- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758414401
作品紹介・あらすじ
これは、戦の唄。
これは、涙の唄。
これは、希望の唄。
直木賞作家・今村翔吾が描く、夫婦の絆。新聞連載時より話題沸騰の歴史エンターテインメント!
源氏に追われ、京から落ちた平家一門。
しかし彼らは、追い込まれる度に、結束し、強く、美しくなっていく。
一の谷、壇ノ浦、そして――。
平知盛、その妻・希子、精兵強弓・教経、戦の天才・源義経、将の将・源頼朝……
戦う者の思惑が絡まり、ぶつかり、高まり、向かう結末は。
今村版「平家物語」、驚愕、感涙のラストを見よ!
生きるとは何か、今、平家物語に問う――著者
感想・レビュー・書評
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平家の滅亡を描く平家物語。公家化が進んだ平家が、清盛が亡くなることで、一気に滅亡へと突き進むのは当然のように思っていたのだが、読み終えた今、そうでないことを知る。
勿論、この小説の解釈も実際のところ、正しかったかどうかはわからないが、違う見方をすることで、歴史を何倍も面白く感じることができるのは間違いない。
こんな感想を千年後の現代に投稿させた作品についても、頼朝はさぞ悔しかろうか。今村翔吾さんの独特な解釈が溢れる次回作も期待したい。 ★4.0詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
"一ノ谷の戦い"から"壇ノ浦の戦い"そして、平家が滅亡していく様を描いている。
が、平家の戦いは、それで終わったわけではない。
平家最後の戦いが、残っていた。
歴史は勝者が創り上げて行くもの。
その物語のなかで、平家は、きっと悪人として、あるいは富貴に溺れた愚者として、散々な姿で後世に伝えられるだろう。
断じて、それを阻止しなければならない。
戦いの中で散った者たちは、何のために、何を想って死んでいったのか。そして、生き残った者は如何なる運命を辿ったのか。ありのままを後世に伝える。
勝者の都合で、物語を書き換えようとしている者がいる。
決して、そうさせてはならない。
『平家物語』を後世に伝えていかなかなければならない。
平知盛に、それを託された人物は、平家最後の戦いに挑む。
最後の壇ノ浦の戦いの件は、意表を突いた。
物語的には、それもアリかなぁ。 -
嘘八百とはこのことです
…ごめん言い過ぎた
嘘二百七十五とはこのことです
(だとしたら確かに八百は言い過ぎ)
でもね!
ロマンですよ!
これぞロマンですよ!
要するに栗ですよ!(それはマロン)
ロマン重視で『平家物語』を再編集したらこうなるってことですよ!
トゲと渋皮をむくと実があるってことですよ!(だからそれはマロン)
なんか言い得て妙みたいな感じ出してますがそんなお話ではありません(ビシィッ)
ではどんなお話か?
それはもう読んで下さいよ
ヒント(箇条書き感想)
・やっぱりな〜わいは騙されんかったで!
・え〜義経そんなキャラなん?
・うわ〜そんなわけないじゃん!でも見てきた人はいないわけだからな〜、そっちでもいいか〜w
そしてわいはメロン(一Qさんがコメントで言いそうなことはあらかじめ潰す)-
2023/05/09
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2023/05/09
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2023/05/09
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戦う者同士それぞれの家族があり、様々な想いで戦っているのだなと感じました。
なんか男として熱い気持ちになる小説でした。 -
これしかない一冊。
悲しきかな。
いつの世も人は表、勝者に目を奪われその裏は敢えて見ない。
その裏を創造で編んでくれた物語の上巻がさざなみだとしたら下巻は熱い想いと願い、醜い思惑が交差する大波のよう。
平家一門の結束が情ならば捨て駒さえも厭わない源氏一族は非情。
非情を思い憂う知盛の戦い、言葉による戦いと紡ぎに最後まで涙が止まらなかった。
陰があっての陽を思う。
この後世を願って散った陰の一族の、陽のために流した涙と血の歴史が今、心に流れては刻まれた。
自分にとってのあの時を駆け抜けた彼らの軌跡物語はこれしかない。
圧巻。 -
茜は赤。その唄はつまり赤の歌。
白は源氏、赤は平家。平家の唄は平曲ともいうらしい。
たくさん語り継がれている。
祇園精舎の鐘の声…。
さて上巻でも気になった、平曲を西仏に伝授していたのは誰だったのか。
てっきりあの子だと思っていたら違った。さすがその辺は一筋縄ではいかない。
そしてその人が明らかになり、どんな思いを抱いて歌い継ごうとしたのか。
しんみり切なくて、そこに深い感動があった。
戦いだけじゃない。
平知盛主役、平家物語ベースの作品。
上では木曽義仲が登場した。下はいよいよ戦闘怪物源義経の登場。源氏だがある意味、平家物語の主役。でもまあ今回は脇。でもさすが。
平家に立ちはだかる大きな壁として、存在感は抜群。
歴史上有名なこの人をどう表現して、主人公の知盛はどう対応するのか。
とても面白い関りであり、それまで読んできた知盛の人物像からすると納得感があった。
今村翔吾さんは登場人物たちをいつもとても魅力的に作り上げてくれる。
今村さん版平家物語、感情移入したくなる人物たちがいっぱいで、とても楽しめた。
戦いの描写に迫力があり、状況が分かりやすくて、良い。
個人対個人のチャンバラより、集団戦の描写が本当にお上手で、尊敬してしまう。
面白かった。 -
読むのに時間がかかりましたが、読んでよかったです。語り部が誰か、わたしの想像とは違ってましたが、なるほど…と納得できる方でした。
今村先生の話は敗者の目線で描かれるものが多くて童の神のような悲しい終わり方をするのではないかとドキドキしながら最後の方は読み進めましたが、そんな感じではなくてホッとしました。
この話はフィクションですが、敗者を語る物語が間もない頃からこうして残っているのですから、この話で語られているようなことがあってもおかしくない気がします。壇ノ浦の合戦の裏事情は驚きでした。
今まで源氏目線で見ることが多かった源平合戦ですが、この話で平氏の側にも色んな魅力的な人たちがいたのを知れてよかったです。 -
大人になるまでに見聞きしたものは全て源氏が善で、平氏が悪のものばかり。
一昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」と本作品を読んで両家への印象が全く変わりました。
それぞれの立場で物事を見る重要性を改めて感じました。
平家メチャクチャカッコいい。そして、家族の絆が強い。
多くの人に平家の良さを知ってもらう素晴らしい作品です。