菊葉荘の幽霊たち (ハルキ文庫 か 8-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758430401

感想・レビュー・書評

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  • 瓶やカプセルに入り、波間を胃の中を浮遊している感じ。“普通”をどことなく嫌悪しつつもそこに浸っているが、決して交わらない...。この終わり方は好きだなぁ。この衝動が生きる力になる。

  • すっごく変な小説だけど面白かった。主人公の「わたし」は友人(?)のために部屋探しをして、「これぞ吉元がすむべき部屋!」という変なアパートを見つけて、そこの住人に近付いて、同棲までしちゃって、そのアパートに吉元を住まわせるために、色々変なことをしてだれかを追いだそうとする。かなりクレイジー。
    そこに居座るために大学生のふりをして大学の講義に出たりもするけど、学生じゃないのに全然ばれなくて、クラスの飲み会にいつの間にかいても誰も疑問に思わなくて。笑える。でも大学生ってそんなもの。教授は授業で一回も顔をあげず、学生の顔を見もしないし。
    イマドキの大学はそんなことないと思うけど(?)私が学生のときも、講義にやってきて、手にした原稿を90分棒読みして、挨拶して退場していく先生いたなー。今考えたらヒドイな。
    こんな講義をうけても意味がないと思ってさっさと受講をやめた人と、棒読み原稿を必死にメモって暗記し、A評価もらった私、どっちがエライのか、いまだに悩む(笑)。全然小説と関係ないけど。
    常軌を逸した「わたし」と「吉元」の行動はエスカレートしてゆく。「わたし」を疑いもせずに部屋にいれちゃう男も、まわりの学生も、アパートの住民もみんなちょっとずつ変で、だけど現実にありそうで怖いし、それが面白かった。

  • 友人の家探しで目をつけた木造アパートはあいにく満室。住人を一人追い出そうとするが、六人の住人は不思議な人間たちばかり。奇怪な人間模様を通じて、人々の居場所はどこにあるかを描く長編小説。
    何気なく街を歩く人々も、住まいという居住空間に戻ればその性質を剥き出しにする。だからこそ、住む場所は自分のアイデンティティーを守る重要なエリアである。根なし草のような彼らが、絶対的に死守したかった場所の物語。

  • 一気に読んだ。
    自分の気持ちとか考えていることってこんなにもわからず迷ったり、他人のことがこんなに理解できなかったり無関心になることってあるのか?
    というところで置いてけぼりになってでもなんか面白くてずっと読んでしまうといういつも通りのやつでした。

  • 2017/06/09 再読

  • あ、り、え、な、い~~っ!!!

    ありえない・・・けど、めっちゃ角田さんの色濃い作品で
    圧倒される。。。

    この女、結構コワい・・・けど、角田さんもとぼけててキレる人なので結構コワい、かも・・・似てるんだったりして?ww

  • 2017/01/14読了
    においとか居場所とか。
    全体的にはよくわからない。
    でも つまらなくもない。
    これは読解力の問題?
    角田さんの文章は好き。

  • うーん、、、。
    ? というか、ピンとこないというか、部分では頷くこともできるけど、なんか、摑みどころに乏しい。

  • さらっと読み終えたが、多分、すごく難しいことが書いてある。
    6分割された小さなアパート、その1室1室にある異質な世界。
    お互いに無関心、アパートは単なる入れ物でしかない。
    別次元とでも言いたくなる。
    学生でもない人間が大学に紛れ込んでも何の不思議も抱かれない不思議。
    自分でさえ、どこから来てどこへ行くのか分からない。
    集合住宅に住まう他人同士の交流を描いた作品や、いろいろな人間関係で他人や疑似家族と同居する作品などとは対極にある人間関係を描いているといえる。

  • 【本の内容】
    友人・吉元の家探しを手伝いはじめた“わたし”。

    吉元が「これぞ理想」とする木造アパートはあいにく満室。

    住人を一人追い出そうと考えた二人だが、六人の住人たちは、知れば知るほどとらえどころのない不思議な人間たちばかり。

    彼らの動向を探るうち、やがて“わたし”も吉元も、影のようにうろつきはじめている自分に気づき…。

    奇怪な人間模様を通じて、人々の「居場所」はどこにあるかを描く長篇。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    空き部屋のないこの木造アパートにどうしても住みたい。

    そんな願いを適えるために、パンツ泥棒をしたり、幽霊に化けて徘徊したり、訪ねて来た愛人らしき女と騒動を起こしたり。

    どこまでお遊びでどこまで本気なのかわからない。

    たちの悪いストーカーもしくは、できの悪い探偵のようで滑稽でもある。

    それにしても、翻弄されたヤス子や蓼科からすればいい迷惑である。

    しかし考えてみると、すべても行動が、アパートから誰かを追い出す目的に起因しているとはいえ、自然に彼らの生活に入り込んで、時間を共有し、楽しんでいる。

    これもまた愉快で奇怪で滑稽なのである。

    現代社会のどこかでこういった滑稽な人たちが滑稽なことを繰り広げている様は容易に想像できる。

    滑稽な時代になったものだ。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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