- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758430401
感想・レビュー・書評
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あ、り、え、な、い~~っ!!!
ありえない・・・けど、めっちゃ角田さんの色濃い作品で
圧倒される。。。
この女、結構コワい・・・けど、角田さんもとぼけててキレる人なので結構コワい、かも・・・似てるんだったりして?ww -
におい。
仕事をくびになり「暇」になった「わたし」は、ここに住みたい、という友人・吉元のために、空き室のない「菊葉荘」に忍び込み、住人の動向を探る日々を送る。
「鍵を鍵穴に差し入れ、扉を開けると、よそよそしいにおいが染み出してきてわたしをつつんだ。~大きく息を吸いこみ、自分のものらしいにおいを嗅ぐ。これがいったいなんのにおいであるのかわたしにもわからない。」
菊葉荘の蓼科の部屋に入り浸っている「わたし」が、久しぶりに自分の家に戻ってきた時の描写である。
家=居場所=すみか=テリトリー=縄張り
私は臭いに敏感な方で、他人の家から戻った時に服や体に染みついた他人の家の臭いというのが、ひどく気になる質である。(それが嫌な臭いだというわけではなくて、それを引きずっていることに、ひどく落ち着かない気持ちになる)なので、私にとっての家は、自分の臭いに満たされている場所、だと思っている。
自分の臭いを見失った「わたし」は、もうそこが自分の部屋だと思うことが出来ない。
「何かが違う気がする。わたしがいないあいだにだれかがここへ侵入したような、異物感がある。」
同じように「落ち着かず、臆病なとかげのように」「部屋から逃げ出した」吉元が姿を消した。一人残った「わたし」は、仕事の面接を放り出し、菊葉荘の空き部屋へ、吉本の家の荷物を次々運び込む。(その姿はちょっとキチガイじみていて怖い)
「質素な空間が目の前に広がる。玄関に突っ立ったまま、わたしは大きく息を吸いこむ。だれのにおいもしない。どんなにおいもしない。」
他人を所有し束縛し、自分のテリトリーに引き入れようとする=自分の臭いに変えようとする蓼科やヤス子とは対照的に、所有することを放棄してきた「わたし」が、最後に「どんなにおいもしない」部屋を所有しようとする。彼女はそこで自分のテリトリーを、居場所を、築けるのか。 -
人生なんてどうでもいいって、思ってしまうこの本はすごく恐い本。