- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758435277
感想・レビュー・書評
-
表紙が可愛い。変則的なリズムのような独特な文体。
居場所探しに必死になるのに結局一所におれず、生活の場や一緒にいる人がこんなに変わるなんて。
彼女が過ごした場所を旅するのもいいかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前に読んだ『放浪記』は、新潮文庫(を底本にした青空文庫)版で『放浪記』、『続放浪記』、『放浪記第三部』を 1冊にまとめた「決定版」だった。決定版といいつつ、きちんと時系列に再編成されているわけではないので、1部、2部、3部で時代はいったりきたり読み難いことこの上ない。さらに、林芙美子は出版の機会があるたびに『放浪記』の原稿に手を入れ続けたことでも有名で、各版の異同も少なくない。
このハルキ文庫版は、1930年の初版を底本として、誤字脱字の修正、伏せ字の充填のみに後の版を参考にした「放浪記 初版決定版」。当時ベストセラーになり林芙美子を文壇の寵児へと押し上げた、まさにそのテキストが読める。 -
P226
-
弱き者汝の名は貧乏なり。
カネとオトコに捻くれてるけど正直者な女性の青春記。
解説にもあるが面識ない篤志家の元にいきなり金を借りに行く行動力! -
【本の内容】
尾道から上京した若き日の林芙美子は、住まいと男を転々としながら、どうしても貧困から抜け出せずにいた。
何とかして金がほしい、お腹がすいた、何か面白い仕事が転がってやしないかな。
いい詩が書きたい、棄てた男が恋しい、母も恋しい、いっそ身売りしてしまおうか…。
明るく、凛とした強さで、逆境とまっすぐに向き合って生きた芙美子が、自身の思いの丈を軽妙に綴った、等身大の日記。
[ 目次 ]
放浪記以前―序にかえて
淫売婦と飯屋
裸になって
目標を消す
百面相
赤いスリッパ
粗忽者の涙
雷雨
秋が来たんだ
濁り酒
一人旅
古創(ふるきず)
女の吸殻
秋の唇
下谷の家
[ POP ]
行商をする養父と母に連れられ木賃宿を転々としながら育った少女は、やがて一人で上京し家政婦やカフェの女給や工員として働き、1920年代を生き抜いた。
後に人気作家となる若い女性のまっすぐな言葉が胸をうつ日記。
その日暮らしの貧乏に絶望し、住まいを変え、男と別れ、孤独に涙しても、「生まれつき野生の私」は顔をあげて歩いていく。
1930年の初版本が底本。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
まず百年の間の日本人の生活の変化に改めてびっくり。こんな生活してたのね、ディフューザー☆とか言ってる場合じゃないわ。衣食足りた生活に感謝。
独り身を嘆き地球爆発しろ、と毒づくとか喪女思考の走りじゃないですかーとか思ってたら次の章で夫がいたり、落ちついたのかと思ったらまた次の章では住み込みで女給をしていたり、男と別れてみたり貢いでみたり。ああ、なんか既視感がと思ったらこれハッピーマニアだ。
昔ハッピーマニアの特筆すべきところは主人公が常に仕事を探したり収入を気にしているところ、というのを読んですごく納得したけど、あれは現代版放浪記だったんだな。
と思ってwikiを見たら、最初のほうで著者が手を出した画学生が死ぬまで著者を支えた内縁の夫とあって、あーフミコさん何やってんの、と改めて思ってしまった。あの七転八倒の放浪生活の影にちゃんとその人がいたんじゃないの…
しかしながら著者自身はすごい人だとも今更ながら知った。
記念館のそばに三年近く住んでたけど結局行かなかったな。他の作品も読んでみたい。
とにかく職を探す、見つかると早くこの地獄から逃げたくなる、逃げるとまた何でもいいからと職を探す、低いほうへ、低いほうへ…著者は文才に助けられたけど私はどうやって逃れよう、そんなことばかり考えてしまった。
昔の人は食べ物に苦労したから食べ物の描写があんなに活き活きとしているのかもしれない。なんか羨ましい。 -
実は青空文庫で読んだんだけど…
強がりと、時折のぞく弱音に共感する。
思い通りにならないことばかりでも
お腹をすかせて惨めな気分になっても
からっとたくましく生きていて清々しい。 -
ぽんぽんとリズム感のある文章。でも話は長い人生を1冊にまとめているせいか、飛びすぎてよくわからないというか日記なのでストーリーもないのだけれど・・・。男と別れたと思ったら、次の日記ではもう別の男と住んでいたり。最初から最後まで男と貧乏に悪態をついていますが、暗い感じはせず、むしろ爽快。
-
本書の解説に江國香織が書いているとおり、「この書物自体が、一編の、いきのいい詩みたいである。」 明治以来、書き言葉としての日本語のスタイルはあれこれ変化してきたけれど、林芙美子の文体は独特だ。
-
倶知安などを舞台とした作品です。