熾火 (ハルキ文庫 あ 10-8)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 203
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758432290

感想・レビュー・書評

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  •  暴力、虐待描写がとにかく嫌でそればかり印象に残った



  • 私立探偵畝原シリーズ第四弾。
    北海道警察に外注される死体解体処理業者に虐待された、糞尿にまみれた血塗れの少女。
    姉川の拉致。
    シリーズの中のある意味、大きな節目になる一冊。
    シリーズ一作目では小学生だった主人公畝原の娘も今じゃ、高校生になり、畝原も中年になる。シリーズを追うごとに、登場人物が歳を重ね、深みが増して行く。読者としては、読みどころの一つだね。
    畝原はシリーズが終わる頃には幾つになっているのか。

  • 大好物の、バツ一、子持ちの私立探偵、畝原シリーズだが、中でも「熾火」が大好きだ。

    畝原は、ある晩、血だらけのTシャツを1枚だけ着た、幼児にも見える女の子を保護する。

    彼女は戸籍を持たず、ずっと段ボール箱の中で虐待を受けてきた。そして、腎臓を1つ失っていた。

    ある事件がきっかけで親しくなった姉川(やはりバツ一で娘を育てている)は、女の子のカウンセリングを引き受けるが、女の子に接触する前に数名のグループに拉致されてしまう。

    畝原シリーズには、なにやら得体のしれない、不気味で気持ちの悪い人間がよく出てくる。

    ニヤニヤ笑いながら、平気で残酷なことをする輩や、普通の社会生活を送りながら、ネジが外れ、想像力のかけらもなく、人を傷つける者、などなど。

    「熾火」も、情景描写が抜群なので、気持ちの悪さが尋常でない。

    「熾火」の事件をきっかけに畝原と姉川は、「墜落」で結婚しているが、同時に、この女の子を養女にし、「幸恵」と名付ける。

    人間的な扱いを受けてこなかった幸恵は言葉もしゃべれない。

    「墜落」以降、この幸恵は、畝原、姉川、そして二人のそれぞれの娘たちの愛を受け、徐々に、徐々に、人間の子どもらしくなっていく。

    陰惨な事件も起きる、いやハードボイルド小説としてはそうした事件がストーリーの中心となるのだが、あいまあいまに描かれる、幸恵が笑ったとか、「おとぉ」と言ったとか、

    家族が暖かく見まもるなか、人間を取り戻していく、こっちのストーリーも楽しみなっている。

  • 再再読。
    前に書いた自分の感想の、今後も登場する刑事って誰だ?全くわからん。
    玉木の鬱屈や狂気、最後らへんの一周まわった感じの淡々とした言動が好きだなーと思った。犯人のあっけらかんとした異常性と好対象、理性的に考え詰めて煮詰まって焦げ付く寸前のような狂い方。太田さんの衰えが切ないわー。そして冴香ちゃんの成長を見守る。

    再読。
    明美と幸恵への暴力が陰惨すぎて、しばらく読む気になれなかったが、意を決して。
    ススキノの「俺」の『駆けてきた少女』、スピンオフの『ススキノハーフボイルド』と繋がり、本書を読んで大体物語が決着する。
    こういうのは抱き合わせ商法っぽくてあまり好きになれない。
    北海道の闇に分け入り、特に警察と犯罪組織の癒着を示唆する点、著者のテーマ。
    印象的なのは、今後も登場する刑事。この頃はまだまともで、被害者に同情したり畝原を脅しあげたりと、マジメ?に職務をこなしている。

  • そうか。。なるほどなー。。
    東直巳さんを知って、6年か。。
    『俺』と最初に「出会った」ので、なんとなく『俺』のふざけたいい加減な感じ(褒め言葉!)に惚れてるので畝原さんは後回し後回し。。
    時系列順・発売日順に読んでいる訳でもないので、なんとなくごっちゃになっている部分もあって。
    姉川さんの事件、やっと把握出来ました。
    ツラいわ。
    怖いわ。
    ここまで姉川さんが。。。
    まじか。
    ナルコちゃんね。
    読んでる途中で気がついたよ。
    そっかそっか。

    時系列らしい、ハーフボイルド→駆けてきた少女→熾火の順で読めて、良かった。
    先の二冊は再読だったけど、うん。時系列で読めて良かった。
    そして改めて、『俺』は「ふざけてる!笑 ありがとう!!」と思ったよ笑

  • 犯人にたどり着くまでの過程が良かった。
    起・承の盛り上げ方は良かったけど、ラストのオチがあっけなかったような。
    人間関係の描写が丁寧。主人公と玉木の緊張あるやりとりは面白いかも。さらっと書いてある玉木のハードさも視点が冷静で良かった。
    人間が残酷であればある程、「やっぱりこの世界はこわい所だった」と安心に似た感情を抱く心理って喃々だろう。人間の優しさに安心する時もあるのに。
    犯人が外道で若干グロかった。子供のシーンに関しては、なるべく想像力を働かせないように読んだ。多分この犯人には「こうされたら悲しいし痛い。」という相手を思いやる気持ちがなかったんだろうと思う。

  • 2014.11.14ー75
    探偵畝原シリーズ4弾。
    相変わらずの台詞回しとストーリー展開のテンポに一気読み。ラスト手前迄はおおいに面白く次の展開に期待するものの・・警察組織腐敗の突っ込みが足りず、犯人の異常さだけが際立って印象に残ってしまうラストは今ひとつ・・

  • ミステリーは特定の作家しか読まずにいましたが、この方の本「畝原シリーズ」を読んだのはこれが初めて。手に取った理由は「タイトルに惹かれた」のと「あらすじがおもしろそうだった」から。実際読んでみると、全体的に内容は重く救われないところも多々あるのだが、ミステリーとしてはハラハラできて面白かったです。ほかの畝原シリーズも読んでみたいです。よって★4つ。

  • 畝原シリーズ第四作。

    最後の最後がちょっときつい。
    そりゃこの犯人がおとなしく監禁してるだけなわけないよなぁと。
    生存していたからなおさら辛いものがある。

    時系列的には「駆けてきた少女」の後の話。

  • 主人公がいい

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著者プロフィール

一九五六年札幌生まれ。本郷幼稚園中退、本郷小学校卒、東白石中学校卒、札幌東高等学校卒、小樽商科大学中退、北海道大学文学部哲学科中退。
現場作業員、ポスター貼り、調査員、ガードマン、トラック助手、編集者、広告営業、コピーライター、受刑者など諸職を転々。
一九九二年『探偵はバーにいる』(早川書房)で小説家としてデビュー。同作は、一九九三年『怪の会』激賞新人賞受賞。
二〇〇一年『残光』(角川春樹事務所)で日本推理作家協会賞受賞。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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