オトナの片思い (ハルキ文庫)

  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758434072

感想・レビュー・書評

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  • ショートショートの恋愛話。休憩ごとに1話読めてよかった。読んだことのなかった作家さんの話がたくさんあってお得感あり。「真心」を読んで鰻が食べたくなりました。

  •  人気作家11人が、「オトナの片想い」を通しテーマに据えて短編小説を競作したアンソロジー。

     山田あかねの「やさしい背中」が読みたくて手に入れたのだが、生来のケチのためほかの作品も全部読んでしまった。

     ほかに登場するのは、石田衣良、栗田有起、伊藤たかみ、三崎亜記、大島真寿美、大崎知仁、橋本紡、井上荒野、佐藤正午、角田光代といった面々。

     『料理通信』という雑誌に連載されたものなので、料理や食べ物に関するエピソードがたくさん登場する。「大人・片思い・おいしいもの」の三題噺のようでもある。

     直木賞作家や芥川賞作家も参加するなか、我らが山田あかねはほかの作品と比べまったく遜色ない短編を寄せている。遜色ないどころか、収録された11編のうち、私は「やさしい背中」が2番目に気に入った。

     いちばんよかったのは、佐藤正午の「真心」。これは傑作。短いながらも、誰にも真似できない佐藤正午ならではの世界が展開されている。

     あとは、角田光代の「わか葉の恋」と、大崎知仁の「ゆっくりさよなら」が同率3位というところ。
     角田のものは、他愛ない話ながらも文章の力で読ませる。大崎知仁の作品は会話がいきいきとして素晴らしい。
     
     伊藤たかみのものは地味ながらも佳編。栗田有起、大島真寿美、橋本紡のものは取り柄のない凡作。三崎亜記のものは唯一のファンタジーだが、アイデアが空回り。井上荒野のものはディテールはよいが構成に難ありで、起伏に乏しく印象が薄い。

  • いい意味で心が痛くなる本。
    ある程度の年齢になると片思いがちょうどいいのかもしれない。
    「わか葉の恋」が一番好き。

  • 2016/03/08読了

    久々の更新

    恋愛を題材にしたオムニバス形式の作品は、その作家の男女や人生観、生活感、倫理観、そして創造と想像の奥行きを観察することができる一番の方法だと思う。

    ----

    当たり前のことだが、女性だって年を取る。
    いつまでも子供の様に輝けるわけではないし、身を固めたならば新しい恋は公にはするべきではない。
    しかしふと恋に落ちることもあるだろう。
    もしくは、大切にしてあった恋
    一方は終わっても他方はそうではなく
    両思いの一方が切れてしまった瞬間とは、片思いになるのだろうか。
    『オトナ』の片思いとは、不憫だ。届かない、救われないことはわかっていても、なぜ人は恋をするのか。

    恋愛描写に強い作者陣が描く片思いは、鮮やかで、痛みがある。
    ゆえに、幸せの存在を考えてしまうのかもしれない。

    余談だが、作中に何度か出てくる「食事」の風景
    恋愛と食事は切り離せないものだ。人間の三大欲求に深く関連する なんて、よく言うもの。

    『フィンガーボウル』石田衣良
    深いつながりは持たない
    ベッドにはいかない
    でも食事はする
    そこに快感があるのならば、食事はセックスの代償行為だ。

    『リリー』栗田有起
    恋をすると不調になる。気持ちに身体が追い付かない。
    リリーだなんてかわいい言葉を使えるのは女子高生ならではの特権だ。
    でも心情だけなら大人だって「リリー」が許されるのかもしれない。

    『からし』伊藤たかみ
    人のこだわり、ゆずれないところ、妥協するところ
    共通の何かがなければ生活は成り立たないのかもしれない。

    『やさしい背中』山田あかね
    女性は異性のたくましい部分に目が行く。
    背中、腕、指、足、首筋。。。
    そこからの視覚→相手の人柄などを観察する。
    ふとした時に恋をするとはたぶんこういうところから。
    "実らない方が甘美な恋もある。そっとしておくのがいい思いもある。"(P78)

    『Enak!』三崎亜記
    これはファンタジー色が強かった。
    「影無き者」ってなんだろう。たぶん、何かの比喩なんだろうな。世捨て人とか?影は職 影は自分の陰の部分 影は過去、お金、家庭、何とでもいいかえることができそう。
    何もないものが何かを生み出す過程。

    『小さな誇り』大島真寿美
    誇りという部分はどこにあったのだろうか。
    ぬるいけれども心地いい関係によりそっていたい女。

    『ゆっくりさよなら』大崎知仁
    いつかこんな時が来るのだろうか。
    できればあってほしくないがこんなことはよくあるらしい
    いわば日常だ。だがそれが一番響く。
    この本で一番印象に残るエピソードだ。
    両片思いが夫婦になり、そして片思いになる、切なさの果てに。

    『鋳物の鍋』橋本紡
    なんだか日常をなぞっただけの話だった...
    正直微妙だったが、反町スペシャルは飲んでみたい。

    『他人の島』井上荒野
    これも正直いまいち。おばちゃんは面倒な生き物だ。

    『真心』佐藤正午
    若いお兄さんの、恋愛というよりも縁の話かと。
    出前を頼んで事故にあった、というので大きなストーリーができているから、恋物語は蛇足だと思った。
    作者が著者なのだろうか、主人公がやけに上から目線で好きになれなかった。もったいない。

    『わか葉の恋』角田光代
    大人になることを認めていても
    自身の中で肯定していても心のどこかであきらめられないところがまだある。
    その中で、見かけるだけでもいい と心浮立つことがある。
    まさしく大人の片思いとはそういうことなのだと。
    恋をすると苦しくなる。昔とは違っても、わくわくする気持ちがある。
    大人になった時の自分は何を思う

  • 11人の作家さんが紡ぐアンソロジー。
    1篇がごく短い読み物なので、
    手軽に読めちゃうところは可。
    しかし、特に感動するわけでもなく、
    普通過ぎて興醒めな部分は不可。

    アンソロジーは、好きな作家さんや
    お初な作家さんが一挙に読めるので、
    お得感があるのだけど、
    この本に関しては、それほどの得は感じられず。

  • 短編11本のオムニバス。
    題名通り『オトナの片思い』ばかりだった。
    どうやって落とすとか両想いを熱望するという様な物語ではなく、
    『色々な片想いの愉しみ方』みたいな感じに思えた。
    恋愛に焦ってる人は、逆に、読むとちょうど良いと思う。
    冷静になれると思うから。
    でも、心配は要らない。
    しっかり、恋愛はしたくなると思う。
    笑。

  • 既婚者である彼のことを好きになっては、絶対にだめだ。
    あの背中を捕まえて、後ろから抱きしめたかった。思った途端に哀しみがこみ上げてきた。絶対にできないことを自分が一番よく知っていた。実らない方が甘美な恋もある。そっとしておくのがいい思いもある。ふたりでスコールを一緒に見た。それだけで充分だと自分に言いきかせた。
    いろいろな思いが浮かぶ。けれど心はまだ定まらない。
    たいがいが、どうでもいいようなつまらないことだ。お米はどこで買うかとか、金曜日の夜はどのテレビ番組を見るかとか。それでも、そんなふうなつまらないことの積み重ねこそが、二人にとっては恋愛だったのだと思う。

  • 大人の恋って色々面倒ですよね、当たって砕けろとわいかないと思います。
    色々な大人の恋の小説、今後を予感させる終わりは会ってもハッピーエンドはなかったと思います。
    そういう意味で、切ない気分を感じたい人におすすめ。

  • 11人の作家の大人の恋愛アンソロジー。
    好きだったのは、『Enak!/三崎亜記』と『わか葉の恋/角田光代』。

    2016.1.3

  • 大人の片思いは片思いのままで終わらせた方がいいのかも…

  • 恋をしたくなります。
    素敵な作品ばかりで、友人にプレゼントしたくなります。

  • 片思いって言葉を久しく聞いていなかった気がする。死語ではないだろうが、あまりそんな話を聞かない。まああたりませか、この年になっていまだそんな事をしているやつもいないのかもしれないが。おとなのちょっともの哀しい片思いの物語を気鋭の作家達が書き綴った短編集です。気軽に読めて週末の読書にはぴったりだった。

  • 三崎亜記「Enak!」
    ここから始まりそうな感じ。いい話でした。

    大崎知仁「ゆっくりさよなら」
    離婚することになった男性が「本当にもうだめなんだ」と思い知るまでの話。
    といったらシビアな感じですが、淡々と書かれているので悲惨な感じはそこまでしない。

    角田光代「わか葉の恋」
    友達の片思いの相手を偵察しに行ったりとか、恋するとすっかりノリが高校生に戻る感じが良かった。

  • 角田さん目当てで読みました。
    短い中にも、1人で飲食店で食事できなかった女性が年齢を重ね食堂で食事できるようになり、そこで若い男の子と顔見知りになる……ただ、それだけの話なのに、こういう心の移り変わりってあるなあと、しみじみきました。
    三崎さんの作品は、少し変わった設定。
    以前、読んだ作品も現代なのに変わった設定で書いていたので、こういった作風なのかな?

  • フィンガー・ボウル 石田衣良さん
    やさしい背中 山田あかねさん
    Enak! 三崎亜記さん
    小さな誇り 大島真寿美さん
    ゆっくりさよなら 大崎知仁さん

    この5篇がとても気に入りました。

    恋していて、必ず何かの大きな結果が伴わなくとも
    心のなかで静かに揺れる想いがあるだけで。
    もちろん応えてもらいたいと、思わないわけではないけど。

    想って、自分の中で決着をつけて。
    そのかわりずっと憶えていたい。

    そんなふうに思うものかもしれません。

    恋に似合う年齢じゃなくなったと、外から思われそうな
    年齢や状況になると、すぐに両想いとか、ベッド、とかを
    思い起こすことはしなくなっていきます。

    その恋を、安っぽい汚いものにしたくないから。

    心は意外といつまでも瑞々しく、恋してる時の心は
    淡く透明だから。相手に、

    「あ、浮ついてる」

    とか

    「欲しいんだ」

    とか思われたくななくないし。
    鼻で笑われるのはもっと嫌だもん。
    だから、心で揺れるだけ。

    でも、痛くときめいているのは、ままならぬ恋だからこそ。
    制服の似合ったあの頃と同じ。

    違うのはね。
    何かを求めた途端、その恋は壊れると知ってること。

    片想う。そのことを。
    貶めるよりは秘める方を選ぶ、そんな季節を生きて。

    純度の高い透明さ、意外にもあるものです。

    さらりと冷たい水を飲むように読んで下さいませ。
    小説の中身?それはあなたご自身でどうぞ。

  • 誰かと恋愛がしたくなる短編集。

  • 大人…オトナだけど、そうじゃない。いろんなパターンの恋があって、勉強になりました(笑)

  • 「オトナの片思い」のタイトルどおり、オムニバス形式で綴る、ほんのり甘い、大人向けの恋愛小説。
    「まあ、こんな事もあるよね」とか、「いいね〜」って、別世界を見るような感じ。
    「ハートカクテル」世代なら、共感できるであろう、オシャレな一冊。

  • 最初と最後のお話は良かった

  • 感覚的にまだ大人になっていないなぁ、と感じる。大崎知仁「ゆっくりさよなら」の名残惜しい別れの感覚とか、角田光代「わか葉の恋」の多くを望まない恋する自分に満足する感覚とか、読んでて心地よかった。大人になりたい。201310。

  • 軽く読める。読後感も悪くない。でも残らないなあ。

  • 色んな作家さんの短編集。
    たまには片思いでもしてみますか?って、
    簡単に出来るもんじゃないけど。
    角田光代のは、すごい「わかるわぁ」って感じた。

  • 大崎知仁「ゆっくりさよなら」栗田有起「リリー」がよいなと思った。

  • いいなぁ。
    片思い。

    せつなくもあるけど
    片思いたい。

  • ほぼ全ての物語が主人公女性ってどうなんだろ。こんだけ作家がいるのに・・・似たような話ばっかりで読むの辛かった。男が主人公のやつは、男性作家にあるあるの「冴えない俺に好意をもってくれる若い子OR美人な同級生」という構図・・・。何とかなりませんかね。読んでて恥ずかしいんですけど。

  • アンソロジー

  • やっぱり、角田光代は秀逸。
    大崎知仁、知らなかったけどよかった。
    あと、喫茶店でパートする話。

    3.5とか3.8にしたいんだけど、3か4しかないのがもどかしい。4にならない理由は、設定が被りすぎてて後半飽きてきちゃったから。

  • 色んな作家さんの作品を手軽に読んでみたいと思って買った一冊。

    どれもこれも何となくスッキリしない終わり方なのだが、最後まで読んで見て、ふと表紙をみたら「オトナの片思い」だった事に気づいた。

    「片思い」だからスッキリしなかったのか・・・。

    その中でも気に入ったのが「からし」と「Enak!」。
    とくに「Enak!」は好き。

  • 石田、三崎ファンとしては、二人の作品が入った短編集を読むことができサイコーです。

  • 11人の作家による短編集。
    いままで知らなかった作家を手軽に読めるのが良いです。
    (石田衣良さんと角田光代さん以外は初めて読みました)

    栗田有起「リリー」はテンポが良くて楽しかった。
    大崎知仁「ゆっくりさよなら」は男の駄目な部分が出ている。
    橋本紡「鋳物の鍋」も悪くない。
    佐藤正午「真心」渋みがある。
    角田光代「わか葉の恋」今作に限らず、角田さんの作品はどれもしっかり読ませてくれる安心感があります。

    短編で作品の出来不出来による物足りなさはありますが、それぞれの作家さんの個性を楽しむことができました。

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著者プロフィール

石田 衣良(いしだ いら)
1960年東京生まれの小説家。フリーター、広告代理店でのコピーライターを経て、36歳のときに一発祈念して執筆活動を開始。
1997年、『池袋ウエストゲートパーク』で第36回オール讀物推理小説新人賞、2003年『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞、2006年『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞、2013年『北斗 ある殺人者の回心』で第8回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。
多くの作品がドラマ・映画化されている。代表作に、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「下北サンデーズ」、映画「アキハバラ@DEEP」、「娼年」。
2015年にウェブ個人誌『小説家と過ごす日曜日』を創刊するなど、メディアをまたにかけて活躍を続けている。

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