ひとごろし (ハルキ文庫 あ 18-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 161
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758434348

感想・レビュー・書評

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  • この小説を読んだ後、誰かに「愛してる」なんて言われようものなら叫びながら逃げ出したくなります。
    こんな思いをしなきゃいけないなら愛なんて要らないし愛してなんか欲しくない!
    そう思ってしまうほど人間の歪みや狂気がリアルに描かれています。
    主人公が肉体関係を持った弓恵からストーカー紛いのことをされ、さらに家族の一員として妹や継母から歪んだ愛情を向けられ、逃げ道がなくなり追い詰められていく様子に呼吸が出来なくなるような恐怖を味わいました。
    ラストでは、さらなる恐怖が待ち受けていて、怖いけど面白くて一気読みでした。

  • 中途半端で終わった感がある。
    この本に出てくる女の人全てが愛によって狂っているのか、主人公がそのように感じていたのか。

  • 後味は良くないが、意外と楽しめた。

  • フリーライターの泰史が馴染みの料理屋で出会った薄い弓恵の記憶の欠如とその本性と過去。愛を免罪符にした弓恵や家族の繋がりに執着する異母妹、距離を詰められると激しく拒絶する泰史と、覗き込めば誰もがおかしいような揺らぐ普通に引き込まれた。冒頭の子供の死と夫や義母の冷たさは同情を誘うけれど違うのかなあ。

  • 最後にチャイムを鳴らしたのは誰だったんだろう。
    なんだか真綿で首を絞められるような、じわじわ追いつめられていくような。
    それがサスペンスなんだろうけど、私はあまり好きではない。
    ーーー
    本郷に住むフリーライターの野本泰史は、通いなれたなじみの店「琥珀亭」で水内弓恵と出会う。見るからにおとなしげで目立ったところがなく、存在感が希薄な女。泰史は、そんなはかなげな弓恵に少しづつ惹かれていく。だが、弓恵には少なくとも四年以上の記憶の欠如があった。彼女の過去にいったい何があったのか? 「汝の名」「女神」の著者が描く、極上の長篇サスペンス、待望の初文庫化!

  • 気味が悪い。
    愛し方は人それぞれ。でも、相手の幸せを思うのが愛の基本なのでは。

  • 「愛している」。
    とても素晴らしいはずの言葉も、使いようによっては怖ろしい言葉にもなってしまう。
    すべての免罪符に「愛している」を持ってこられたのでは、まともに相手をしていては対抗することなど出来ない。
    話にならない!!というのは、こういう人間に対して使うものなんだろう・・・と思った。
    中盤までは読み応えがあったのに、どんどん迷路にはまり込んでいくような感覚に陥った。
    それこそが明野さんの狙いだったのかもしれないけれど。
    どうやら私はこの手の物語が苦手らしい。
    どこにも救いのない話・・・読み終わった後の陰鬱とした思いはどうしたらいいのだろう。

  • 主人公の気持ち、共感するトコロが多かったですが、周囲も止めろという人に一時的とはいえ、惹かれたのはわからん。
    あと妹の失踪?の原因というか理由はちょっと苦しいのでは?

  •  フリーライターの野本泰史は、14年間毎日のように通っている洋食屋のオーナー夫婦に、新しく雇ったという店員・水内弓恵を紹介される。おとなしそうな人柄に好感をもちつつも、なぜ突然人を雇うことにしたのか、そして紹介したわりには親しい関係になるなという夫婦の忠告に疑問を覚える。そして店を訪れたある女性の正体から推理し、弓恵が過去に大変な犯罪をおかしているということに気づいてしまう。

     次第にあらわになってくる弓恵のストーカーぶりはもちろんのこと、この作品にはかなり強烈な女性達が何人も登場する。異母兄妹の萌子の兄への執着心は特に強烈。確かにこれは異常で、主人公が逃げたくなるのも無理はない。どうしてそこまで家族に執着するのかはいまいちわからなかったが、弓恵vs萌子の戦いは女性の怖ろしさがものすごく表れていた。でも長すぎて正直途中で飽きてしまった。

  • 主人公はフリーライターの男性。
    濃密な関係を求める家族から逃れ、一人暮らしをする彼は行きつけのレストランで一人の女性と出会う。
    夫婦二人で営む店にウェイトレスとして働く事となったその女性はほとんど化粧気がなく影の薄い女性だった。
    主人公はそんな彼女に何となく惹かれ、何度かデートを重ねるが、会話の中である時期の記憶が彼女にない事に違和感を感じるようになる。
    その空白の期間には思いもしない衝撃的な過去があった。

    社交的で人好きする性格だがその実、家族への愛情の深すぎる主人公の妹。
    一見おとなしくて自分からは何も要求しないように見えるがその実、自分だけを愛して欲しいと願う女性。
    そんな濃密な愛を特定の相手に要求する人間たちと人と濃密な関係を作る事に恐怖を感じる主人公。
    全く違うと思われる両者だが、実は「愛」というものを異常に意識しすぎるという面ではどちらも同じ。
    読んでいてこちらも愛の重さにどよ~んと圧しかかられるような息苦しさを感じました。
    個人的には、歌神楽女がどうのこうのというくだりはなくても良かったのでは?と思いました。

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著者プロフィール

明野照葉

東京都生まれ。一九九八年、「雨女」で第三十七回オール讀物推理小説新人賞を受賞。二〇〇〇年、『輪廻RINKAI』で第七回松本清張賞を受賞、一躍、注目を集める。ホラーやサスペンスタッチの作品を得意とし、女性の心理を描いた独自の作風はファンを魅了してやまない。『汝の名』『骨肉』『聖域』『冷ややかな肌』『廃墟のとき』『禁断』『その妻』『チャコズガーデン』(以上中公文庫)、『女神』『さえずる舌』『愛しいひと』『家族トランプ』『東京ヴィレッジ』『そっと覗いてみてごらん』など著作多数。

「2020年 『新装版 汝の名』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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