虚構の殺人者: 東京ベイエリア分署 (ハルキ文庫 こ 3-19)
- 角川春樹事務所 (2006年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758432603
感想・レビュー・書評
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今回も須田の推理が冴えわたっていました。本作で描かれている姿との対比でその冴えがより一層魅力的に感じます。また須田以外の面々も非常に味がある、”安積係長とその素晴らしき仲間たち”、というサブタイトルをつけたいくらいのシリーズですね。
事件のほうはというと、難解なトリックはなく、根底には人間関係が横たわっており、そのもつれた糸を解きほぐしながら真相に迫る姿がよみどころでしょう。警察組織内部の対立という障害もありつつ、でも最後は「正しいこと」を貫きとうそうとする安積に軍配があがるという展開もちょっぴり勧善懲悪的で読み手としては留飲がさがる思いです。物語の終盤、捜査本部を去る際に相楽警部補に対して言ったセリフが安積の真骨頂ではないかと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やっぱり今野敏さんの小説は面白い。安積班のメンバーがそれぞれに素敵です。安積さんは、自分の事をいつもくたびれた中年というけれど、そんな事ないのです。是非とも奥様と復縁していただきたい。
ドラマ「ハンチョウ」は観ないことにします。私の頭の中の安積さんと佐々木蔵之介さんは違い過ぎるので。 -
安積警部補のテクニック描写が面白い。本当かどうかは知らないけど、なるほど、と思う。
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徐々に明確化する相楽警部補との対立構造?刑事の慣習や自分の先入観にとらわれず、事実や供述を客観的に感じることによって、真相に迫ろうとする安積係長。個性的な部下たちに支えられた安積の活躍が爽快である。
2006年に、第27回吉川英治文学新人賞を受賞した『隠蔽捜査』。2008年に、第21回山本周五郎賞と第61回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞した『果断 隠蔽捜査2』。受賞の理由は、現場の刑事が繰り広げる捕物帳ではなく、警察官僚の世界を舞台にした斬新さと、その中で、慣習よりも原理原則を重んじて、問題解決の当たる竜崎警視長の姿だったのではないでしょうか?
私は、この『隠蔽捜査』『果断 隠蔽捜査2』に魅せられ『疑心 隠蔽捜査3』『初陣 隠蔽捜査3.5』と読み進めた時、もうひとつ他の小説に無い魅力を感じた。それは、主人公である竜崎の台詞や口には出さない呟きが、とても面白いということ…そのような楽しさは、この『虚構の殺人者』にも散りばめられていて、『安積班シリーズ』が描かれた時に既に確立されていんだと思いました。単に、犯人は誰か?どうやって殺したのか?動機は何か?を追う推理小説ではなく、捜査側の対立構造や、登場人物のキャラクターも楽しめる完成度の高い娯楽小説だと思います。 -
今回も相楽さんとの捜査方針が割れてどうなるのか?と思ったけど、コンピューター須田さんが大活躍しました。
第一発見者のカップルは しばらくご飯が食べられないでしょうね 刑事さんや鑑識さんは、大変だな~。
「ブラボー劇団ベイエリア分署!」って安積さん楽しそうですね。 -
事件そのものはそれほど深みのあるものではないが、安積の心の呟きが素朴だか深みがある。
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安定した面白さの安積班シリーズ。
色々な本が出版されているが、もはや順番も関係なく読んでもストーリーは別だてなので楽しく読める。
今回はテレビ局の有名ディレクターの死亡からストーリーが始まる。
テレビ局内の人間関係や警察内での人間関係が面白く描かれている。
それらを暴いたり、スマートに解決する安積班だが、まったくかっこよく感じられないのがいい。
人間くさいところまで描かれていて面白く読めました。 -
短いストーリーだか、芸能と警察の日常業務環境が見えた。
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安積班シリーズ第2弾。 好きじゃないと思ってた村雨さんの仕事ぶりに、心のうちで喜ぶ安積さんがちょっとかわいいんですけど!?(笑) 警察官らしくない須田さんの素晴らしい頭脳と言い、ベイエリア分署のみんなのことがずいぶんとわかってきた。 チームワークが素晴らしい! ラストの電話で・・・想像を膨らませてみる♪ 別シリーズの竜崎さんの奥さんがすばらしいんだから、きっとこちらも!?