檸檬 (280円文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 762
レビュー : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758435444

感想・レビュー・書評

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  • 日本語が持つ美しさを感じさせてくれる作品である。電子書籍の普及で昨今「本」の役割は知識欲に重きを置かれがちだが、本来「本」は物質としての所有欲や音楽と同様の美慾も満たすものであった。そうした観点から本作品の文章と装丁の美しさは★5つである。

    表題作『檸檬』は主人公の鬱積した心持とは裏腹になんとも爽やかで味わい文章であろう。主人公の暗澹たる思いに反し「レモンエロウの絵の具」と評する檸檬を手にとることで、オセロのように気持ちが好転する描写は日本文学史でも屈指の作品である。

    ほか作品でいえば『桜の樹の下には』などは次に続く文章「死体が埋まっている」で有名であったりするが、日本語の美しさと梶井氏の才覚を感じられる珠玉の作品揃いである。

  • レモン好きにはたまらないレモン小説。

    レモンと主人公の運命的な出会い、
    レモンの執拗で美しい描写、
    レモンとの激しくも哀しいアバンチュール、
    そして、最後にまきおこるレモンの大爆発!

    これほどレモンが凝縮された一編を、
    ぼくは他に知らない。

  • なんてブッ飛んでてるんだ!レモンをまるで爆弾のように仕掛けていくお茶目心。レモンの色や形。作品自体とは違って丁寧に表現されている五感が情景を描写しやすくしてくれる。
    桜の樹の下は、やはり最初のセリフのインパクトの強さ。けれど、何回か読んでいるうちに、その心理がわかってきて面白い。美しいものを素直に受け言えれられない、美しいものにはそれこそ、屍体のような醜いものの犠牲の上に成り立っている。その考えがとても好き。

  • 「つまりはこの重さなんだな」

    読了は数年前だが、今でも心に残っているいくつかの言葉がある。

    檸檬の匂い、色、形…たったひとつの果実がこれほどまで丁寧に描写され、読者の感覚に訴えかける作品に今まで出会ったことがない。

    作者の心の中にある感情の渦のようなもの。そこにふっと浮かび上がってくる檸檬。そんなイメージで読めた。暗い内容かもしれないが、読了後には爽やかさが残る。
    言葉にしにくい心象風景をさも簡単そうに言葉の世界に移し替えてしまう、作者の文学センスが光る作品だったと思う。

    梶井基次郎といえば「檸檬」。これは間違いない。

  • 懐かしい情景や孤独の表現が独特で物事をとても辛抱強く観察している印象。
    物語に入り込めない部分があったのは、自分が健康だからなのか。
    さらっと読めたわりには深い印象が残る。

  • 国語の教科書で忘れられない話一位。
    梶井基次郎『檸檬』

    最後の美術集の上にぽんって置くところが印象的。
    鮮やかなレモンイエローが、灰色で描かれた本屋の中においてある感じ。

    こんなに色彩を伴って想像できる本ってあまり無い。

    危うい感じのする『檸檬』
    忘れられないし、大好き。


    他にも『桜の樹の下には』『Kの昇天』が好き。
    やはりそこはかとなく気持ち悪いのが好きなんだな。

  • 檸檬、桜の樹の下には、のように陰険でみっともなくてダサいこころを美しい詩的なものにしたことが梶井基次郎のすごいところだ。
    体が弱くて、外見も優れているとは言いづらい彼が、文章を書くことに目覚めてくれたことに感謝したい。
    梶井基次郎の物事を描写するセンスと静かで穏やかで少しずつ陰鬱が染み渡る文章が大好き。
    この本だとKの昇天がすき。

  • レモンの描写は、もうその頁にレモンがごろんと乗っかっているような質量感。

  • 檸檬。ひんやりスッと、なんか抜けていく感じがして、パリッとした黄色が酸っぱくて。なんだか、不思議な癒され方をしたかもしれない。

  • 檸檬の黄色が鮮やか。「桜の樹の下には」はこの人だったんだね。

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著者プロフィール

1901年(明治34年)、大阪生まれ。志賀直哉の影響を受け、詩情豊かな小品を描いた。1925年、同人誌「青空」に、「檸檬」を発表。肺結核で1932年(昭和7年)に没。

「2013年 『檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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