花散らしの雨 みをつくし料理帖

著者 : 高田郁
  • 角川春樹事務所 (2009年10月15日発売)
4.27
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758434386

花散らしの雨 みをつくし料理帖の感想・レビュー・書評

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  • 江戸を舞台に主人公の澪が次々に起こる不遇な出来事にも負けず、創意と工夫でおいしく心温まる料理を生み出し、料理人として成長していくお話。

     なんといっても澪を囲む人々がいい。凛としたたたずまいのご寮さん。情に厚いおりょうさん。長年、仕事をしてきて一本筋の通ったりうさん。機転のきくかわいらしいふきちゃん。女性だけでも、多様な人々を描き、場面ごとにはっとさせられる言葉を紡ぎだす。
     それに加えて料理の描写は、湯気や店の中にたちこめるにおい、、食欲をそそる見栄え、食べる人のうっとりした顔が目に浮かぶ。江戸には、このような豊かな味わいのする食事があったのか?と驚き、現代のそれと比べてしまう。

     ところで、文中に出てくる「こぼれ梅」というものは作者が作った言葉なのかとずっと思っていたけれど、今年知人から「こぼれ梅」(みりん粕のこと)を頂戴し、実在するものであることを知った。文中では「そのままお茶うけにいただく」とのこと。食べてみると確かに甘く、酒粕ほどアルコールを強く感じることもなくおいしい。私が食べたものは、見た目はしっとりしたおからのようで、ほろほろしている。調子に乗って食べると、酔ってしまいそうだった。
     このところ、「塩こうじ」が流行り、発酵食品ブームなので、案外ひっそりと身近なところにあるかもしれません。混ぜて焼くだけのケーキに入れてもおいしく、いつまでもしっとりしていましたよ。

  • 季節は水ぬるむ春。
    梅の花散る川面に架かる俎橋。

    魅力的な新しい人物も加わって
    ますます話が色鮮やかになってきた2巻。

    淡い黄金色の美しい味醂。
    満開の梅が零れたように見えることからついた
    味醂の搾り粕の「こぼれ梅」。
    優しい気持ちがつるんと詰まった葛饅頭。

    どれも美しく美味しそうなお料理と
    変わらぬ澪ちゃんたちの広く柔らかく
    温かい優しさに花ならぬ鼻散らしになりつつ。

    澪ちゃんの恋が少しずつ色を深めていくのにもドキドキ。
    切ない恋を胸に潜ませ、想い人をそっと盗み見する。
    夜空には大輪の菊花のような銀の花火。

    旭日昇天と雲外蒼天。
    恋も友情もすべて幸せな未来に続いていてほしい。

  • つる家の頼もしい下足番、ふきちゃんの登場です。戯作者で皮肉屋の清右衛門もここで初登場。
    いきなり3作目を読んで、これが2作目・・・と変に遡ってしまう流れですが・・・

    外がさくさく 中はもっちもちの雪ノ下のてんぷら、三つ葉尽くしでは旬の蛤のお吸物に三つ葉のお浸し。白胡麻を加えた三つ葉の白和えに三つ葉ご飯。そして熱々の白魚と三つ葉のかき揚げ。
    シンプルな蕗ご飯、流山の白味醂、大坂で女子供におやつとして好まれたこぼれ梅(味醂の絞り粕)、金柑の蜜煮、麻疹で生死をさまよったあとにはひんやりと口当たりのやさしい葛饅頭、後に「つる家」の看板料理になる夏蛸の酢の物「ありえねぇ」と胡瓜の歯ごたえにごま油の香りで箸がとまらない「忍び瓜」。

    今回もやっぱり美味しそうです。

    登龍楼にはこのときから本当に腹が立ちます・・・
    花見の時期だけは女も大門をくぐれる吉原、あさひ太夫にこぼれ梅を食べてもらいたくて飛び出した澪・・・
    幼い頃、手を狐の形にして「涙は来ん、来ん」と互いを慰めあった2人の絆の強さに思わず涙ぐんでしまいました。
    北川景子さん主演でドラマ化されたらしいですが、本来「下がり眉」で器量よしとは言えない澪なだけに違和感があって見なかったなぁ・・・

    麻疹が命取りだったり、胡瓜が上方では祇園さんの「木瓜紋」と似ているからという理由、江戸では徳川家の「三葉葵紋」に似ているからという理由で、「恐れ多い」と口にされなかったり・・・この時代ならではのエピソードもふんだんで少し勉強した気分♪

    源斉先生に想いを寄せるもうひとりのみお(美緒)も登場し、ますます気になるシリーズです。

  • ふきの登場で最初はどうなることかと思ったが、
    ひとまずこの件で涙。
    時期的に、清右衛門がムロツヨシのイメージ。

    こぼれ梅はあいかわらず食べてみたくなり、
    太一の麻疹の件では、一瞬朱川湊人を感じつつ、
    当時麻疹が命にかかわる病なのか、
    つい先日祖母と話したばかりだったのでタイムリー。
    料理もさることながら、当時の医療やそれにまつわる
    周囲の反応も垣間見ることができて新鮮。

    新しい登場人物も増え、さらに物語が動いていきそうで飽きない。

  • シリーズ2作目。前回も思った、話としては料理屋奮闘記なのだが、何故こんなにも良いと思うのだろうかと考えながら読んでしまう。
    苦味かな、こんなに頑張って生きていても、辛く苦い思い。それが、苦すぎず、後味は少しほっこりなのでまた食べたく、イヤ読みたくなるのだろうな。

    「春は芽、夏は葉、秋は実、冬は根」のくだりも、そうだよな、自然と共に生きることの豊さをしみじみ感じる。

  • 種市にとって何よりも大切に思っていた「つる家」を付け火で失い、澪たちは新たな「つる家」で心機一転商いをすることになる。
    江戸の人たちに季節を感じさせる料理。
    一途に料理と向き合う澪は、まっすぐな思いをおのれが作り出す料理へと向ける。
    思わず応援したくなる・・・いきいきと物語の中で暮らす澪たちの姿は、清々しい。
    登場する料理も相変わらずおいしそうだ。
    この時代には詳しくないので時代背景とかまったくわからない。
    それでも、次から次へと起きる問題に立ち向かっていく澪の力強さには好感が持てる。
    気持ちのいい物語は、読んでいてもあっという間に時間が経ってしまう。
    「みをつくし」シリーズはそんな物語だ。

  • みをつくし料理帖2巻目。1巻に劣らず面白かった。出てくる料理がどれも美味しそうなのに自分じゃ作れそうにないものが多くて残念。最後のやつだけは夏になったら挑戦してみようと思った。新登場のりうばあさんがかっこいい。

  • シリーズ二作目。

    勿体ぶってノンビリ読もうと思うのだけれども、
    どうにも面白くてやめられない。
    二作目にして大好きなシリーズとなりました。

    澪に恋の予感ですね。
    これまた難儀な恋になりそう。

    今と違い『お取り寄せ』なんて事ができない時代だからこそ、その土地その時期の食材を大事にして料理をしている、味わっている人々がなんとも愛おしい。

    キュウリ、湯掻いても美味しいだなんて初めて知りました!!
    キュウリが大好物な娘の為にさっそく明日にでも試してみようっと。

  • (2014年8月19日 再読)

    火事を乗り越え再出発したつる家。
    下足番のふきが加わり、大けがを負ったあさひ太夫と障子越しに再会し、太一とおりょうが麻疹にかかり、美緒に嫉妬され、小松原への恋にまっしぐら。
    昔を懐かしむかのように噛みしめて読んでいます。

    りうさんの言葉がいい。

    「食べる、というのは本来快いものなんですよ。快いから楽しい、だからこそ、食べて美味しいと思うし、身にも付くんです」

  • 江戸人情っていいな。胸にじんわり広がる優しさが癖になりそう。
    あたたかい本を読むと、心もあたたかくなる。本を読むのもやっぱりやめられないなぁ、と思いました。

    でも、今回はそれだけじゃありません。切ない恋が動き出す予感。。
    源斉先生はまっすぐな人だな〜。告白かと思ったよ!
    私は小松原派なので、ハラハラドキドキしちゃいました。
    これからは澪の料理だけじゃなくて、恋路も楽しみに次巻を読みたいと思います。

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