茜唄(下)

  • 角川春樹事務所
4.38
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本棚登録 : 811
感想 : 113
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758414401

作品紹介・あらすじ

これは、戦の唄。
これは、涙の唄。
これは、希望の唄。
直木賞作家・今村翔吾が描く、夫婦の絆。新聞連載時より話題沸騰の歴史エンターテインメント!

源氏に追われ、京から落ちた平家一門。
しかし彼らは、追い込まれる度に、結束し、強く、美しくなっていく。
一の谷、壇ノ浦、そして――。
平知盛、その妻・希子、精兵強弓・教経、戦の天才・源義経、将の将・源頼朝……
戦う者の思惑が絡まり、ぶつかり、高まり、向かう結末は。
今村版「平家物語」、驚愕、感涙のラストを見よ!

生きるとは何か、今、平家物語に問う――著者

感想・レビュー・書評

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  • 平家の滅亡を描く平家物語。公家化が進んだ平家が、清盛が亡くなることで、一気に滅亡へと突き進むのは当然のように思っていたのだが、読み終えた今、そうでないことを知る。
    勿論、この小説の解釈も実際のところ、正しかったかどうかはわからないが、違う見方をすることで、歴史を何倍も面白く感じることができるのは間違いない。
    こんな感想を千年後の現代に投稿させた作品についても、頼朝はさぞ悔しかろうか。今村翔吾さんの独特な解釈が溢れる次回作も期待したい。 ★4.0

  • "一ノ谷の戦い"から"壇ノ浦の戦い"そして、平家が滅亡していく様を描いている。
    が、平家の戦いは、それで終わったわけではない。
    平家最後の戦いが、残っていた。

    歴史は勝者が創り上げて行くもの。
    その物語のなかで、平家は、きっと悪人として、あるいは富貴に溺れた愚者として、散々な姿で後世に伝えられるだろう。
    断じて、それを阻止しなければならない。
    戦いの中で散った者たちは、何のために、何を想って死んでいったのか。そして、生き残った者は如何なる運命を辿ったのか。ありのままを後世に伝える。

    勝者の都合で、物語を書き換えようとしている者がいる。
    決して、そうさせてはならない。

    『平家物語』を後世に伝えていかなかなければならない。
    平知盛に、それを託された人物は、平家最後の戦いに挑む。

    最後の壇ノ浦の戦いの件は、意表を突いた。
    物語的には、それもアリかなぁ。

  • 嘘八百とはこのことです


    …ごめん言い過ぎた
    嘘二百七十五とはこのことです
    (だとしたら確かに八百は言い過ぎ)

    でもね!
    ロマンですよ!
    これぞロマンですよ!
    要するに栗ですよ!(それはマロン)

    ロマン重視で『平家物語』を再編集したらこうなるってことですよ!
    トゲと渋皮をむくと実があるってことですよ!(だからそれはマロン)
    なんか言い得て妙みたいな感じ出してますがそんなお話ではありません(ビシィッ)

    ではどんなお話か?
    それはもう読んで下さいよ

    ヒント(箇条書き感想)
    ・やっぱりな〜わいは騙されんかったで!
    ・え〜義経そんなキャラなん?
    ・うわ〜そんなわけないじゃん!でも見てきた人はいないわけだからな〜、そっちでもいいか〜w

    そしてわいはメロン(一Qさんがコメントで言いそうなことはあらかじめ潰す)

    • 土瓶さん
      まーたコメントで遊んでる。
      私のような真面目なレビュアーは付いていけないな(棒読み)
      まーたコメントで遊んでる。
      私のような真面目なレビュアーは付いていけないな(棒読み)
      2023/05/09
    • 1Q84O1さん
      え?
      え?
      2023/05/09
    • みんみんさん
      土瓶師匠☆1のリーチでドキドキしてるんだね!
      次何読んでるのかしら⁇
      土瓶師匠☆1のリーチでドキドキしてるんだね!
      次何読んでるのかしら⁇
      2023/05/09
  • 一族を守ろうと、ただひたすらに懸命に闘った漢たちの愛の唄。
    その唄は人から人へ、時代を幾つも超え語り継がれ、その時代の人々の心にしっかりと刻み込まれていく。もちろんこの先の時代へも。
    もはや勝ち負けなど関係ない。闘った真実と漢たちの生き様が未来永劫遺されていくのみ。

    祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。
    娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
    おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。
    たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。

    学生時代に暗唱させられた『平家物語』の冒頭部分。当時は意味も考えず、ただ義務的に覚えただけのこの文章も、今作を読み終えた後詠み返すと、かの時代を懸命に生き抜いた漢たちに思いを馳せずにいられない。
    そして全てを見届けた漢の散り際の清々しさに涙が止まらない。


    上巻からずっと気になっていた語り手。まさかあの方だったとは。衝撃的で、上巻から読み直した。

    結末を知っているとはいえ、このラストはやはり辛い。
    平家VS源氏の闘いは、戦力的にも戦術的にも互角なのに、ちょっとした隙で勝負が幾度もひっくり返る。運を味方に付けた方が勝ちなのか。
    そんな壮絶な闘いの中で生まれる、人と人との温かな交流。チャーミングで魅力ある漢たちの掛け合いはほんの一時でも戦のことを忘れさせてくれた。こんな時代でなかったなら、真の友情が芽生えたであろうに。
    今村さんならではの神業的な展開が物語の結末に切なさを倍増させてくれた。

  • 戦う者同士それぞれの家族があり、様々な想いで戦っているのだなと感じました。
    なんか男として熱い気持ちになる小説でした。

  • これしかない一冊。

    悲しきかな。
    いつの世も人は表、勝者に目を奪われその裏は敢えて見ない。

    その裏を創造で編んでくれた物語の上巻がさざなみだとしたら下巻は熱い想いと願い、醜い思惑が交差する大波のよう。

    平家一門の結束が情ならば捨て駒さえも厭わない源氏一族は非情。

    非情を思い憂う知盛の戦い、言葉による戦いと紡ぎに最後まで涙が止まらなかった。

    陰があっての陽を思う。

    この後世を願って散った陰の一族の、陽のために流した涙と血の歴史が今、心に流れては刻まれた。

    自分にとってのあの時を駆け抜けた彼らの軌跡物語はこれしかない。
    圧巻。

  • 上下巻の感想
    源平合戦で平家側から見た話は初めてです。
    平家=悲劇というイメージから教経や希子などがどんな前向きでも暗く感じました。

    特に下巻からは滅亡に向かって一直線という感じでこのまま、淋しく終わるかと思いましたが屋島が落ちてからの物語は予想外でした。

    結果は滅亡ですが、義経を救う場面や最後の頼朝、希子のやりとりなどは流石だなあと思います。


  • 茜は赤。その唄はつまり赤の歌。
    白は源氏、赤は平家。平家の唄は平曲ともいうらしい。
    たくさん語り継がれている。
    祇園精舎の鐘の声…。
    さて上巻でも気になった、平曲を西仏に伝授していたのは誰だったのか。
    てっきりあの子だと思っていたら違った。さすがその辺は一筋縄ではいかない。
    そしてその人が明らかになり、どんな思いを抱いて歌い継ごうとしたのか。
    しんみり切なくて、そこに深い感動があった。
    戦いだけじゃない。

    平知盛主役、平家物語ベースの作品。
    上では木曽義仲が登場した。下はいよいよ戦闘怪物源義経の登場。源氏だがある意味、平家物語の主役。でもまあ今回は脇。でもさすが。
    平家に立ちはだかる大きな壁として、存在感は抜群。
    歴史上有名なこの人をどう表現して、主人公の知盛はどう対応するのか。
    とても面白い関りであり、それまで読んできた知盛の人物像からすると納得感があった。

    今村翔吾さんは登場人物たちをいつもとても魅力的に作り上げてくれる。
    今村さん版平家物語、感情移入したくなる人物たちがいっぱいで、とても楽しめた。

    戦いの描写に迫力があり、状況が分かりやすくて、良い。
    個人対個人のチャンバラより、集団戦の描写が本当にお上手で、尊敬してしまう。
    面白かった。

  • 読むのに時間がかかりましたが、読んでよかったです。語り部が誰か、わたしの想像とは違ってましたが、なるほど…と納得できる方でした。
    今村先生の話は敗者の目線で描かれるものが多くて童の神のような悲しい終わり方をするのではないかとドキドキしながら最後の方は読み進めましたが、そんな感じではなくてホッとしました。
    この話はフィクションですが、敗者を語る物語が間もない頃からこうして残っているのですから、この話で語られているようなことがあってもおかしくない気がします。壇ノ浦の合戦の裏事情は驚きでした。
    今まで源氏目線で見ることが多かった源平合戦ですが、この話で平氏の側にも色んな魅力的な人たちがいたのを知れてよかったです。

  • 大人になるまでに見聞きしたものは全て源氏が善で、平氏が悪のものばかり。
    一昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」と本作品を読んで両家への印象が全く変わりました。
    それぞれの立場で物事を見る重要性を改めて感じました。
    平家メチャクチャカッコいい。そして、家族の絆が強い。
    多くの人に平家の良さを知ってもらう素晴らしい作品です。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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