さぶ (時代小説文庫)

著者 : 山本周五郎
  • 角川春樹事務所 (2010年4月1日発売)
4.32
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758434652

さぶ (時代小説文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 題名はさぶだけど、主役はさぶじゃない?
    素直だけど、要領があまりよくないさぶと、手際はいいが、自分でも少し持て余すぐらいのプライドとちょっぴりのやんちゃ度を持つ栄二は同じ店で働く親友同士。
    どちらかと言うと、栄二を主役に物語は織られていく。

    栄二は或る時、無実の罪を着せられて、店を放免となってしまう。心の底から心配するさぶを横目に、プライドが邪魔をして世間をうまく渡りきれない栄二。維持を張りとおして、最終的に、人足寄せ場で働くこととなる。

    最初は長年働いた自分の話を聞く事も無く自分を駆逐した店の関係者を恨んだり、目付を恨んだりするが、同じく社会からのはみ出し者が集められた寄せ場での経験を踏まえて、事情を知り、栄二に親切な役員や仲間達と出会い成長していく。

    人足寄せ場は世間より理不尽な事が、実は少なかった。そこから出たくないと怯える人足も多くいる。栄二もそう思い始めたが、ついに、自分を見舞うことで店をくびとなり、さらに余裕のない実家でも冷遇されるさぶ、そして思いを寄せる女性と人足寄せ場の外に出て、立ち上がる決心をする。

    その頃には、栄二の心から復讐心がなくなっていた。そんな時、嫁として迎えたおすえが、嫉妬心から栄二を陥れた張本人だと発覚。おすえを許す栄二。

    犯人がおすえにした理由って、人生は想像しているほど悪くもないってことかな?さぶをタイトルにした理由は、栄二目線から見た物語で栄二にとって大切な存在だからだろうか?

    いい本だったし、読む人はみんな栄二の幸せを願いながら読む本だと思うけど、うまく感想がまとめにくい本。世の中、ままならぬ事が多いけど、一生懸命生きていれば、それなりに悪くない世界であるってことかな?

  • 名作。
    人間は簡単に人を疑ったり、思い上がったり、何かあると、すぐに不運、幸運と決めつけたり。でも、「お前は気がつかなくとも、この爽やかな風にはもくせいの香が匂っている」に全ての答えがある。
    能力があり、どこにいても一目置かれ、優遇される栄ニ。何をしても不器用でとろく、馬鹿にされるさぶ。この本が問うのは、その事実だけからはわからない本質の部分。
    結末には、ちょっと言葉がでない。
    最後のエッセイと解説もよかった。

  • 秋風に香るモクセイの匂いがわかるか???

    この物語はすべてここに集約されてると思います。今の私たちが、今一番考えなければならないことなのかな。秋風に良い香りがすることに気づいて感謝して生きて行く。

    物語的にもとても面白くて、どのキャラクターも魅力的で、話自体も満足なのですが、そのなかで伝わるこうした教訓のようなものが心に残るからこそ、多くの人が一生大切にしたいと思う名作たりえてるのだろうと思います。

  • 22年間の短い人生の中では一番涙を流した本。

    栄二やさぶより少し長いくらいの人生しか生きてないので、彼らが幼いとかよくわからなくて、誰も救えないところまで塞ぎこんだ栄二の心がゆっくりゆっくり開いていく過程にただ涙。

    江戸っ子言葉が気持ちいい!

  •  栄二は自分であり、我が息子、人間だなあと思った。未熟さに読んでいてイライラするし、はらはらする。少しずつ成長するけれど最後にまた、さぶを疑うところなんか、またかと思う。人間なかなか成長しないんだなあと思い知らされる。
     一方、栄二を決して見捨てない。何を言われても怒らず、栄二につくすさぶのまっすぐさは、人間離れしている。主人公は、栄二だったけれど、題名はさぶ。目指すは「さぶ」です。
     おのぶとおすえ。どちらも強い女だけれど・・。おのぶはさぶだなあ。
    竹添敦子さんの解説と高田郁さんのエッセイもよかった。

  • 冒頭からさぶの世界に引き込まれた。巧みな情景描写で、読み易い。
    人は一人では生きられない、どれだけ成果をあげて注目されている人でも、その人一人ではその成果をあげることはできない。日の当たるところだけが全てというわけではないということを教えてくれる。
    人それぞれの生き方、周りの人への感謝を考えさせる物語。

  • 栄二という人間が徐々に人の温かみを理解できるようになる過程は心打たれるものがありました。

  • 地球温暖化の影響かどうかわからないが、今年2012年の秋は11月になってモクセイの香りをかいだ。モクセイの香る季節になると、この本を思い出す。
    「お前はどうだ?」ふた呼吸ほどして岡安は静かにきいた「風の肌触りに秋を感じたり、送られてる花のにおいを楽しんだりしたことがあるか…」…。栄二を慰めるように話をした後、岡安はこう締めくくった。「お前は気がつかなくとも、このさわやかな風にはモクセイの香が匂って居る、心を沈めて息を吸ってみると、お前にもその花の香りが匂うだろう、心を沈めて自分の運不運をよく考えるんだな。…さぶやおすえという娘のいることを忘れるんじゃないぞ。」
    この本を手にしてから30年以上の年が経つが、今でもこの季節になり、秋風に金モクセイの香りをかぐと、また1年が経ったことに思い至る。そして、私の見過ごしてきた多くの優しさに取り囲まれている自分にふと立ち戻るものである。ああ、みんな元気にしてるだろうか。。・°°・(>_<)・°°・。

  • 栄二の成長物語。さぶの一途な友情に泣けました。心に残るフレーズも多々あり。しみじみさせられます。

  • 書き出しが印象的。心情の変化やそれぞれの登場人物の人間性、言葉のひとつひとつが心に染みる作品。ラストを読んだあと、もう一度始めから読み直してみたくなった。

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