神様のパラドックス 下 (ハルキ文庫 き 5-6)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 282
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758435116

作品紹介・あらすじ

満たされない大学生活を送っていた井沢直美の日々は、アプラDT社にアルバイト入社したことで一変した。直美は、航空機搭載の量子コンピューターで、占い・カウンセリング事業の計画に加わることになったのだ。直美たちの不安は的中し、占い事業は頓挫。だが…小佐薙たちは、起死回生の計画を企んでいた。それは、量子コンピューターを使って「神」を作りだすことだった!果たして、人間に神を作り出すことはできるのか!?渾身のSF長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 「神様のパズル」では宇宙の誕生の謎に迫り、「パズルの軌跡」では人の生きる意味に迫ったシリーズですが、今回は、神様の存在について迫ります。
    その人の人生観によって答えが変わってしまう命題に対して、科学的アプローチから一般解を導き出そうとする姿勢は、賞賛に値します。
    持論、自説を自由に盛り込める創作物語ならではの面白さを久し振りに堪能できました。

    今後も、タイムマシンを製作することは可能か? 子宇宙は存在するか? 超能力は獲得できるのか? 霊は存在するか? なんて問題ついて、科学的アプローチで独自の解を楽しませてくれるシリーズとして続いてくれると嬉しい。

  • グループで何かを作り上げるパターンは好きなので、出だしからぐいぐい引き込まれたけど、あとで考えると、神を作るにも、整理不足でメンバーでイメージがあっていないまま話が終わった気がする。

  • 採算の取れない量子コンピューターを使った占いビジネスから、神を作ったカウンセリング・ビジネスに転向を図るベンチャー企業アプラDT社。そこでアルバイトしている腑抜けた女子大生という、一つ一つの素材自体が矛盾や課題を抱えた突っ込みどころ満載の設定に加えて、意図的に作ってある隙もあいまって関連本を次々に読みたくなってしまいます。

    テーマはてんこ盛り。
    AIをユーザーインターフェースにしないと訳がわからない量子コンピューター(しかも、計算精度を上げるための方法が抱腹絶倒)。神、宗教を考え定義する過程で人間とは「自分」とは何かを定義しなければならないという、これまた解けない問題でAIがスタック。科学者ドーキンスの指摘を逆手にとってエンターテイメントしています。あまり聞かなくなってしまったグリッド・コンピューティング、宗教団体とテロ、弱小ベンチャー対国家の陰謀、暗号解読と世界の危機、兵器化する量子コンピューター、おまけに薄ぼんやりした女子大生直美の成長。

    まずは、量子コンピューター関連本読んでみるかな。

  • この作家の作品はいつもそうなんだけど、テーマは、宇宙や神様や地球滅亡などとすごいんだけど、展開がしょぼい。
    すごいテーマにしょぼい展開・・・なんだかねえ。。。
    今回の話は、量子コンピューターを使って、神様を作ろうというものだけど、もういいや

  • 口頭ですきかって議論していた内容で「じゃよろしく」された人工知能が、矛盾をかかえてパンクしちゃう。あぁ、システム屋がよくやっちゃうデスマーチプロジェクトみたいだ。上巻でシステムへの考慮が粗かったのはこの伏線だったのかな?
    で、上巻はイライラしながら読んだけど、下巻はシステムの話とかも風呂敷をひろげきった状態ですっきりしていたので、話の展開はスムーズに進み、すらすらと読めた。
    機本さんの作品は結構、大企業であるライバルと小規模である自分達とで直接対決、という下りがあるんだけど、ご多分に漏れず本作も対決してくれた。しかも、穂瑞沙羅華が乱入してたなんて。アダルトサイトにまぎれこませて、グリッドコンピューティングさせるのは神様のパズルの時と同じで相変わらず。(まさかその時のじゃないよね?)

  • 不採算の量子コンピュータ事業部奮闘記下巻.科学者小佐薙が決めた5つの条件をもとに量子コンピュータを使って人格をを創り出すも,全く思っても見なかった方向へと進むのが面白い.割と真面目に量子コンピュータを解説しており突飛な設定も面白く読める.逆に,人と自由に会話するAIの思考ルーチンが登場するが,そちらは普通のコンピュータで実装しているせいか解説なし.量子コンピュータと同じくらい現実的ではないので気になってしまう.
    オチは上巻で何となく分かってしまうので真新しさはなし.

  • 上巻でAIにかなり深遠な命題を与えたのでどのような自己解決に持っていくのかを楽しみにしていましたが、結果はちょっと期待外れ。
    途中までロジックの部分はさておき周囲をじっくり煮詰めていたのに、後半の展開は強引かつ急ぎ過ぎた印象で、なんとなく失速感がありました。

  • 量子コンピュータを使って神様を作ろうってお話。
    ストーリーの前提条件は壮大なんだけど、その過程がお粗末な感じがしました。
    そもそも量子コンピュータなんてものに馴染みがないだけに、理論やらなんやらを書かれてもはっきり言ってチンプンカンプン。
    そこにきて登場人物の無理矢理な思考などが積み重なると、物語の中盤あたりでは多少イライラもしてきました。
    そういった導入部分を終えると、話もいくらかサクサク進むのですが、無茶無理ぶりは相変わらず。
    巻末あたりは、別シリーズを読んでると、「あ、なるほどね」というところもあり、それだけでも読んでみていいかなと思う作品でした。
    と、いうわけで上巻は★2つ、下巻は★3つにしました。

  • 機本 伸司 氏のSF。量子コンピュータで神様を作ろうって話。
    神様のパズルと同じ世界だと最後の方で分かる。

    とにかく、前半部分でなかなか話が進まなくてイライラする。
    キャラクターの動きも明快さが無い。

    肝心の神様作りの部分も物語がダイナミックに展開せずに
    最後まで尻すぼみのまま終わる。

    オチや結論に関しては不満は無いけれど。上下巻でこの結論かぁという感じ。

    同作者の「メシアの処方箋」や「僕たちの終末」の方が
    ずっと展開にワクワクしたなぁというのが残念な感想。

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