檸檬 (280円文庫)

著者 : 梶井基次郎
  • 角川春樹事務所 (2011年4月15日発売)
3.75
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758435444

檸檬 (280円文庫)の感想・レビュー・書評

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  • レモン好きにはたまらないレモン小説。

    レモンと主人公の運命的な出会い、
    レモンの執拗で美しい描写、
    レモンとの激しくも哀しいアバンチュール、
    そして、最後にまきおこるレモンの大爆発!

    これほどレモンが凝縮された一編を、
    ぼくは他に知らない。

  • 『桜の樹の下には』を再読。
    東京の桜も満開を迎えた。日本人にとって特別な花である桜。桜の木には神が宿るという。今、桜の木の下で人々は何を想うのだろう。
    古くから桜は人々の心を乱すといわれるけど、今年の桜は去年の桜と少し違って見える。桜の花の、噴き出すような咲き方と花吹雪の情景に、人の命を重ね合わせずにはいられない。
    この世のものとは思えぬ桜の美しさは、その形態だけでなく内側から発せられる霊的なものからくるような気がする。桜に死の影を感じるのは、この世のすべては無常であるという日本人特有の感性なのだろうか。月夜にむせかえる満開の桜は、鬼でも顔を出しそうな陰湿な幻想を抱かせる。
    “桜の樹の下には屍体が埋まっている!これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。おれはあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍が埋まっている。これは信じていいことだ。”
    1923年に書かれた梶井基次郎の名文「桜の樹の下には」の冒頭。全文に不気味な表現が散りばめられているけれど、「生」の美しさや原動力が「死」にあるということ、その「死」へ対する敬意が描き出されている。
    ”何があんな花弁を作り、何があんな蕋を作っているのか、俺は毛根の吸いあげる水晶のような液が、静かな行列を作って、維管束のなかを夢のようにあがってゆくのが見えるようだ。”
    その根でしっかりと屍を抱きかかえる爛漫の桜。栄華の根底に多くの犠牲や悲しみがあるのなら、たくさんの涙が浸み込んだ大地には今までにないほど輝かしい未来が待つ。そうでなくてはならない。東北のことを想わずにいられない。深い悲しみを知る人こそ、誰よりも生きてほしい。闇が深いのならば、光はより確かなものとなる。
    節電によって灯りの少なくなった東京で、自分の影を見つけた。昼夜問わず多方向から照らされていた東京の街中では、影を見つけ出すことは難しかった。過剰なまでの光は、太陽の光が差す方も、夜空に星が輝くことも忘れさせる。光を求めるばかりに目が眩んだ東京の街は、影を失くすと同時に、光の本質を選別する眼も失っていたのではないだろうか。
    光の中で光を見つけることはできない。光を支える闇を、自分の足元の影を見つめ返そう。私たちは生かされているということを忘れないように。

  • なんてブッ飛んでてるんだ!レモンをまるで爆弾のように仕掛けていくお茶目心。レモンの色や形。作品自体とは違って丁寧に表現されている五感が情景を描写しやすくしてくれる。
    桜の樹の下は、やはり最初のセリフのインパクトの強さ。けれど、何回か読んでいるうちに、その心理がわかってきて面白い。美しいものを素直に受け言えれられない、美しいものにはそれこそ、屍体のような醜いものの犠牲の上に成り立っている。その考えがとても好き。

  • 「つまりはこの重さなんだな」

    読了は数年前だが、今でも心に残っているいくつかの言葉がある。

    檸檬の匂い、色、形…たったひとつの果実がこれほどまで丁寧に描写され、読者の感覚に訴えかける作品に今まで出会ったことがない。

    作者の心の中にある感情の渦のようなもの。そこにふっと浮かび上がってくる檸檬。そんなイメージで読めた。暗い内容かもしれないが、読了後には爽やかさが残る。
    言葉にしにくい心象風景をさも簡単そうに言葉の世界に移し替えてしまう、作者の文学センスが光る作品だったと思う。

    梶井基次郎といえば「檸檬」。これは間違いない。

  • 懐かしい情景や孤独の表現が独特で物事をとても辛抱強く観察している印象。
    物語に入り込めない部分があったのは、自分が健康だからなのか。
    さらっと読めたわりには深い印象が残る。

  • 国語の教科書で忘れられない話一位。
    梶井基次郎『檸檬』

    最後の美術集の上にぽんって置くところが印象的。
    鮮やかなレモンイエローが、灰色で描かれた本屋の中においてある感じ。

    こんなに色彩を伴って想像できる本ってあまり無い。

    危うい感じのする『檸檬』
    忘れられないし、大好き。


    他にも『桜の樹の下には』『Kの昇天』が好き。
    やはりそこはかとなく気持ち悪いのが好きなんだな。

  • 檸檬、桜の樹の下には、のように陰険でみっともなくてダサいこころを美しい詩的なものにしたことが梶井基次郎のすごいところだ。
    体が弱くて、外見も優れているとは言いづらい彼が、文章を書くことに目覚めてくれたことに感謝したい。
    梶井基次郎の物事を描写するセンスと静かで穏やかで少しずつ陰鬱が染み渡る文章が大好き。
    この本だとKの昇天がすき。

  • レモンの描写は、もうその頁にレモンがごろんと乗っかっているような質量感。

  • 檸檬。ひんやりスッと、なんか抜けていく感じがして、パリッとした黄色が酸っぱくて。なんだか、不思議な癒され方をしたかもしれない。

  • 檸檬の黄色が鮮やか。「桜の樹の下には」はこの人だったんだね。

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