立原道造詩集 (ハルキ文庫 た 14-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758430845

作品紹介・あらすじ

二十四歳という若さでこの世を去った夭折の詩人・立原道造。室内楽にも似た、ソナチネ風の調べを運ぶ詩からあふれでる抒情の響きは、青春の光芒を永遠へと灼きつけ、時代を越えて今なお輝きを失わない。詩集『萱草に寄す』『暁と夕の詩』『優しき歌』『散歩詩集』など、その詩的世界を網羅する百三十篇余を収録した一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 絵本作家でエッセイストの友人がいるのですが、彼女が、だいぶ前ですが、自分の好きな作家とその作品をとりあげた本を出したのですが、その本の中で紹介されていて、真っ先に買った本です。
    (他は森茉莉とかも真似して読みました。彼女の好みは私たちの年代にしては独特なんです)

    あらためて読んでみると、24歳8か月の生涯で、これだけの作品を残しているのは偉業だと思いました。
    この永遠に若き詩人がもっと長生きしていたら、このあと一体どんな作品を残したのだろうかと思いました。

    「浅き春に寄せて」
    「Ⅵ朝に」
    「Ⅹ夢みたものは」
    「傷ついて、小さい獣のやうに」
    「雨の言葉」
    「草に寝て」
    「唄」
    「やつと欲しいものが」などが特によかったです。

    「やつと欲しいものが」
    やつと欲しいものがわかりだした
    平和と清潔とがいりようなのだ

    おしやべりよ つぶやきよ
    お前たちはとほくに行け

    これから精出して 僕は
    青空に 秩序を積み上げるのだ
    (後略)

  • 自然
    やさしさ
    かなしみ

  • 道造の、1文字の余白は、そこに風を容易に受け入れ、通過させる。解説にあったこの一文にすべて詰まっていると思う。
    パステルカラーのような詩は、徐々に重くなっていく内容でも軽やかなままだった。
    師が堀辰雄とのことで、納得した。

  • 自然の中から掌で掬い取られたような「抒情」、優しさに何かが加わったやうな不思議な響きのある詩だ。

  • 2018/04/30 読了。

  • 文ストで知った詩人、立原道造。どんなふうなのかなと思って手に取りました(ミーハーですいません)。作品全体に一抹の寂寥を含んだ風が吹き渡っているような印象を受けました。見えるのは長閑な山や林、美しい小川といった童話めいた風景。緑の匂い、花の香り、鳥の囀り、小川のせせらぎを風が連れてきて、ふっと去っていく。訪れた沈黙に隠れている死の影。終わった恋、流れた愛の残り香が移ろう季節に載って消えていく。「いつそインキと紙が」は詩人故の苦しさが滲んでいるように思えます。言葉を必要とし、言葉を愛し、言葉を連ねて作品を作る。言葉をなくしていっそ詩という夢も望みも思いきれたらいいのに。そんな彼の苦悩があるように感じました。

  • 3/29は立原道造忌
    24歳という若さでこの世を去った立原道造。
    その詩的世界を網羅する約130篇を収録した一冊を。

  • 第3回テーマビブリオ
    テーマ:同志がほしい

  • ◆きっかけ
    『7つ目の絵の具』でいせひでこさんが立原道造さんのことを「夢のように甘く透明な色彩と音と光のようなことばをまき散らし、七色の色えんぴつで詩を描いたこの人は、...p114」と表現しており、一体どんな詩なのだろうと思って。2016/08/12

  • 2015 1/1

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著者プロフィール

1914年、東京生まれ。先祖には水戸藩で『大日本史』を編纂した儒家の立原翠軒がいる。旧制一高から東京帝国大学建築科に進んだ。13歳ころから短歌や詩を書きはじめ、高校では手製の詩集「さふらん」を作成。大学では同人雑誌を創刊し、小説や短歌を発表した。学業でも在学中に辰野金吾賞を3回受賞するなど将来を嘱望された。37年に卒業し、建築士として建築事務所で働きながら詩作に打ち込む。堀辰雄、室生犀星に師事し、音楽的に構成された繊細な十四行詩型(ソネット)を作り出した。37年に第一詩集『萱草に寄す』、『暁と夕の詩』を刊行するが、同年秋から体調をこわし、39年3月に結核性肋膜炎のため24歳で死去。入院中に第1回の中原中也賞を受賞している。34年に訪れた信濃追分の風景を愛し、多くの詩の背景としている。作品は前期のほか、没後に堀辰雄が編纂した『優しき歌』が47年に刊行、全集は戦後、数回出されており、筑摩書房が全5巻の全集を刊行。

「2023年 『無伴奏混声合唱組曲 春が来たなら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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