- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758432580
作品紹介・あらすじ
川上優は、ある日街のなかで懐かしい「形」に出会う。それはもうこの世にはいない、京子の形と全く同じものだった。優は生まれつき特殊な感覚をもっていた。それは共感覚と呼ばれ、全ての匂いを視覚的に形として認識してしまうもので、指紋のように同じ「形」は存在しないはずだった。優が我を忘れて京子と同じ「形」を追いかけていくと、そこにいたのは高校時代の親友・霧島と見知らぬ女の子だった…新芥川賞作家が描く不思議で切ないラブストーリー。
感想・レビュー・書評
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【赤を赤いと感じる感覚を誰とも答え合わせはできない】
一冊前にも三角関係のラブストーリーを読んで、作者が違うのに続きを読んでいるように感じたが、それも仕方ないか。特殊な恋愛ものの結末なんて、最初から決まっているようなものなのかもしれない。作中、表現の統一性のなさが少し気になった。でも、そのお陰で読み取れなかった部分が分かったので有難かったが。個人的にはご都合エピローグはない方が良かったと思う。無理に補完しなくても、物語の思いを感じ取れたので。
伊藤たかみが嫌いということを忘れるくらい、面白かった。私も私の形を見てみたいとそう思った。ただ、解説は本当に本当に本当に面白くないので、読まないほうが本編が楽しめると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
共感覚という言葉を この本で初めて知りました。。不思議で切ないラブストーリ。
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恐れを持って生きていく…愛してもらいたい…すごく素敵な話でした
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彼と、彼女と、僕。三人いつも一緒だった。彼女が亡くなるまでは…。芥川賞作家が描く不思議で切ない恋物語。
亡くなった彼女の面影を追い求める男の子と、彼女と「ある面」が同じ女の子の出会い。
最後に何を伝えたかったのか、死の真相は?妙な行動を取るようになった友人の思惑は…?
ミステリータッチのラブストーリーですが、主人公が「共感覚」の持ち主ということで
私が感じる現実とは少し違う、不思議な雰囲気がプラスされているような物語だった。 -
相当ややこしい。共感覚という特殊な能力をもつ主人公のせいなのか?恋愛小説でもあるが、すっきりしない。
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切ないけど好きな小説
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彼女は事故だったのか、自殺だったのか。
最後に誰に何を言い残そうとしたのか。
ミステリー要素もあり、多感期の恋愛があり、展開も納得のいく結末も面白かったが、共感覚という単語を使わなければ、もっと透明感があって良かったような気がしてならない。
特殊能力ではなく、多感期な心の繊細さ、複雑さ、として描かれたら、最後は泣いたかもしれない。
残念。 -
共感覚。
京子が最期に伝えたかったものは・・・
答えをめぐって揺れる霧島、優、七海が辿り着く先は。。 -
不思議で切ないラブストーリー。
でも、自分にはあまり合わなかった。
というか、こういうラブストーリーはあまり好みじゃなかったみたいだ。 -
優は人の頭の上に「形」を見る事が出来る特殊な能力、共感覚を持っていた。その「形」は指紋のように誰一人として同じ物は無い。
だが偶然見つけた雪の華の形はあるはずのない物だった。何故ならその形を持つ人物は親友霧島と優が思いを寄せていた今は亡き京子の物だったのだ。
その形を持っていた人物七海と二人の運命がそこから動き始める。悲惨な過去をあぶり出しながら再びその形は舞い上がり辺りに影を落としてゆく。
ミステリー調でありながら何処か儚く悲し気で、人の思いが強く描かれたストーリー。
暗い過去を振り返らせていくようでありながらも寂しさと強い思いを込めて描かれているところは読んでいて引き込まれる。
「共感覚」という不思議な能力の解説もあり、それがより一層話を軸の強い確かなものとしている。
だがその能力よりも人の求める思いを鮮やかに描いている所がこの作品の魅力だと思った。