に訪ねてきたという。

     通常、役所では直系尊属の戸籍謄本しか取得できません。もし養子がいる場合は、実親の戸籍謄本を取得できる。そこから血縁を辿っていくという地道な仕事。戸籍謄本は、最高で明治十九年の時点まで遡ることが出来る。戸籍を作っていればの話ですが、世の中には、幾多の事情で戸籍がない人もいらっしゃる。

     前述の推定百十一歳の男性(甲斐三郎)は死亡届が出されていなかった。
    所謂幽霊戸籍だった。それを知っている一人の人物が、謎の行動をとっていたこともわかった。宮崎県まで謎を追いかける旅に出る。
     物語は五話の短編で、それぞれの戸籍にまつわる話が興味深くおもしろい。

     最大の謎は、風子自身にいたる物語だった。
    しかも、身寄りなどいないと思っていたのに風子を探している人物がいるという。
    益々分からない。
     
     風子は「遠い街・遠い海 夢はるか 一人旅」と彼女の旅は唄の歌詞の様だった。(「遠くへ行きたい」の歌詞より一部抜粋)
    読書はたのしい。

  • 先祖探偵という、依頼人のご先祖様を調べるという今までにない視点は面白かった。
    戸籍について今まで知らなかったこと、考えさせられました。
    その分、中途半端な食事の描写が要らないよなぁ〜。。。

    そして、ラストに向けての展開にもついていけず。。ここまで面白く読んでた分、主人公の母親探しや結末についてが何だか残念で。。

  • 新川帆立さんデビューして5作目。
    私が全部読んでるって、珍しいこと。

    さてアメリカ生まれの新しいタイプの作家さんと思っていたけど
    今回はすごい昭和っぽい
    もし映画化するとしたら白黒部分がすごく多そうな。

    たぶん私にとって意外なところにジャンプしながら進んでいくのだと思う。
    だから私まだしばらく飽きずに彼女の新作を追いかけるかなと思っています。

  • 「あなたのご先祖様を調査いたします」
    先祖探偵・邑楽(おうら)風子が出会う依頼人たちとその先祖の物語が描かれる5作の連作短編集。物語を追うごとに、この仕事を始めるきっかけになった自分のルーツ探しにも繋がっていく。

    戸籍をテーマにした探偵物という切り口が面白い。身近だけどまじまじと見ることは少ない戸籍。その戸籍が生み出すドラマの縦糸を、ミステリ、ホラー、民俗学などのテイストを横糸にして織り込んでいく。通算5作目、書き慣れてきた感があってボリュームや構成が心地よいバランス。

    戸籍の話も知らないことばかりで勉強になった。家系をたどるために北から南まで日本を風のように駆け巡る風子。旅先でのグルメや風景描写も唆るぜこれは!ってなった。こういう時期にロードムービー的な話は自分も旅してるみたいで楽しいし、まさに家系というロードムービーを解明する話でもあるんだよね。

    以下、各話の導入と感想を。

    『幽霊戸籍と町おこし』
    曽祖父を探して欲しいと訪ねてきた甲斐裕翔(ゆうと)。曽祖父・三郎は101歳になり、町おこしのために表彰したいという打診が市役所からあった。しかし、本人の生存確認が取れていない。三郎はどこかで生きているのか──。

    死亡届を出さないと幽霊戸籍となって残るって初めて知った。三郎の生存を確かめに地元・宮崎に赴いて調査をする風子。ご当地グルメがおいしそうで行ってみたくなる。戸籍をたどることで見えてくる謎とその真相が、意外なところへ結びついてくるのが面白かった。それにしても、それでやり通すのは無理じゃないか?とは思う(笑)

    『棄児戸籍と夏休みの宿題』
    夏休みの課題に家族史を発表する──中学生の太田瑠衣は風子に助言をもらいつつ父方のルーツをたどっていく。大阪に移る前は愛知に居たという先祖。その遠戚を訪ねてみると、意外な事実が明るみに出て──。

    先祖をたどると言っても、遡れば遡るほど数は膨大になっていく。普段は家族の分くらいしか戸籍を取らないから、ここまで遡れるんだなと驚かされた。さらにそれよりも過去を手繰り寄せていく過程はさすが先祖探偵という魅せ場に。昔の人の名字のことや、捨て子の戸籍「棄児戸籍」のことも勉強になった。

    『焼失戸籍とご先祖様の霊』
    事務所の下にある喫茶「マールボロ」の戸田康平と結婚したものの、好きな人ができたと姿を消した昌子。その彼女から甥の少年・諒が儀式のような発作を繰り返すようになったと相談される。そこでルーツが不明な妻・裕美の父方の先祖を調査してほしいと依頼を受けて──。

    儀式が意味不明でホラー&謎すぎる導入。しかも舞台は遠野へ!つまりわかるな?という展開に驚かされた。家系をたどる中で、民俗学的な側面が自然と絡んでくるのは楽しい。焼失戸籍というテーマも謎解きに絡むのはもちろん、焼け出された後の孤独や疎外感、誰かを捨てて生きる選択をする人々のことが風子のドラマにも響くのが切ない。

    『無戸籍と厄介な依頼者』
    簡易宿泊所に住む西口健司からの依頼──それは無戸籍である自分が戸籍を取るために自分の出生を証明したいというものだった。当時、病院へ支払うお金がなく出生証明書をもらえなかったことがわかり、戸籍は無事取得できそうだったはずが、予想外の問題が浮かび上がり──。

    出生届を出さなければ戸籍は作られない。生まれたら市役所へ届けるって自然なことで、それに加えて産婦人科と連携してチェックがあるのかなと思っていたら甘かった。無戸籍なら住民票も健康保険証も取れない。子どもの人生自体が狂ってしまう大問題だよね。それをテーマにミステリを重ねて描かれるストーリーがまた皮肉さもあってほろ苦い。振り回されたと言ってる人こそ周りを振り回していたりするよね。どうか幸せになってほしい。

    『棄民戸籍とバナナの揚げ物』
    自らのルーツの手がかりをつかんだ風子。彼女がその地で見つけた真実とは──?!

    調べてみたら実在する町を舞台にしていたという。歴史に翻弄されつつも育まれた人々の縁や愛。たかが紙切れ一枚の戸籍。されどもその重みで人生がひっくり返ってしまうことがある。真相は善悪で単純に割り切っていいものじゃなく、それぞれの人生に思い馳せると何とも言いがたい気持ちになる。バナナの揚げ物が食べたくなったなあ。

  • 無戸籍の問題に法律的アプローチしたらこんな小説になりましたよ、という印象。「トリカゴ」の方が好みだったけど、これはこれで、カチッとしたお話で面白かった。主人公は興信所で働いていただけで、ここまで詳しくなれるのか疑問…。法律勉強した人みたいで、仕事っぷりが格好良かった。
    凄く話が動くわけじゃないけど、結構面白く読めたのは、知らない知識が盛られてるからなんだろうな。色んな地方の食事が美味しそうでした。

  • 昔は墓参りをする人たちがいたのだ。時代を経て、徐々に忘れ去られていく。きっと風子たちもそうだ。苦難に耐え、必死に生き、そして死んだとしても、それを覚えている人がどれだけいるだろう。百年、二百年も経てば
    ほんの小さな砂粒のように時代の波にのまれて消えていく。


    そんな世の中を生きている私達。





    手土産で、
    久恵があっと顔を明るくした
    千疋屋のフルーツゼリーやがね。これ⭕

    空也もなかを差し出す。敏夫は受け取りながら、顔だけ瑠衣のほうへ向けた。これ❌
    (もう!空也よ!空也! 笑。)

    馬車道十番館のビスカウトを渡すと、麻江は
    目を見開いた。        これ⭕

    香炉庵の東京鈴もなかを差し出した。
    あらまぁ、可愛い。鈴の形をしているのね。
    幸子はすぐに包みを開けて破願した。これ⭕
    (船もなかも、可愛いけど)


    良く食べる主人公が好きです。
    シュラスコ!ガンガン肉を食べる風子、鼻はズキズキ痛むけど肉を咀嚼して血肉にして、
    今日を生きて、明日も生きる。

    2冊めあるといいなぁ~

  • Amazonの紹介より
    ひとりでも寂しくない。
    私はもっと、強くなれる。
    「あなたのご先祖様を調査いたします」
    風子は、母と生き別れてから20年以上、野良猫のように暮らしてきた。
    東京は谷中銀座の路地裏で、探偵事務所をひらいている。
    「曾祖父を探してください」「先祖の霊のたたりかもしれないので、調べて」など様々な、先祖の調査依頼が舞い込む。
    宮崎、岩手、沖縄……調査に赴いた旅先で美味しい料理を楽しみながら、マイペースで仕事をしている風子。
    いつか、自らの母を探したいと思いながら――
    大人気作家による「探偵小説」の傑作が、ここに誕生。


    前々作は弁護士、前作は公正取引委員会ときて、今回は探偵です。探偵は探偵でも、先祖を探すという今回も意外な切り口から攻めてきます。ただし探偵ではあるものの、「探偵業」としてではなく、調査員に近い立場で調査しています。

    主人公は邑楽風子(オウラフウコ)。今までの作品もそうですが、今回も猪突猛進な性格の女性なのですが、作品が出てくるごとに徐々にマイルドになっている印象がありました。

    今作品に出てくるテーマは戸籍です。戸籍によって翻弄される登場人物達が描かれているのですが、無戸籍で困っている人から戸籍を悪用する人まで、色んな「戸籍」にまつわる知識を学べました。

    近年、「戸籍」をテーマにした小説をよく目にするのですが、探偵と戸籍の融合は面白かったです。
    調査で浮かび上がる謎。それが後に重要な要素となって謎が解かれていくので、展開としても意外でしたが、ミステリーになっていたんだという衝撃もあって色々楽しめました。

    全5話の連作短編集で、各話ごとに依頼者が出てきて解決していくスタイルです。最終話は風子自身の過去に迫っています。風子は実は捨て子であり、両親を探すために「探偵」をし続けています。

    両親の正体は明らかになるのですが、個人的に尻窄み感がありました。普通の展開だと感動的な再会そして明日へまた新たな一歩を踏み出そう!といった爽快感を想像したのですが、穏やかなリズムで、あまり衝撃を受けない展開だったので淡々と終わったな感があって、なんか一味欲しかったなと思いました。

    「元彼の遺言状」ではエンタメ性があった反面、この作品では穏やかなヒューマンドラマミステリーと楽しめて、より人情味のある作品だという印象がありました。

    珍しい切り口でいつも楽しませてくる新川さん。次作はどんな職業が登場するのか楽しみです。

  • 今度は私立探偵邑楽風子、戸籍調査専門の探偵だ、児童養護施設に遺棄され親が分からない、その探索が究極の目的だ。すると出てくる出てくる戸籍を持たない日本人たち、政府はこれまで一才救済して来なかったんだろうか、市役所の職員なんて勉強不足で何も知らない、市民課担当なんて職員の中でも能力が劣る者ばかりだもの、経験者だからよく知っている。物語は悲しい結果で終わってしまったけれど、日本の戸籍事情が良く分かる小説だった、これまでの著者の作品の中でいちばん好きかも。しかしスターの使い捨ては勿体ない是非それぞれの続編を期待したい。

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著者プロフィール

1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。
東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』でデビュー。
他の著書に『剣持麗子のワ ンナイト推理』(以上宝島社)、『競争の番人』(講談社)、『先祖探偵』(角川春樹事務所)などがある。

「2022年 『倒産続きの彼女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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