小夜しぐれ (みをつくし料理帖)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.22
  • (725)
  • (898)
  • (282)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 4862
感想 : 545
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758435284

作品紹介・あらすじ

季節が春から夏へと移ろい始める卯月のある日。日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪の顔を見るなり泣き始めた。美緒の話によると、伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせるために縁談を進めているというのだ。それは、美緒が恋心を寄せる医師、源斉との縁談ではないらしい。果たして、美緒の縁談の相手とは!?-(第三話『小夜しぐれ』)。表題作の他、つる家の主・種市と亡き娘おつるの過去が明かされる『迷い蟹』、『夢宵桜』、『嘉祥』の全四話を収録。恋の行方も大きな展開を見せる、書き下ろし大好評シリーズ第五弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今回は少し悲しげなお話しが多かったなぁと少しの物足りなさを感じつつ結局★5の『みをつくし料理帖』シリーズの五

    悲しげなお話しの中にも後になって振り返ってみれば、転機になっていたと思い返しそう

    そして今作はなんと言ってもご寮さんです
    主人公お澪坊の奉公先の奥方様で降りかかる苦難を二人で肩を寄せ合い乗り切ってきた互いに母娘のように想いあう存在
    そして時にその優しさゆえに道を間違えそうになる澪やつる屋に関わる面々を厳しく諭す、大いなる愛に満ち溢れた人なのです

    こんなすんばらしい人の「娘」だもんお澪坊もすんばらしい人に育つはずよ
    こういう大人少なくなっちゃったなぁ

    って他人事みたいに言うな、バカタレ!

  • てやんでぃ、ちくしょう。面白いじゃあねぇか。
    こちとら最近シリーズでずっと読んでるから、もう何巻目か分からなくなっちまったよぅ。自分の独り言にまで、エセ江戸言葉が出てくるんだぜぃ。困ったもんでありんす。(ニセモノ感満載)

    しかし、全編切ないね〜。幸せを願って次巻へ!
    ...あれ、江戸言葉、どうした(笑)

  • 今回は色々と進展があった巻でした。
    それぞれがもう切ないです(/ _ ; )

    お澪坊が吉原で料理してひと騒動!
    種市とおつるに何があったのか判明し…泣
    伊勢屋のお嬢の恋に終止符が…

    誰もが思い通りに行く人生ではないけれど、支え合って生きていく…そんな切ない第五巻でした(T_T)

    最後のお話…ひとくち宝珠
    何と何と小松原の真の姿が!サービスですか?
    テンション上がりましたよヽ(´▽`)/


    • hibuさん
      みんみんさん、こんばんは♪

      今回は切なかったですねぇ。

      そんな中での登場人物たちの優しさがいいんですよね!
      みんみんさん、こんばんは♪

      今回は切なかったですねぇ。

      そんな中での登場人物たちの優しさがいいんですよね!
      2023/01/04
    • みんみんさん
      hibuさんこんばんは〜♪
      ちょっと色々と進展しましたね〜!
      折り返しの巻でしょうか?
      ますます目が離せなくなって来ました_φ(・_・
      hibuさんこんばんは〜♪
      ちょっと色々と進展しましたね〜!
      折り返しの巻でしょうか?
      ますます目が離せなくなって来ました_φ(・_・
      2023/01/04
  • シリーズ第五弾!

    今回は人生はなかなか思い通りにならないということを感じさせる切ないお話や吉原遊廓で上客に料理を提供したり、目まぐるしく展開が変わります。

    だけど一貫して料理に対する澪の誠実な姿勢が多くの客や人を喜ばせていきます。

    読み終わった後に優しい気持ちになる本です。

    次作が楽しみです♪オススメ!

  • 澪と美緒の恋路、つるやの主人の娘のおつるのエピソードなど、物語がどんどん進んできて、目が放せません。
    でてくる料理も本当においしそうです。
    今回は「浅利の御神酒蒸し」が最高に美味しそうでした。
    簡単なので是非作っていたいと思います。

  • 『小夜しぐれ』はみをつくし料理帖の第五巻である。全十巻のちょうど中間だ。そのような位置づけにある『小夜しぐれ』では、つる家の店主、種市とその娘で店名の由来ともなっているおつるの隠されていた過去が明らかになる。すっかり好々爺の風情で描かれていた種市が、俄然壮絶な姿をあらわにする。種市とその元妻お蓮の夫婦は、現代ならば典型的な育児放棄をやらかす夫婦だろう。二人の生活は当然のごとく破綻するが、その娘おつるもまた、そんな二人が生み出した運命に巻き込まれた一人だった。やさぐれた種市がまっとうな真人間になったのは、おつるの死がきっかけだったと仄めかされてはいるが、せっかく種市の過去を詳らかにするのであれば、彼がいかにして更生するのかという話も聞いてみたかった。

    日本橋の大店の一人娘である美緒が、おのが婚礼の料理人に澪を指名する話もあった。一時、澪の下で料理修行をした美緒もまた江戸という時代の運命に翻弄されているといえるが、この物語はおなじ「みお」と読む二人の妙齢の女性、澪と美緒の話であることからも想像できようが、恋の話ともなっている。結論は、『みをつくし料理帖』のお家芸ともいえる、ほろりと泣かせるようなほろ苦い結末だ。詳述はできないが、最後に美緒が澪に、静かに「あなたを嫌いになれたら、どんなによかったか」というような台詞を涙とともに漏らす。この台詞には、前四巻の話から連結した周到で、秀逸な意味が込められており、同時に暗喩的でもある。美緒にこの言葉を呟かせたことで、作家高田郁の力量がうかがわれようというものだ。

    別の話では、吉原廓随一の大店「翁屋」の花見の宴に供する料理を作るために、一日料理人として澪が翁屋を訪ねる。どこにでも一人はいそうな、場の雰囲気を乱す客に一時は失敗に終わるかと思われた宴も、「桜」によって(あるいは翁屋の料理人、又次の機転によって?)救われる。結果として花見の宴は大成功し、澪は翁屋から破格の報酬と、その報酬よりもはるかに大きい「提案」を受けることとなる。欲を丸出しにして、人々が収めた大切な血税をおのが宴につぎこんでしまえば、その先には失脚という天罰が待っている。しかし、澪のように無欲で真摯に料理に打ち込めば、その結果は当然素晴らしいものとなる。おのが欲を目的としてしまうことで自ら墓穴を掘る某国の愚かな宰相と、無欲で自分がなすべき仕事に邁進し、結果おのが「欲」を満たすこととなる澪。このコントラストがシニカルだと、思わずほくそ笑みながらこの話を読んだ。翁屋の話だけに、最後に「あさひ太夫」こと澪の幼馴染、野江も登場する。颯爽と現れて、迷惑な客にとある歌を一句詠んで聞かせるのであるが、武家筋の客であることを見抜いて、的確な歌を選択した「あさひ太夫」の機転もすばらしい。

    最後に異色の一話が収められていた。物語の主人公は、言うまでもなく澪であり、これまでのどの物語も、概ね澪の視点で語られてきた。しかしこの物語は、澪が密やかに思いを秘める小松原の視点で描かれる。彼が御膳奉行として、菓子を作ることを命じられ、酒呑みゆえ甘いものが苦手で懊悩する話である。さりげなく小松原の家(正しくは小野寺家ということになるが)の人々が描かれる。そして小松原は、澪に「どんな菓子が好きか?」と尋ねたことを思い出す。澪の答えが、期日が迫る中、何の妙案も浮かばずに煩悶する小松原を救う。正直に言ってしまえば、これまでの人情噺とも異なる色合いの話である。単独でこの話を書いたのだとすれば、この物語は蛇足に近い。それゆえに、後に続く物語への何かしらの伏線であろうと想像している。

    『小夜しぐれ』は、みをつくし料理帖の物語が大きく動くことを予感させる話が多い。物語はいよいよ動き出す。これまでとは異なる波が押し寄せるのか、あるいはこれまでの物語同士がハレーションを起こして、これまで以上の運命の波にもまれるようなことがあるのか。本当に興味は尽きない。

  • 職場の先輩とは本の趣味が似ていて、貸し借りするのが楽しい。みをつくしシリーズは私がお勧めしたのをきっかけに先輩もファンになり、最近では新刊は読み終えた彼女から貸してもらって読んでいる。

    本好きにとって至上の喜びは、好みの合う者同士で好きな箇所を言いあったり、歯がゆい展開に共にじりじりしたりする瞬間にある。この巻にはたくさんそんな喜びをもらった。

    つる屋店主種市の過去と今も残る悔いが哀しい「迷い蟹ー浅蜊の御神酒蒸し」、

    澪が吉原廓で宴席料理を振る舞うことになる「夢宵桜ー菜の花尽くし」、

    伊勢屋の弁天さま 美緒の思いがけない縁談「小夜しぐれー寿ぎ飯」、

    そして澪ではなく、なんと小松原が拵える「嘉祥ーひとくち宝珠」。

    皆の口に出せない想いがせつなくて、それでも互いを思い遣る心があたたかくて……夢中で感想を言いあう秘書2人なのです。

    時代は戦国になるんだけど今放映している「信長のシェフ」という深夜ドラマも、(現代に生きるフレンチシェフが、その記憶を持ったまま戦国時代にタイムスリップというもの)

    手に入る材料や可能な技法が限られた中で作るお料理が楽しくて、毎週見てしまいます。

  • 種市の娘おつるの話が悲しくて。
    種市はこの先も後悔しない日はないだろう。

    いろんなものを抱えている人は
    この先の後悔を増やさないために
    一生懸命人に優しくするのかもしれない。

    つるやにはそんな人が集まるのかしら。

    澪の想い人、小松原の本当の姿が書かれていたのはとても
    嬉しかった。
    めっちゃかっこいいやん!!

    美緒は源斉先生が大好きで源斉先生は澪が大好きで
    澪は小松原が大好き、小松原も澪が大好き。
    書くと普通のドラマみたいだけれど
    ここに身分の違いとか、家の事情とか
    いろいろあるんだなぁ。。時代よねぇ。

    この先も楽しみだ。

  • つる屋の愛おしい人々に会えるのが嬉しい。
    澪の大切なひと、野江や小野寺の動向も気になる。
    近い距離で会えたことに自分も嬉しくなる。
    美緒もきっと幸せになれる。
    次巻も楽しみでならない。

  • つる家店主、種市の悲しい過去、吉原での料理作りと「あさひ太夫」としての野江の姿、恋をあきらめて婿を取る美緒の決意、そして小松崎こと小野寺数馬が作る何とも美味しそうな和菓子。
    今回も盛りだくさんな話に引き込まれて、頭の中はお江戸だす。

    はるかかなたのように思えるのに、たかだか二百年前。
    庶民は、こんなふうに暮らしていたのね~

    今も残る地図の地名をたよりに、九段辺りを思い描いてみるのも楽しい。

全545件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高田郁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×