銀の犬 (ハルキ文庫 み 8-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 269
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758433419

感想・レビュー・書評

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  • ケルト神話をモチーフに、幻想的で美しい文章で紡がれる、切なく哀しい五つの恋。
    声を失った美貌の「祓いの楽人」の青年オシアンと、相棒の少年ブラン。
    終わってしまった哀しい恋に、行き場を失いさ迷う魂に、二人が竪琴と言葉で救っていきます。

    水底に差す一筋の光のような、優しくて澄んでいて、そして温かい物語でした。

  • 構築されている世界も主人公もなかなか魅力的だと思うのですが、物語が動き始めると「どこかで読んだ」感が満載になります。ファンタジー初心者向けといったところでしょうか

  • キョンキョンが書評書いてて興味もったので読んでみた。
    ケルト民話を下敷きに異世界の描いた物語。亡くなったけど成仏(?)できない魂を送り届ける役目のお兄さんと相棒の男の子の話。続きが出てるのかな。読みたい。

  • 人々に降りかかる災厄を打ち払う「祓いの楽人」オシアンーその名は人間離れした音楽の才を妖精の女王ニアヴに愛され、妖精のあいだにのみ伝わる数々の歌を全て授けられたとされる伝説の祓いの楽人と同じ。
    オシアンは相棒のブランとともに世界中を旅し、この世に未練を残し留まる魂や悪鬼たちを、彼の竪琴が奏でる調べで救っていく……
    ケルト民話と著者の独特の世界観が作り上げる、節約家悲しいファンタジーミステリー。連作5話収録。


    童話とか昔話のようでした-
    めでたしめでたし…なんだけど、少し淋しさの残るお話たち。
    言うべきことは言わないといけない、っていうのが多いのかな-
    "しなくて後悔"より"して後悔"のほうが残らないんだろうな-

    第1話 声なき楽人
    迷える竪琴つかい。
    ちょっと被害者がのんびりやすぎて、加害者の心情のほうが分かりやすいかも…

    第2話 恋を歌うもの
    傍迷惑な恋人たち。
    DDS好きな私には慣れ親しんだ妖たちだ-
    娘の父が呪い師でなければ異種婚姻譚になったのかな-寿命の差での別れがあったとして。

    第3話 水底の街
    蜃気楼。
    取り返しのつかない、やり直せない過去を繰り返し繰り返し体感するなんて、悪夢。

    第4話 銀の犬
    猫かわいい-
    フードに入ってるのがまたかわいい-
    愉快な旅仲間?商売敵登場!

    第5話 三つの星
    家柄しかない少女と家柄だけが足りない少年。
    トライアングル、3人の関係って難しい…同性の友達でも3人だとビミョーにひとり疎外感あったりするしね-
    恩義ある関係、異性混合だともう…
    もっと気安い関係だったらね。

  • あれれ、光原さんってミステリ作家じゃなかったんだっけ…?という思い込みを鮮やかに覆す、ファンタジー作品。しかしながら舞台は異なれど、悠久の時の流れと人間の優しさ儚さを痛いほどに感じさせる光原ワールドは健在であるように思います。なんだか悔しいけど、ファンタジーが似合う作家さんです。

    異世界に身を委ねる心地よさを、じわじわと実感させてくれる秀作。物語のベースとなったケルト民話に通じていれば楽しさ倍増でしょう。

    哀しいほどにお子ちゃまな、ガンコナーの挿話がとりわけ印象深かったです。

  • 最初「銀の犬」ということで犬の話かと思っていたらがっつりファンタジーでした。さまよいその場に囚われた霊を行くべき場所へ導く「祓いの楽人」のお話。どのお話もボタンの掛け違いの哀しい恋の話で、ケルト風ということですが懐かしくも安心して読める物語でした。いつか、オシアンがしゃべれなくなった理由や相棒ブランとの出会いも描かれるのかな?妖精の話がベタだけど好きでした。

  • 『楽人(バルド)のオシアンは、人並みはずれた音楽の才と美貌の持ち主であった。妖精の女王ニアヴはこれを深く愛し、わが領土である常若の国に連れ帰った。
    (中略)だがオシアンは思わぬ弾みから禁を破ってしまい、二度と妖精の国に戻ることも、ニアヴに会うこともかなわなかったという』

    現世と常世の隔てがゆらぐ夏至が迫る晩、ヒースの生い茂る荒野にひとり佇む旅の娘。
    彼女は前年の秋、そこで殺された彼女の恋人の霊が悪鬼となって行きあわせた者を襲っているという噂を確かめるためにやってきた。
    果たして霊は現れる。しかし楽人であった恋人の霊が奏でる楽の音は、彼女の体を引き裂こうとした――。
    彼女を助けたのは、この世に想いを残して死んでしまった魂を音楽によって解き放つため旅をする、祓いの楽人オシアンとその相棒を自称する少年ブラン。
    彼らは荒野へと赴き、楽人の霊の正体と事件の真相を知るために竪琴を爪弾く。
    彼は、人は、なぜ死してなおも想い続けるのだろうか……。

    この世に想いを残し、嫉妬や憎しみ、悲しみ、後悔に捕らわれて救われることのない魂と、いまはもう確かめる術のない昔日の愛や真意に惑う残された人々の心を解き放つ、声なき楽人オシアンの奏でる旋律に彩られた5つの連作。ケルト民族に伝わる民話をモチーフに描かれたファンタジー。

  • 音楽で物事のことわりを操る「祓いの楽人」オシアンが、相棒ブランとともに悲しい事件の謎を解く、ケルト民話をモチーフとしたファンタジック・ミステリ。物語は勿論のこと、とにかくもう文章が素敵。言葉の選び方もリズムも全てが心地よく、するすると頭に入り込んできて、情景をとても自然に脳裏に浮かび上がらせてくれる。

  • ケルト神話をもとにしているようなので、なんとなく親しみやすい神話っぽいお話。解説もありーのファンタジーって感じ。

    切ない中にも救いがあって、その中で生きていく人々がいる。綺麗な話だなあ。

    オシアン=本物のオシアン なのか?気になる―。続編に期待。

  • 面白かった。さらっと読めた。竹河聖さんの「風の大陸」をなんとなく思い出した。

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著者プロフィール

広島県尾道市生まれ。詩集や童話集を出版したのち、一九九八年『時計を忘れて森へいこう』でミステリ界にデビュー。二〇〇二年「十八の夏」で第五十五回日本推理作家協会賞短編部門、十一年『扉守 潮ノ道の旅人』で第一回広島本大賞を受賞。主な著書に『星月夜の夢がたり』『イオニアの風』『風の交響楽』など。

「2022年 『おいしい旅 想い出編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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