いつか月夜

  • 角川春樹事務所 (2024年8月8日発売)
3.51
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  • 本 ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758414692

作品紹介・あらすじ

会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安(「モヤヤン」と呼んでいる)にとり憑かれるようになった。
特に夜に来るそいつを遠ざけるため、とにかくなにも考えずに、ひたすら夜道を歩く。
そんなある日、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているのに出くわした。
中学生くらいみえるその連れの女性は、塩田さんの娘ではないという……。
やがて、何故か増えてくる「深夜の散歩」メンバー。
元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん。
皆、それぞれ日常に問題を抱えながら、譲れないもののため、歩き続ける。
いつも月夜、ではないけれど。

感想・レビュー・書評

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  • 夜に近所の人たちとウォーキングを始める物語。何処となくモヤーっとしていて踏ん切りが悪い主人公をはじめ、同じ職場の年上女子に、不登校の女子中学生、それに元カノとそのマンションの管理人と次第にウォーキング仲間が増えていく。たわいもない会話に、黙々と歩いている時も心地よく過ぎていく有酸素運動が人間にとってちょうど良い距離感なのかなって感じる作品でした。
    作中いろんな話が出てきますが、人のことに関心を示すことって意外と難しいし、お節介だったりもするわけだけど。自分の好きと人の求めてる好きとが一致することも微妙にズレてて難しい。
    元カノの伊吹さんと2人で歩いてる時にたまたま見つけた夜の9時から翌朝の4時までが営業時間とゆう「みけねこ洋菓子店」ここがキモでした。マドレーヌやフィナンシェにバウンドケーキ、全部注文にて紅茶も飲んでみたい。小さな看板に釣られて細い路地を入り住宅地と個人商店が混在する所にあるらしいけど再び訪れてみると迷ってしまい行けなかったってお店がすごく気になりました。
    この男、なんで伊吹さんと復縁しないのかモヤモヤしちゃうし、ダラダラ読んでたせいか、主人公の幼馴染だったって設定のもっちゃんって急に出てきて誰って感じになってしまいました。

    • かなさん
      つくねさん、おはようございます。
      スゴイ偶然っ!!
      私も今日この作品のレビュー投稿するつもりだったんですよ♪
      實成のなんかぱっとしない...
      つくねさん、おはようございます。
      スゴイ偶然っ!!
      私も今日この作品のレビュー投稿するつもりだったんですよ♪
      實成のなんかぱっとしない感じ…よくわかります。
      ただ、寺地はるなさんの
      優しい物語の描き方が好きだったりします(*^^*)
      2024/12/10
    • かなさん
      そうそう、つくねさん
      最近アイコン変えましたねっ!!
      きれいな山の稜線と雲海かな??
      この場所ってどこですかっ??
      そうそう、つくねさん
      最近アイコン変えましたねっ!!
      きれいな山の稜線と雲海かな??
      この場所ってどこですかっ??
      2024/12/10
    • つくねさん
      かなさん、おはようございます!

      同じ時にこの作品読んでたなんて嬉しい過ぎますWw
      出てくる人の背景がみんな複雑で処理しきれなかった感...
      かなさん、おはようございます!

      同じ時にこの作品読んでたなんて嬉しい過ぎますWw
      出てくる人の背景がみんな複雑で処理しきれなかった感じですが
      楽しめました。
      レビュー期待してますね。

      アイコンは、南アルプスにある小河内岳とゆうところに避難小屋があってそこが富士山の見えるビュースポットなんですよww

      2024/12/10
  • 急に涼しくなって、着る物探してあたふたしてます( ̄∀ ̄)秋ですね〜♪

    さて、寺地はるなさんの新作
    コツコツ読み進めてます(^^)


    父を亡くした後現れるようになった得体の知れない不安(モヤヤン)を遠ざけるため夜の散歩に出る實成。
    やがてどんどん散歩のメンバーが増えていき、それぞれの問題と向き合うの物語。



    寺地さんの作品は普段言語化できずにいたことが見事に表現されていたり、グサっと刺さる一言に出会えたりするところが好きなんです。


    今回も素敵な言葉はありましたが、あまり刺さらずでした。
    それぞれが抱えるものはあるんですが、ちょっと弱いというか、感情移入する前に終わってしまったかなという感じがしました。


    その中でも好きな言葉をメモしときます

    「わたしなんか、もう何者にもなれないもんね。でもね、何者かにならねばならないというプレッシャーもない。
    ピアニストになれるわけじゃなし、って母は言ってたけど、じゃあ今のわたしは自分の楽しみのためだけにピアノを習える。それって意外と悪くないよね。可能性が少ないって、もう何者にもならなくていいって、自由だね」


    この考えは好き(*´꒳`*)



    寺地さん好きなので次に期待です(^^)


    • かなさん
      私も寺地はるなさん、好きです!
      私もコツコツ読みたいなぁ…って思ってます(*^^*)
      私も寺地はるなさん、好きです!
      私もコツコツ読みたいなぁ…って思ってます(*^^*)
      2024/09/28
    • どんぐりさん
      ゆーきさん

      秋服可愛いですよね(//∇//)
      可愛いけど、着る時期短くて、、、
      あっという間に冬になってます∑(゚Д゚)
      ゆーきさん

      秋服可愛いですよね(//∇//)
      可愛いけど、着る時期短くて、、、
      あっという間に冬になってます∑(゚Д゚)
      2024/09/28
    • どんぐりさん
      かなさん

      かなさんも結構読んでますよね( ̄∀ ̄)
      コツコツ読んでいきましょ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      かなさん

      かなさんも結構読んでますよね( ̄∀ ̄)
      コツコツ読んでいきましょ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      2024/09/28
  • 深く無い関係の人達と一緒夜に散歩をしていて、久しぶりに実家に帰っただけの話です。
    しかしながら、内容はとても濃厚で、人として成長する過程での確実な一歩を踏み出すまさにその瞬間が描かれていて読み応えがありました。
    寺地先生は最近、好き嫌いが分かれる作品を描かれる様になってきたと思われますが、作品が「変化」ではなく「進化」してきているのではないかと感じます。
    今作も含めて作品自体、深みや厚みが増してきていて本の厚さの割に読み応えがあります。
    次回作が待ち遠しい作家さんのひとりです。

    • コルベットさん
      123daaahさん、こんばんは♪いつもありがとうございます。人として成長する過程での確実な一歩を踏み出すまさにその瞬間。私にも一応あったん...
      123daaahさん、こんばんは♪いつもありがとうございます。人として成長する過程での確実な一歩を踏み出すまさにその瞬間。私にも一応あったんだろうなあと思います。でも、それはあのときね!ってちゃんと思い出せない・・・(-_-;)
      2024/10/20
  • 会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安に取り憑かれるようになる。
    モヤヤンと呼んでいるそいつを遠ざける為に夜道を散歩するようになった。
    そんなある夜、いつものように散歩していると会社の同僚の塩田さんが、中学生くらいの女子と歩いているのに出くわす。
    やがて深夜に散歩するメンバーが増えて…

    つかず離れず、無理強いしない会話と距離感。
    だけどいつかは自然と離れていく。
    その離れ方も嫌な感じではないところが、いい具合なんだろうなと思った。
    寂しいけど近すぎて干渉されたり、意見されたりすると逃げたくなるのは嫌。
    このくらいがいい。
    ゆっくりと正解を見つけ出す…そんな感じがした。

    いつのまにか、實成はモヤヤンの存在を感じなくなっていたし、自分の大切なものは何かもわかったようである。



  •  大阪の印刷会社への就職を機に出てきた實成冬至。半年前に「善く生きる」をモットーとしている父が他界し、その後得体の知れない不安「モヤヤン」に取りつかれるようになった…。夜になると「モヤヤン」が来るため、近くをひたすら歩くようにしていた…。そんな中、会社の同僚である塩田さんが、中学生くらいの女性と一緒に歩いており、なりゆきで一緒にあるくことに…。深夜の散歩のメンバーは、元カノの伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人松江さんも加わることに…。

     なんか、最初は主人公の實成くんのはっきりしないところが気に触りました!なんか、頼りなさそうで…そう、いい人で終わっちゃう感じなんです!!でも寺地はるなさんの作品って好きなんです。この作品も表題の“月夜”のような、ぼんやり感が、すごく優しい雰囲気を醸し出してくれています。深夜の散歩メンバー、みんな幸せになってほしいです(*'▽')

    • かなさん
      1Q84O1さん
      今日も朝から雪ですっ( ;∀;)
      もう、しんどいわぁ…寒いし、道路凍ってるかもって
      運転は慎重にしなきゃだし…
      今...
      1Q84O1さん
      今日も朝から雪ですっ( ;∀;)
      もう、しんどいわぁ…寒いし、道路凍ってるかもって
      運転は慎重にしなきゃだし…
      今は除雪しなくてもいいくらいだけど、
      これに除雪が加わると…
      まぁ、そういうとこに住んでるんで仕方ないけど…
      2024/12/12
    • 1Q84O1さん
      かなさん

      雪国は大変そうですね…
      くれぐれも運転にはお気をつけください!
      そのあたりは慣れているから大丈夫ですかね
      かなさん

      雪国は大変そうですね…
      くれぐれも運転にはお気をつけください!
      そのあたりは慣れているから大丈夫ですかね
      2024/12/13
    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます。
      はい…とっても大変だけど仕方がないですね(T_T)
      慣れているとはいえ、毎回ドキドキです…!
      ...
      1Q84O1さん、おはようございます。
      はい…とっても大変だけど仕方がないですね(T_T)
      慣れているとはいえ、毎回ドキドキです…!
      気をつけますね、ありがとうございます。
      2024/12/13
  • あまり要領は良くないけれども、善く生きようと行動し、自分の気持ちにもまっすぐな主人公が良かった。幸せになって欲しい!もうすぐ月夜だ!

  • 夜の散歩のお話。大学時代に散歩部に入っていたので、なんだか懐かしい感覚を覚えつつ、強くて優しい世界観がとてもよかった。

    一緒に夜歩くだけの浅めの人間関係だからこそ話せることがある。そして相手の事情を知らないからこそ、慎重に言葉を選ぶ。
    わたしは人と関わるときに、相手が求めていそうなことを勝手に判断して発言してしまうので、主人公の慎重さや真面目さを見て、反省した。相手のことを本当に考えているからできることだと思った。

    最近は減っているように思うけれど、自分の価値観を押し付けてきたり、安易な想像力で導き出した結果をあてはめてきたりする人がいる。
    例えば、連日の猛暑の中、息子と歩いている私に「暑いのにかわいそう」などと言ってくるおばちゃん。彼女は息子が外に出たいと家でギャン泣きしていたことなど知らない。ギャン泣きする息子をなだめながら、やっとの思いで外に出てきたことを知らない。
    心からそう思ったから言っているのだろうし、弁解しようとも思わないけれど、イラッとモヤっとする。
    主人公たちはそうした価値観の押し付けや安易な想像の押し付けに敏感だ。けれど、だからといって自分を相手に合わせる必要はないのだと教えてくれた。とても勇気づけられる作品だった。

    • コルベットさん
      とりおの飼い主さん、こんにちは♪散歩部なんてあるんですね!なんかいいです♪浅めの人間関係だからこそ・・・から先、全部うんうんと頷き通し。価値...
      とりおの飼い主さん、こんにちは♪散歩部なんてあるんですね!なんかいいです♪浅めの人間関係だからこそ・・・から先、全部うんうんと頷き通し。価値観を押し付けられても自分を相手に合わせる必要はない、に私もちょっと勇気付けられました(*^^*)
      2024/08/25
    • とりおの飼い主さん
      コルベットさん、こんにちは!
      なにかと生きづらさを感じる世の中で、寺田さんの作品は勇気をくれるので好きです(^^)
      散歩部、楽しかったですよ...
      コルベットさん、こんにちは!
      なにかと生きづらさを感じる世の中で、寺田さんの作品は勇気をくれるので好きです(^^)
      散歩部、楽しかったですよー!歩くのっていいです♪
      2024/08/25
  • 不安(モヤヤンと呼んでいる)解消のために始めた一人の夜の散歩。そこに一人、また一人とメンバーが加わっていく。
    友達同士でウォーキングをやっている知り合いはいるけど、いわゆる散歩を定期的に誰かと…というのは聞いたことがない。
    この本を読んでいると、そういう散歩を誰かとしたくなった。
    同じ方向を見てただ歩く、話したいことが浮かんだら話す。昼ではなくて夜だから、より自然にできるのかなと思う。
    気がついたらモヤヤンもなくなっていたみたいだし。
    そういえばこのモヤヤンっていう言葉、初めに出てきたので重要ワードかと思ったら、それっきり出てこなかったな。

  • 「わたしの良い子」を読んで、2冊目。

    主人公の實成の繊細で真面目な人柄が、
    少しじれったいような、憎めないような感じ。
    それでも芯の部分ではしっかりと自分の考えを持っている。
    彼に関わる人たちは、知らず知らずに好意を抱いてしまう。

    明るい太陽のように目立たないけれど、
    暗い夜に足元をそっと照らす月明かりのような存在だ。

    変質者の出る夜中に女性が一人では歩かないでと声をかける事、それは変だという實成の考えは同感。
    なぜ、不審者のせいで、自由な行動を抑えねばいけないのか。
    そんな、チョッと世間とは違う考え方、
    様々な生き方を何気に受け入れて理解しようとする態度はほほえましい。
    モヤヤンが知らないうちに消えてしまったのはよかった。
    「善きに生きる」はしっかりと守られてるよ。

  • 日中のウォーキングは、健康のためという感じがしますが、徐々に増えていった夜の散歩のメンバーが歩く理由は、第一に心を落ち着けるためだったと思います。

    会社員の實成冬至が、父の死後、時たま襲われる不安や、塩田さんと女の子の気持ち、伊吹さんが抱えているもの、管理人の松江さんの事情、それがただ歩くことで、落ち着けるのは、なんだかわかる気がしました。

    そして、この小説のなかには、私も同感する言葉が多かったです。まっとうなやさしさに甘えられないこともあるとか、まじめを悪口に使うのは間違っているとか、普段私が思うことを登場人物がズバズバ言ってくれていました。読書も夜の散歩に似たところがあると思いました。

    この5人の夜の散歩の期間には、色々なことがありました。そのなかで、生き方はその人の数だけあり、自分のことを大切にするために、人を束縛したり支配したりするようなことは、間違っていると伝えているように思いました。

    『いつか月夜』という日があれば、それでいいのかな。夜の散歩、こんな感じで5人くらいで、あまり束縛せず、ひたすら歩きたいな。そんな気持ちで読み終えました。

    • きたごやたろうさん
      寺地はるなさんは好きな作家さんなので、読みたいです!

      ただ、ココだけで「読みたい」が300冊を超えちゃいました。
      どうしましょう笑!
      寺地はるなさんは好きな作家さんなので、読みたいです!

      ただ、ココだけで「読みたい」が300冊を超えちゃいました。
      どうしましょう笑!
      2025/02/09
    • フリージアさん
      どうしましょうか(笑)
      ブクログを覗く度に、読みたい本って増えますよね。
      どうしましょうか(笑)
      ブクログを覗く度に、読みたい本って増えますよね。
      2025/02/09
    • きたごやたろうさん
      そうなんですよ。
      嬉しい悲鳴です笑!
      そうなんですよ。
      嬉しい悲鳴です笑!
      2025/02/09
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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ、大阪府在住。2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。21年『水を縫う』で河合隼雄物語賞受賞、24年『ほたるいしマジカルランド』で大阪ほんま本大賞受賞。『大人は泣かないと思っていた』『カレーの時間』『ガラスの海を渡る舟』『こまどりたちが歌うなら』『いつか月夜』『雫』など著書多数。

「2025年 『そういえば最近』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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