魯山人の食卓 (グルメ文庫 き 1-1)

  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758431316

作品紹介・あらすじ

「茶漬けの中でも、もっとも美味いもののひとつに、はもの茶漬けがある」。食が細くなる盛夏に電車で通った寿司屋、自分で作る八種類もの懐かしい雑炊、昆布と鰹節での出汁の取り方…。書・絵画・陶芸の大家、北大路魯山人は自ら料亭「星岡茶寮」を主宰するほど、食にこだわる通人だった。魯山人が追究した旨いものとは何か。稀代の美食家の思いを余すところなく伝える珠玉の食エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 美食家で知られている北大路魯山人の著作集。
    素材の選び方から調理法、食べ方まで日本料理に関する様々な薀蓄が述べられていて、日頃料理にあまり興味の無い私にとっても大変参考になります。多くの言葉で料理を語る魯山人ですが、料理の評価となると「美味しい」「美味い」「不味い」の3つくらいしかない。日本語の語彙には、味覚に対する表現が少ないといわれますが、魯山人でもだいたいこの3種類の言葉だけで表現しています。逆に言えば、いかに手を加えてみても料理というのは「美味い」と「不味い」でしか判断できなのかも。この本を読んでいてそう思いました。

  • 読んだ後、ちゃんと出汁を取りたくなって昆布と鰹節を買ってみました。

  • どうしても料理を美味しくつくれない人種がある。私はその人種を知っている。その名を無精者という。(p.141)

  • 魯山人の食に関する文章をまとめたもの。雑炊と茶漬けの項は試してみたくなる。それにしてもこの薄さでこの価格はないのでは。

  • 京都のゴリ(鮴)の茶漬け=食通間では”茶漬けの王様”.ごり押し:”ごり”は吸盤状の胸ビレを川底にへばりつかすため網を川底を削るように入れなければ捕れない事から/銀座の寿司屋:「新富」「九兵衛」「寿司仙」/鮪:夏漁が多く、夏千尾、冬三百尾くらい。ほとんどが北海道産だが、たまに春先から夏前までに種子島方面から入荷があるが質が悪い。鮪の一番は、三陸の宮古の岸網ものの「しびまぐろ」/星岡茶寮(ホシガオカサリョウ):赤坂山王神社の境内(現:キャリトル東急)に1925年開設.徳川家16代当主・徳川家達を筆頭に資金

  • 取り立てて特別に驚きを誘う内容ではなかった。
    当たり前のことを当たり前に述べている。
    「鮮度の良い良質の食材を、適切に調理するのがよい」と。

    しかし、昭和初期頃に書かれた内容であっても、十分に本質的に現代にも通ずる料理指南である点は立派であると思う。いや、むしろ食材は昔のものの方がはるかに美味であったかもしれないけれど。

    ただ、私はこれを読みながら魯山人の孤独というものをひしひしと肌に感じた。これほどに「食」に対して執着するのは、つまりそれが無意識に幼少時の愛情の不足を補う術だったからではないか、と。

    「食」は人をひととき幸福にする。そこに完璧さを求めた魯山人の姿から、虱にまみれた着物を着た寂しい男の子が見え隠れするようで、彼が「食」に対して真摯になればなるほどどこか読みながらやるせない思いがした。

  • 読んだ感想。それは、ひたすら「スノッブだな〜」。
    寿司、魚、鍋、雑炊、お茶漬けなどについて魯山人が語っておりますが、ちょっとやりすぎ感が強くて、私には合わないみたいです。

  • 『料理の鉄人』で魯山人の名前を知り、手にとって観ました。
    芸術家だったんですね。
    書いてあるのは食通が好みそうなことだけど、
    素材を厳選することが大事なのが伝わってきました。

  • 『ふぐ』を食べるか食べないかのくだり、魯山人のしつこさがこれでもかと出ていて本当に面白い。いや、可笑しいと言うべきかも。わかっててやってんじゃないだろうか、こだわるなんてダサいよと。でもこだわっちゃうよと。生茶なんか飲まねーよと(そんなことは書いてない)。フグ食べないなんてアホだと。ゴミ出すなと。俺はめんどくせえ男だと。巻末の解説まで非常に楽しく読みました。

  • 楽しく読んだ。今の時代から見ると当てはまらないかと思うところもあるのだが、それ以上に当てはまるところ、今だから考えるべきところが多い。
    料理は素材が大事だと言う。その通りだ。大きな松茸を喜ぶ人を見ると判ってないな、と思うけれど、魯山人から見たらなんのことはない私もその一人のようだ。素材は大事なのだ。冷蔵庫のおかげでだいぶ延命は行なわれているものの、確かに土から出た瞬間から野菜もよくない方向に動く。野菜は育ってしまうからだ。この点、魚はやや違う。そこも含めて素材の吟味が料理の大半であるとこの本は言う。その通りだと思う。
    続いて、味を知らないと味は判らないと言う。これもその通りだと思う。しかし、恐ろしい言葉でもある。
    こうして冷静に怖い発言の集大成として魯山人の本になっている。巻末に弟子と名乗れる平野雅章さんが解説を書いている。解説は役に立つのだけれど、平野さん自身が魯山人にはとても及ばなかったこともそこで判る。魯山人、恐ろしい人だ。今までただただ避けていた。それは誤解だったんだな、と判った。この人はやはり物を捨てない人だったのだ。

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著者プロフィール

北大路魯山人 (きたおおじ ろさんじん)
料理研究家・陶芸家・書家=本名房次郎。1883(明治16)年、京都・上賀茂神社の社家の次男として生まれる。1904(明治37)年、日本美術展覧会の千字文の書で一等を受賞。その後、篆刻、陶芸に手を染める。19年には古美術商を営むかたわら、会員制の「美食倶楽部」を発足させる。25年には東京麹町に、当時のセレブを対象にした日本料理の料亭、星岡茶寮を創設、顧問兼料理長に就任。26年、北鎌倉の山崎に窯を築き、星岡窯と称した。料理と陶磁器と書に鬼才を発揮、新境地を開いた。美食に人生をかけ、美的生活に耽溺した。1959(昭和34)年12月21日、好物のタニシのジストマによる肝硬変で死去。

「2020年 『魯山人の和食力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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