想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.24
  • (726)
  • (824)
  • (265)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 4112
レビュー : 534
  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758434645

作品紹介・あらすじ

土用の入りが近づき、澪は暑気払いに出す料理の献立に頭を悩ませていた。そんなある日、戯作者・清右衛門が版元の坂村堂を連れ立って「つる家」を訪れる。澪の料理に感心した食道楽の坂村堂は、自らが雇い入れている上方料理人に是非この味を覚えさせたいと請う。翌日、さっそく現れた坂村堂の料理人はなんと、行方知れずとなっている、天満一兆庵の若旦那・佐兵衛と共に働いていた富三だったのだ。澪と芳は佐兵衛の行方を富三に聞くが、彼の口から語られたのは耳を疑うような話だった-。書き下ろしで贈る、大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、待望の第三弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 料理人といってもピンからキリまでいろいろだ。
    富三のように恩を仇で返す者もいれば、元登龍楼の板前・末松のように労せずに益を得ようとする者もいる。
    彼らにとっては、料理は生きていくための手段でしかない。
    だから料理に対して深い思い入れもなければ、料理人としての誇りもない。
    まして精進する気持ちなどあるわけもない。

    高い代金を払わなくても心から笑顔になれるような、ほっと心まであたたかくなれるような料理を作りたい。
    澪の思いは一途で純粋だ。
    心の在り様は、そのまま料理の味にあらわれていく。
    最高の調味料は愛情。
    そんなキャッチコピーのような表現がある。
    気持ちの問題であって、味には関係ないだろう。
    そんなふうに思っていた。
    けれど、みをつくし料理帖を読むようになって、もしかしたら本当にそうなのかもしれない・・・と思うようになった。

  • みをつくし料理帖シリーズ3作目。ですが他2作読めてません。。。
    澪の料理人としての心意気、そんな澪のふるまう料理食べたさに通う馴染み客の顔ぶれ。
    高級料亭ではないけれど番付にも載った料理人としての自負。
    江戸には鱧が流通していなかったため、さばける料理人がおらず、ひと悶着の末、澪が腕をふるうことになり…鱧は貴船の川床でも出ますが、ここでは梅をつけて食べるのではなくとろみをつけた葛餡をからめていただきます。

    いやがらせにあって店の経営が危ぶまれたりもするのですが、それを通してさらに一回り成長する澪。
    ふきと健坊のところ…泣いてしまった。
    前作未読なため野江のくだりについてはこみあげてくるものがないのですが、俄行列の美しさがただただかなしい。
    「お狐さぁん」「こおん、こん」…

    「う尽くし」「鱧の葛叩き」「菊花雪」「あぶり柿」などお料理の描写も見事でお腹が…。
    あたたかい気持ちになれる本です。

  • 上方育ちの女性料理人の澪ちゃんが、江戸でふるまう料理の数々。きったはったのない時代小説好きとしては、どストライクなシリーズですが、今回も面白かった。前巻より恋愛色薄れてぐー。いろいろトラブルはあるけど、澪ちゃんの料理の前にはみんなとろとろです。おいしいもの好きな人には特におすすめ。私は花魁の話が好きー。

  • あっという間に三巻目読了です。
    お気に入りは表題の「想い雲」…。
    澪の逞しさと一途さも胸をうつお話なのですが、花魁たちが被る白狐面の集団の中での出来事が幻想的で、切なくて胸がいっぱいになりました。何度も繰り返し読み返してしまう場面です。

    毎度のことながら、事件の起こし方が上手いです。料理もののまったりなイメージとは異なり、店としての存続の危機や、引き裂かれた友人との切ないやり取り、行方不明の人物の行方や、登場人物の謎が明かされていく出来事、などなど、先を読みたくなる要素が満載です。
    また、事件が起こったあとのおさめ方もうまい。感情的になってしまう人もいれば、冷静に物事を分析し、いさめることもある。ストーリーも見事ですが、厳しい判断もできる人物の投げ込み方が見事なので、万事解決ではなくても、さっぱりと終えられる。肝が据わった芳さんや、りうさんの言葉に何度背筋をただしたことか。

    今回もおいしそうな料理が満載。そのうちレシピを頼りに作ってみようかと思います。

  • シリーズの三作目。
    常にお客で賑わう『つる家』。様々な出来事が、小さな幸せの中にある澪たちの歯車を狂わせていきます。
    前作で感じた強さは澪になく、まだ残る彼女の幼さばかりが気になりました。

    料理は言わずもがな、『再会』が本作のテーマです。
    偶然の再会、念願の再会、腸が煮えくり返るような再会、安堵の再会。人だけでなくモノとの再会も。白狐に囲まれての再会の場面がとても幻想的で、澪が感じたその場の空気が私の肌にも伝わってきました。

    辛抱と精進。
    澪らに試練を与え、大切に育てていこうとする作者の愛を感じました。
    次、おかわり!

  • (2014年8月21日 再読)

    ドジョウ髭の坂村堂が登場して、元天満一兆庵の奉公人で佐兵衛の顛末を知る富三に騙されご寮さんは簪を奪われてしまいます。
    澪は翁屋で鱧料理を振る舞い、ついに野江と再会。
    女料理人やつる家を語る店のせいで、食あたりの濡れ衣をかけられお客が来なくなってしまい、澪は又次に助っ人を頼んでお酒を出す「三方よしの日」を始めます。
    そしてふきの弟、健坊の迷子騒動。

    こうして、もう一度みをつくしの歴史を辿ると懐かしく感慨深いよね。

  • みをつくし3作目。今回も感動あり毎回だけど料理の描写が素晴らしい。シリーズいい感じに引き込まれてます。

  • 2019/04/23
    3巻目。なんて心に響くんだろう。

  • シリーズ第三弾!
    魅力的な登場人物。
    読み進むのがとても楽しい。
    まだまだ序盤です。
    この先の展開がとても楽しみです。

  • シリーズ第3弾。
    順調に営業を続けるつる家にある一人の上方料理人が、常連さんの口利きでやって来る。その人物は澪がかつて仕えていた天満一兆庵の若旦那・佐兵衛を一緒に働いていた人物だった。佐兵衛の行方を知っていると思われる人物に、佐兵衛との再会の望みを託す澪と芳だったが…
    上京し、いろいろな人と出会い、その出会いの中には、いいことばかりではないことも、きちんと描いているのが、この作品の魅力だろう。裏切られても、また前を見て、進んでいく澪の姿に心が打たれる。
    自分も道に悩んでいる時に読むと、さらに澪の姿に頑張ろう!と思わせてくれる。
    そして、つる家を支える面々。
    決して、血のつながりがある訳ではないのに、お互いに支えあい、優しい言葉だけでなく、時には厳しいことも言い合える。今の世の中で忘れられている、何気ない人間関係を思い出させてくれるような気がする。

全534件中 1 - 10件を表示

高田郁の作品

想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする