家霊 (280円文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758435437

感想・レビュー・書評

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  • 全てすこぶる良い。一番好きなのは「鮨」。

    「娘」は、婚期を逃し気味のボート選手の娘の話。
    最後のシーン、男がボートで追ってくるのがどうしてそんなに胸キュンな求愛の営みになるのか、普通なら意味わからないんだが、岡本かの子の素晴らしい筆力で、有無を言わせず納得させられる。素敵。いいなあ。こういう恋の胸の高ぶり、私も久しぶりに味わいたい。

  • 日本語が上手い、とはこういうことなのかと思った。
    情緒溢れるのに簡潔で読みやすい。

    「鮨」が特にお勧めです。

  • 人の命や運命などを見つめた短編集。所々綺麗な表現があって素敵。作者が元歌人だからかな。
    死ぬ数年前に書かれたものなのだけど、ものすごい生きることのきらめきに満ちている。物凄いぶっ飛んだ生き方をしたから、ここまで命を見つめられるんだろうなぁ…
    個人的には、「家霊」の料理するシーンが好き。

  • 『老妓抄』、『鮨』、『家霊』、『娘』 の4作品収録。

    『家霊』がいちばん好き。
    悲しい、とも切ない、とも少し違う。ぽろっと涙がこぼれた。

  • 生きることや命の力強さ、きらめきが眩しかったです。
    日々の、やや哀しさすら含む暮らしの中で繰り広げられる人と人との繋がりが瑞々しく色鮮やかに目に浮かびました。
    『鮨』の母の優しさが特に印象に残りました。

  • お母さんがにぎった寿司を子が食べる場面はスローモーションのように細部が頭に焼きついた。お母さんが子に見せた手の赤さを思い出すと、懐かしい気持ちがたまらずこみあげてくる。この本に収められているどの話もちょっと脚色を変えればお涙頂戴の人情味のある話にすることもできそうなのに、人間の生の姿を描き切っていてすごいなぁと思った。人物の描写がおもしろかった。

  • 岡本太郎の母親、岡本かの子の作品集。
    人情や粋を向島の風景から届けてくれる短編集。
    江戸の風味が効いた暖かな作品。

  • 短編集は編纂が違うとまた違う味わいがある。
    偏食の子供に目の前で鮨を握ってあげて食のおもしろさを伝えようとする「鮨」。

    偏食の内容もすごいけど、母の鮨を握る手さばきの描写と子供の「すし」という催促が妙に不気味で良い。

  • たしかなかんじ。鮨、大学時代に読んだ記憶が鮮やかによみがえった。印象的な筆致。

  • 老妓抄、鮨、家霊、娘

    老妓抄
    表現が上手。展開・描写が確信をついている。
    柚木は念願だった自分の研究に専念できる環境を得る。しかしそれを得てみると逆にこの生活への熱意を失った。想像していた塩梅では進まない研究、ひとりきりで研究する頼りなさ、手ごたえの無さ、生活に追われることのない張り合いのなさ、そして自分の欲望はもうこれ以上生まれてくる見込みがないことへの寒々とした思い。
    パッション。
    結局老妓の夢を託された青年は駄目になってしまう。
    柚木がオーバーラップする。

    鮨も上手い。

    家霊。この題に惹かれて読んだのだ。凄い直感。そっちの感覚が冴えている。

    三年の間、蝶々のように華やかな職場の上を閃いて飛んだり、男の友達と蟻の挨拶のように触覚を触れ合わせたりした、ただそれだけだった。それは夢のようでもあり、いつまで経っても同じ繰り返しばかりで飽き飽きしても感じられた。
    くめ子は多少諦めのようなものが出来て、今度はあまり嫌がならないで帳場を勤め出した。

    じっと辛抱してお帳場に齧りついていると、どうにか暖簾もかけ続けて行けるし、それとまた妙なもので、誰か、いのちを籠めて慰めてくれるものが出来るんだね。

    宿命に忍従しようとする不安で逞しい勇気と、救いを信ずる寂しく敬虔な気持ちとがその後のくめ子の胸の中を朝夕に縺れ合う。

    なぜこんな話が創れるだろう、岡本かの子。
    たった一人の理解者、それがいれば耐えていける。そう感じるときもある。
    そうは思えないときもある。得がたいひとり。

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著者プロフィール

東京都生まれ。跡見女学校卒。1906年与謝野晶子に師事し「明星」に投稿。のち「スバル」同人として活躍。1910年画学生岡本一平と結婚、翌年太郎を出産。1929年から7年間渡欧。帰国後、1936年に芥川龍之介をモデルとした『鶴は病みき』で作家デビュー。以来、短編を中心に多くのすぐれた作品を残した。1939年没。

「2019年 『越年 岡本かの子恋愛小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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