警官の紋章 (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 1128
レビュー : 110
  • Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758434751

感想・レビュー・書評

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  •  笑う警官(「歌う警官」改題)に始まる道警シリーズも三作目となる。常に道警内部の黒い霧に立ち向かう正義派の警察官たちが、まるで不良職員のように片隅の部署に追いやられながらも、それぞれが信念で動き、真相を明るみに出しつつ、結果的に警察機構の浄化機能を果たしてしまう。そんな快作の背景を作り出しているものは、佐々木譲が常々描いてきた『黒頭巾血風録』、『駿女』などに代表される、巨大な権力構造としての悪に対し、戦いを挑んでゆく小さな正義の個たちの姿である。彼らの素顔、そして必ずしもすんなりとは勧善懲悪の解決法を見ない非情なリアリズムが見えるからこそ、佐々木譲の小説は現代的かつ、風土に根ざしたものがあるのだろう。

     北海道北見署の一人の警察官が、過去の事件の真相を聞いたことから、復讐の一途な思いで札幌に向かうことから、本書のダイナミックな疾走感はスタートする。一方で、サミット開催に向けて日本中の警察組織が道内に集結しつつある。2008年の世界的イベントを題材に、これまでの二作を引き継いだ道警の奥の暗闘に決着をつける展開が本書の読みどころである。

     二作目を超えたスケール感、緊迫感が漂うのは、洞爺湖サミットという日本中(北海道中?)を沸かせた独特の同期性ゆえだろう。少なくとも当時、洞爺湖近辺に車を走らせることの多かったぼくは、藪の中に潜んでいる沢山の制服警官の姿や、無線機から発される擦過音のようなノイズを車窓越しに見聞きしたこともあり、普段なら平穏極まりない北海道の大自然の只中に日本中から都道府県警が集合していることの異様な気配に神経がぴりぴりしたものだ。

     逃げた警官を追う者と、過去の二冊の犯罪の裏に潜む巨悪を追う者が、札幌でクロスする。さらに逃げた警官は、過去の事件の真相がトリガーとなった信念を持つ若者として好感が持てる。逃げた警官は銃器を持ち、標的に迫る。阻止しようとするシリーズレギュラー陣たち。映像的でスリリングな展開の冒険小説が久々目の前にあるという感覚が、何よりも嬉しくなる一冊であった。

  • なし

  • 面白かった

  • 「道警シリーズ」でお馴染みの面々が登場する第3弾。
    ファイル対象となっている津久井卓、同じくファイル対象の佐伯宏一、そして小島百合。
    洞爺湖サミットを間近に控え、特別警備結団式に出席するSP対象者を狙っている者がいるとの情報があり、その応援に借り出される小島。
    東京から乗り込んできたSP二人と共に、警護対象である大臣の身を守ることになる。
    拳銃を所持し制服のまま勤務時間中に失踪した警官・日々野の捜索を命じられた津久井は、内部監察のベテラン・長谷川と共に捜査を開始する。
    日々野の失踪の原因が父親の死ではないかと推測した二人は、日々野の足取りを追いながら情報をひとつずつ当たっていく。
    一方佐伯は、北海道に出張してきていた愛知県警の刑事から「郡司事件」には裏があると知らされる。
    自分の知っていた事件の概要ははたして事実だったのか。
    疑問を感じた佐伯は、部下の新宮に知らせずにひとり終わったはずの事件を調べ始める。
    三者三様の立場でそれぞれの仕事をこなしながら、最後にはすべての糸がひとつに終結していく展開はさすが。
    やっと「笑う警官」に始まった事件が終わる。
    シリーズ第1弾からの読者にとっては、絶対に読み逃しできない物語になっている。
    このシリーズ、妙なべたつき感がなく大仰な正義感を振りかざすこともないところが気に入っている。

  • 「笑う警官」「警察庁から来た男」に続く第3弾。
    まず、「笑う警官」読んで酷評した件、すみませんでした(汗)あの時の「これはないわ~」な感想、取り消します。先の2冊読んでのモヤモヤ感、この本でかなりすっきりしました。(でもやっぱり石岡の死の真相の説明を求む。最初からここがどうにも気に入らなかった)日比野(息子)の処遇については…ま、このくらいは救いがあっていいか。フィクションだしね!

  • 第3弾!
    愛知県警が出てきて少し興奮。
    高級四輪駆動車の密輸・・・
    あるある!
    以前プラドに乗っていたときに
    ディーラーが言っていた。
    ランクルシリーズは良く盗まれちゃうと。

    今回は父親の復讐を計画した若き警察官。
    何だか気持ちが分からないでは無いが
    折角地方公務員にまでなって・・・
    お母さんが可哀相・・・と思って居たら
    最後はちゃんとベテランのおっちゃん達が
    救ってくれた。

    すっきり4弾へGO~

  • 小島百合シリーズの2冊目。ちょっとずつ人間関係がわかってきておもしろかった。洞爺湖サミットが舞台だったシリーズ第三弾(だそうで)。

  • シリーズ三弾。面白かったです。

  • 似たような登場人物 と思ったら 前読んだ 笑う警官 の続きだった。映画っぽい。

  • シリーズ3作目。1と2はそれぞれ芯になった出来事が、それぞれ布石だった。もっと大きな、闇。じわじわ追いつめる。
    あーよかった。ホントによかった。間に合って。
    このために人生棒に振っちゃいけない。
    わたしは原作支持派だと思っていたのに、これは映像で見たいと思いました。(もうとっくに一部は映像化されているようなのですが
    ドラマチックな終結、和やかにエピローグ読んでたら、最後の1ページ半あっけにとられて終わる。まだ何かある??

著者プロフィール

一九五〇年三月、北海道生まれ。七九年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。九〇年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。二〇〇二年『武揚伝』で新田次郎文学賞を、一〇年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。他に『ベルリン飛行指令』『疾駆する夢』『昭南島に蘭ありや』『警官の血』『代官山コールドケース』『獅子の城塞』『犬の掟』など著書多数。

「2017年 『武揚伝 決定版(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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