花散らしの雨 みをつくし料理帖

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 4332
レビュー : 623
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758434386

感想・レビュー・書評

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  • 江戸を舞台に主人公の澪が次々に起こる不遇な出来事にも負けず、創意と工夫でおいしく心温まる料理を生み出し、料理人として成長していくお話。

     なんといっても澪を囲む人々がいい。凛としたたたずまいのご寮さん。情に厚いおりょうさん。長年、仕事をしてきて一本筋の通ったりうさん。機転のきくかわいらしいふきちゃん。女性だけでも、多様な人々を描き、場面ごとにはっとさせられる言葉を紡ぎだす。
     それに加えて料理の描写は、湯気や店の中にたちこめるにおい、、食欲をそそる見栄え、食べる人のうっとりした顔が目に浮かぶ。江戸には、このような豊かな味わいのする食事があったのか?と驚き、現代のそれと比べてしまう。

     ところで、文中に出てくる「こぼれ梅」というものは作者が作った言葉なのかとずっと思っていたけれど、今年知人から「こぼれ梅」(みりん粕のこと)を頂戴し、実在するものであることを知った。文中では「そのままお茶うけにいただく」とのこと。食べてみると確かに甘く、酒粕ほどアルコールを強く感じることもなくおいしい。私が食べたものは、見た目はしっとりしたおからのようで、ほろほろしている。調子に乗って食べると、酔ってしまいそうだった。
     このところ、「塩こうじ」が流行り、発酵食品ブームなので、案外ひっそりと身近なところにあるかもしれません。混ぜて焼くだけのケーキに入れてもおいしく、いつまでもしっとりしていましたよ。

  • 季節は水ぬるむ春。
    梅の花散る川面に架かる俎橋。

    魅力的な新しい人物も加わって
    ますます話が色鮮やかになってきた2巻。

    淡い黄金色の美しい味醂。
    満開の梅が零れたように見えることからついた
    味醂の搾り粕の「こぼれ梅」。
    優しい気持ちがつるんと詰まった葛饅頭。

    どれも美しく美味しそうなお料理と
    変わらぬ澪ちゃんたちの広く柔らかく
    温かい優しさに花ならぬ鼻散らしになりつつ。

    澪ちゃんの恋が少しずつ色を深めていくのにもドキドキ。
    切ない恋を胸に潜ませ、想い人をそっと盗み見する。
    夜空には大輪の菊花のような銀の花火。

    旭日昇天と雲外蒼天。
    恋も友情もすべて幸せな未来に続いていてほしい。

  • つる家の頼もしい下足番、ふきちゃんの登場です。戯作者で皮肉屋の清右衛門もここで初登場。
    いきなり3作目を読んで、これが2作目・・・と変に遡ってしまう流れですが・・・

    外がさくさく 中はもっちもちの雪ノ下のてんぷら、三つ葉尽くしでは旬の蛤のお吸物に三つ葉のお浸し。白胡麻を加えた三つ葉の白和えに三つ葉ご飯。そして熱々の白魚と三つ葉のかき揚げ。
    シンプルな蕗ご飯、流山の白味醂、大坂で女子供におやつとして好まれたこぼれ梅(味醂の絞り粕)、金柑の蜜煮、麻疹で生死をさまよったあとにはひんやりと口当たりのやさしい葛饅頭、後に「つる家」の看板料理になる夏蛸の酢の物「ありえねぇ」と胡瓜の歯ごたえにごま油の香りで箸がとまらない「忍び瓜」。

    今回もやっぱり美味しそうです。

    登龍楼にはこのときから本当に腹が立ちます・・・
    花見の時期だけは女も大門をくぐれる吉原、あさひ太夫にこぼれ梅を食べてもらいたくて飛び出した澪・・・
    幼い頃、手を狐の形にして「涙は来ん、来ん」と互いを慰めあった2人の絆の強さに思わず涙ぐんでしまいました。
    北川景子さん主演でドラマ化されたらしいですが、本来「下がり眉」で器量よしとは言えない澪なだけに違和感があって見なかったなぁ・・・

    麻疹が命取りだったり、胡瓜が上方では祇園さんの「木瓜紋」と似ているからという理由、江戸では徳川家の「三葉葵紋」に似ているからという理由で、「恐れ多い」と口にされなかったり・・・この時代ならではのエピソードもふんだんで少し勉強した気分♪

    源斉先生に想いを寄せるもうひとりのみお(美緒)も登場し、ますます気になるシリーズです。

    • nico314さん
      つらいことも多いけれど、心にじんわりとしみるエピソードにあふれていて目が離せませんよね。本を読みながら、澪にエールを送りながら自分も励まされ...
      つらいことも多いけれど、心にじんわりとしみるエピソードにあふれていて目が離せませんよね。本を読みながら、澪にエールを送りながら自分も励まされるような気がします。
      2012/12/05
    • hetarebooksさん
      nico314さん

      コメントありがとうございます♪
      本当に、困難辛苦にどれだけ見舞われても、澪の事を心から大事に思ってくれている人...
      nico314さん

      コメントありがとうございます♪
      本当に、困難辛苦にどれだけ見舞われても、澪の事を心から大事に思ってくれている人がいて、澪も絶対へこたれない。元気をくれる本だと思います。
      2012/12/06
  • シリーズ2作目。

    わかってたけど、めっちゃよかった!

    火打ちにあって
    場所を移した「つるや」で美味しい料理をだす澪。

    今回はりうばあちゃんがよかったな。

    みんな心優しくてあったかい。

    それが「つるや」のお店に現れるから繁盛するんだろう。

    ご近所の太一くんが元気になって
    最後、笑っててよかった。

    野江ちゃんと澪の「涙はこんこん」が、
    泣けて泣けてたまらんかった。

    2人を会わせてあげたいな。

  • (2014年8月19日 再読)

    火事を乗り越え再出発したつる家。
    下足番のふきが加わり、大けがを負ったあさひ太夫と障子越しに再会し、太一とおりょうが麻疹にかかり、美緒に嫉妬され、小松原への恋にまっしぐら。
    昔を懐かしむかのように噛みしめて読んでいます。

    りうさんの言葉がいい。

    「食べる、というのは本来快いものなんですよ。快いから楽しい、だからこそ、食べて美味しいと思うし、身にも付くんです」

  • ふきの登場で最初はどうなることかと思ったが、
    ひとまずこの件で涙。
    時期的に、清右衛門がムロツヨシのイメージ。

    こぼれ梅はあいかわらず食べてみたくなり、
    太一の麻疹の件では、一瞬朱川湊人を感じつつ、
    当時麻疹が命にかかわる病なのか、
    つい先日祖母と話したばかりだったのでタイムリー。
    料理もさることながら、当時の医療やそれにまつわる
    周囲の反応も垣間見ることができて新鮮。

    新しい登場人物も増え、さらに物語が動いていきそうで飽きない。

  • みをつくし料理帖第二巻。やはり、子供の頃のお菓子だったこぼれ梅を持って、ケガをしている幼馴染の野江ちゃんを遊郭の吉原に訪ねて行くシーンは絶品である。一目だけでも太夫に、あんたの姿を見せてやりたいと言われ、店の前に立つ。桜の花が満開のその下で澪は立っていた。障子を少し開け二階から見下ろす野江。子供の頃にやっていた指を狐の形にし、こんこん。涙なんか、来ん来ん。突然の雨。閉められる障子。このシーンは、やはり絵になる。

  • 今回もどのお話もとても面白かった。一巻一話の澪からは考えられない程、料理の腕が上がってるw今の己に迷いなし!突き進め!って感じですね。
    美緒さんは今後も澪と関係を結んで欲しいです。とても可憐で好きなキャラクターです。
    一巻は災害やら澪自身に見るに耐えない辛いことが多かったけど、今回は麻疹以外は平和〜な回が多くてヒヤヒヤせず読めました。
    強いて言うならその麻疹の回の葛饅頭のエピソードがすこし弱いかな…って感じでした。最後の2ページくらいしかないし、すぐポン!出来た!終わり!って感じだったのでそこだけ残念。

  • たくさんの心模様が複雑に絡み、
    次第に物語が加速していく、シリーズ第2弾。

    始まりの1ページ、たった2行の文章から、
    またこの世界に戻ってきた と感じさせるほどの、
    情景描写のはんなり具合が堪らない。

    前作での基盤があるため、
    流れるように、さらりと読み切ることができた。

    今回のテーマは 心 だろうか。
    下足番として新たにつる家の一員となったふきの、
    幼いながらに人道を通そうとする気持ちから、
    2人のみおの恋心、おりょうさんの親心 と、
    想いが重なるところに滲む優しさに、胸が熱くなる。

    大切な人の身になにかが起きたとき、
    自分にできること、できないこと、自分がすべきこと を
    ちゃんと認識出来る人は強いなぁ と思った。
    感情を通すと、相手を想ったつもりの自己満足が
    透けて見えてしまいそうで、少し怖い...。

    ちなみに、今作で最も気になった料理は、忍び瓜。
    胡瓜をさっと湯掻いて、出汁につける それだけ。
    たくさんの美味しそうな料理が飛び出す中で、
    群を抜いてリアクションのコスパが良かった一品。
    試すのならば、まずはお手軽なものから。
    夏の暑い日に、火照った体で食べる、
    忍び瓜の冷たさと、出汁の具合が格別なのだろう。
    今週末はカラッと晴れることを期待したい。

  • みをつくし料理帖2作目。今回も色々事件あり感動ありで、さらっと読めるし4話に分かれてるのも読みやすい。料理が美味しそう。忍び瓜は簡単だからすぐ作れそう。

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