光の山脈 (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 120
感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (497ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758432214

感想・レビュー・書評

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  • 文庫帯の「山岳冒険小説の金字塔」は、けっして誇張された讃辞ではない。
    山でしか己の生き甲斐を見出せない主人公ロッタ。そして、不幸な過去を持ち、生きるうえでの彼の存在が欠かせない妻の亜希。
    彼らと、暴力団と産廃業者の悪行を新聞で暴露したロッタの兄に、魔の手が伸びる。
    「純粋無垢にして自由奔放」、正義という言葉を何より信じるロッタ。復讐の念に燃えた彼は、兄と妻の仇を撃つべく、組事務所ですさまじい銃撃戦。
    さらに、狼犬シオを従え、豪雪と極寒の南アルプスで、暴力団を相手に、一人サバイバル戦を繰り広げる。
    その壮絶な戦いに、頁置く能わずも誇張と言えず、読む手が止まらない。
    「古典的西部劇や東映やくざ映画のよう」とは、言いえて妙。
    そんなハードアクションの一方、この小説に爽風をもたらすのは、ロッタと妻との愛。それに、彼らが最初に絆を深め、死闘の後のクライマックスの舞台ともなる”物見岩”と、そこからの絶景。
    今、実在するその一枚岩物見岩は、登山者の隠れた名所となっているらしい。そこからの絶景を、一度見てみたいものだ。

    ロッタを側面援助する、山梨県警の堂崎雄一と山梨日報の沢村聡志。彼らの名前に、それぞれ堂場瞬一と沢村鐡の両氏の名前を想起したのは、読み手だけだろうか。

  • この前見つけた樋口明雄の、これまた山岳冒険小説です。
    前に読んだ『狼は狼は瞑らない』が良かったので、また試してみました。
    読んでみた結果は…、やっぱり良かったです。
    やっぱり冒険小説はこうでないと!と思ってしまう内容でした。

    産業廃棄物の不法投棄を行う組事務所とそれを見て見ぬふりをする町の人間。そこに一投を投じる兄弟。祖父の時代に町に来たのにも関わらずよそ者扱いをされる閉鎖的な町に住む彼等は、兄は町を捨てて、弟は町外れで山とともに生きる。

    でも町は非情で、山とともに生きる弟を排除しようとします。
    彼が不法投棄の告発の手引きをしたということで…。

    弟は知的障害を持っているという設定となっておりますが、その設定、やや無理があるんじゃないの?と思ってしまいます。

    山から全てを教わったこともあり、頑なな正義感を持つ彼は、許せないことは絶対に許せません。
    ということで、方々でトラブルを起こすのですが、それはマトモなコトをマトモに言ったためにトラブルとなるという類のものです。
    あくまでも純粋だという前提なのですが、それだったら知的障害を持っているという設定にはならないんじゃないかな?とも思いました。

    というよりも、組との闘争シーンでの超人的な動きやアイディアなんかは、
    障害とは無縁の話で、冒険小説の超人的な主人公の働き!そのものでした。

    冒険小説にはヒロインも必要なのですが、弟の奥さんも充分にヒロインの資格のあるキャラだと思いました。

    東映ヤクザ映画を見るみたいに、主人公にこれでもか!これでもか!!っていう不幸をもたらしたヤクザを、一人でやっつけていくっていうのが爽快です。
    それを助ける親方や兄の同僚、刑事、みたいな魅力的なキャラもいいかんじです。
    出来れば刑事をもう少し描いて欲しかったかな?です。
    あと、敵役のヤクザの親分の心の闇ももう少し掘り下げて欲しかったかな?

    でも、本当に面白い作品でした。
    樋口明雄、これからも要チェックです!

  • 冒険小説、猟師もの、ハードバイオレンス、そして、犬。狼犬、憧れる〜。
    しかし、私は、楽しめなかった。死が多すぎる。「K9」シリーズの優しさからは、かけ離れたところにある内容だった。

  • 人が人を許すということ。

  • ★★★☆☆

  • 樋口明雄祭り、継続中。

    犬たちとともに山を駆けめぐり、イノシシを狩るロッタこと六田賢司。無欲で純粋なこの若き猟師の前に立ちはだかったのは、暴力団と手を握った企業による悪辣な自然破壊だった。その魔手が、身重の妻と新聞記者である兄に及んだとき、ロッタは狼犬・シオと、豪雪と蒼氷の南アルプスにたてこもる。マイナス20度の極寒の世界で、容赦なく顔を叩く地吹雪。壮絶なサバイバル戦の火蓋が切って落とされた…。

    最近の作品に比べると、ヴァイオレンス度がまったく違う。

  • 樋口氏のエッセイで取り上げられていた、作者の友人をモデルとして描かれた冒険小説。
    自らの力と犬の力のみを頼りに、山に入り獲物と闘う。
    自分の力が及ばなければ、自分が相手の獲物となる。

    山と犬、自然、猟友会、自然破壊。
    樋口氏が何度となく取り上げてきた題材に、ヤクザと結託した建設会社、村八分などのエッセンスが加えられ、正面から山と向き合う冒険小説になった。
    多くの命が失われるが、読後感は静か。

  • 山をこよなく愛し、犬と共に山野を駆け廻り猪を狩る、通称ロッタこと六田賢司は、人に馴染めず、養護学校で少年時代を過ごした。大人になり人に優しく自身に厳しい性向とも相まって祖に魅力を開花させた。過去の辛い経験から喋る事が出来なくなった妻の亜希は、そんなロッタと出会い優しく包まれ自分を取り戻していった。

    愛する山を守る為新聞記者の兄と共にひょんな切欠で知った地元の土建屋が関わる不法投棄を告発をする。
    行政も動き、不法投棄は止められ行政処分が下りるが、土建屋の背後で糸を引くやくざが暗躍し、六田兄弟とロッタの身重の妻に迄魔の手が及んだ。
    怒り狂ったロッタは猟銃と相棒の狼犬シオと共に、豪雪の南アルプスにたて籠った。
    やくざ対、一人と一頭の戦争が始まった。

    山岳小説と守る為の戦いと好きな要素が被っているのでドキドキしながら読みました。若夫婦の恵まれない中でお互いを思い合う姿がぐっときます。途中長いという印象を抱くかもしれませんが、最後の慟哭部分に至る為の長い九十九折だと思えば余計に気持ちが盛り上がるというものです。お勧めします。

  • 2016/3/7 Amazonより届く。
    2020/2/11〜2/16

    久しぶりに血湧き肉躍る冒険小説を読んだ。山を愛するロッタが躍動する山岳シーンは実に読み応えがあった。展開としては、お約束的なところも多々あったが、登場人物のキャラも良く楽しめた。息子の光の物語も読みたいなぁ。

  • 気になっていた作者だが、はじめて読んだ「樋口明雄」。
    迫力の自然描写とすさまじい緊張感。その中で生き生きと描かれている人物と犬。否が応でも物語に引き込まれるすごい作家・作品。とりあえず★5
    「約束の地」も読んでみたい。

    山村で妻の「亜希」と猟犬たちとともに生きるロッタこと「六田賢司」。この山を愛し純粋な若き猟師の前に立ちはだかるのは、強い者には流される村社会と、暴力団と手を握った企業による悪辣な自然破壊。その魔手が、身重の妻と新聞記者である兄に及んだとき、ロッタは狼犬「シオ」は山にたてこもる。壮絶な戦いの火蓋が・・・。

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著者プロフィール

1960年山口県生まれ。明治学院大学卒業。雑誌記者を経て、87年に小説家デビュー。2008年『約束の地』で、第27回日本冒険小説協会大賞、第12回大藪春彦賞をダブル受賞。2013年刊行には『ミッドナイト・ラン!』で第2回エキナカ大賞を受賞。主な著作に『狼は瞑らない』『光の山脈』『武装酒場』『酔いどれ犬』『ドッグテールズ』『竜虎』『北岳山小屋物語』など。有害鳥獣対策犬ハンドラー資格取得。山梨県自然監視員。

「2021年 『南アルプス山岳救助隊K-9 影がゆく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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