ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)

著者 : 江國香織
  • 角川春樹事務所 (2004年5月1日発売)
3.41
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758431026

作品紹介・あらすじ

「私の恋人は完璧なかたちをしている。そして、彼の体は、私を信じられないほど幸福にすることができる。すべてのあと、私たちの体はくたりと馴染んでくっついてしまう」-三十八歳の私は、画家。恋愛にどっぷり浸かっている。一人暮らしの私を訪ねてくるのは、やさしい恋人(妻と息子と娘がいる)とのら猫、そして記憶と絶望。完璧な恋のゆく果ては…。とても美しく切なく狂おしい恋愛長篇、遂に文庫化。

ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 妻子持ちの恋人との満ち足り足りてしまった(終点に行き着いた)関係に、絶望というやさしい訪問者に少しずつ確実に壊されていく「わたし」。はぁー、読む度に好きな一文が見つかる。

  • 読んでいると砂糖漬けにされていくような感覚を味わう小説

  • 子どもの頃の甘い記憶と、紅茶に添えられた角砂糖にたとえられた、38歳の中年女の甘やかされた生活。
    まるで詩のように、交互に、ぽつぽつと語られている。

    ときどき江國さんの言葉たちに閉じ込められたくなる。

    「すみれの花の砂糖づけ」にどこか似ている。

  • 38歳で画家の「私」は、妻子がいるらしい「恋人」と交際しています。彼女の妹は6歳年下の「大学院生」と付き合い始め、過去の女に執着しているらしい彼と、それなりに修羅場を演じているようなのですが、「私」は「恋人」と完璧になじんでおり、それゆえに、完全に「みたされた絶望」の中に「閉じ込められて」います。

    ほとんどストーリーらしい展開のない本書の最後で、「私」は「恋人」に別れを告げることになるのですが、それでも本書は、一人の女性の「自立」をテーマにした小説ということはできないように思います。彼女は、「女スパイ」を演じていた少女の頃から同じところにい続けており、どこにも行くことはなかったのではないかという気がします。そしてたぶん、それでいいのではないかと思わされてしまうような、美しい文章が印象的な作品でした。

  • 江國さんの小説ってすごく不健康で好きです。

  • 江國香織の作品の中で三位以内に入る小説。
    その何位かはそのときによって変わる。
    この本に出会ったのは10代のときだった。印象としては、壊れそうなものを強く書く人なんだなぁと。もしくは日常にある何気ない恐怖をゆるりと表現してしまう。
    日常とは何気ないようで実はそこは死と常に隣り合わせである、という恐怖。それをさらりと書いてしまう。
    この小説は小説っぽくない、というのも感じた印象のひとつだ。エッセイを読んでいる感覚にもなれる。小説、エッセイ、日常、様々なことに混乱させられる。そして、恋愛。
    どんなにリアルに恋愛のエグい部分を描写しようとしてもこのような非現実かつ現実的世界をこんな風に描写していく作家はかつていただろうか?というくらい、文章力がすごい。一行一行に線をひきたいくらいだ。
    そしていつも思わされるのは、江國さんの表現には情景がそのままみえてしまう。例えがなんと情景そのものだから、すらすら心の中に入ってくる。心で、安心して読める小説とでもいえようか。
    しかし、ひとつ、難点がある。実はこの小説とても危険な小説ということだ。それがどう危険なのかは読んだものにしかわからない。家庭のある人と恋愛することが危険、とかそういうものではない。
    あまりにもすらすら読めてしまうのにしかじわじわ心に深く刻まれていく。ひとつひとつの描写が。
    そして読み終わったとき(もしくはその途中かもしれない)には、私は感情のひとかけらをなくしてしまう危険性もあるということだ。もしくはまだ名もない感情が生まれたことによりどうそれと接したらいいのかわからず、ただぼーっと何かを眺めるようになってしまうのかもしれない。

    読んだあと、読んでいる最中、心地よい充実感と喪失感みたいなものが混合してくる。何を、と言われれば、生活そのものの、と答えるかもしれない。

  • とても危ういところで生きているからこその恋というものもある。
    死生観とかなにかすごくわかる気がする。
    静かな音楽のような物語だった。

  • 『ストーリーは……ない……』
    金原瑞人さんの解説は、凄く正しい。
    淡々と進んでいく三十八歳の私のつぶやき。
    それでも、グングン引き込まれて読んじゃった。
    江國マジックとも言う(笑)

    アタシは、雨の日か真昼間のお風呂場で読みたいと思った。

  • ゆったりと静かにきれいに、でもひとって病んでいくんだなあと思います。これは依存のお話なのでしょうか?
    絶望が訪れる瞬間と子供時代のつながりは、なんだか共感してしまいます。

  • 絶望を友としつつ生きる私は38歳、画家。
    5秒見つめるだけで泣きたくなるほど好きで、彼がいてくれれば街も海辺も過不足がなくなると感じる、完璧な恋人。恋人には家庭がある。恋の行方は?

    恋愛に全てを捧げる主人公の心の動き方が素敵で、その表現が美しくて、惹きこまれてしまう。

    江國香織の言葉の世界に毎日浸っていると、恋愛力アップすると思います。きっとね、たぶんね。ほんとだよ。

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