堕落論 (280円文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758435451

感想・レビュー・書評

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  • 中学のときこの本に出会ったときこの考え方にほんとに感激した。
    今でもふとしたときに読みたくなる本。
    私の人格形成に多分けっこう影響を与えてる大切な本。

  • ひとが戦時中にあったある種の美しさを尻込みしながらつぶやくのに対して、はっきりと確かに美しかったと断言するのがいい。
    さらにその美しさを否定し、ひとがひとであるが故に、どこまでも堕ちきることを肯定するのもいい。
    そしてなによりdaracuronという、いかにも堕落していそうな語感がいい。
    早すぎたポストモダン論のよう。
    気付く者は、敗戦体験の時点ですでにそのステージにキャッチアップしていたのだ。

  • 制度や道徳等の社会システムによって、堕落を食い止めている一方で人間の本性は堕落にあり、正しく堕ちることにより自分自身を発見し、救われなければならない。
    「欲しがりません、勝つまでは」に代表される戦時中の忍ぶことへの美意識や武士道は人間の本性の対極にあり、打ち崩すべき価値観だと、戦後の日本に訴えているものだが、今の社会においても通用しうる考え方である。

    守るべき伝統と慣習がごっちゃになっている場面は少なくない。文化やそれに付随する価値観は守るべきものではなく、常に更新されるべきものだと改めて思った。

  • 「人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に、人間を救う便利な道はない。」堕ちよ、生きよと説いた坂口安吾の堕落論は、戦後の日本が持つ様々なトラウマを浄化し、伝統や精神論的絶対服従の鎖を断ち切った。続堕落論でも、農村文化を崇高に従う生き方を否定し、貧乏であること、節約することを美徳とする日本の武士道や戦争に突入するときにもっていた天皇絶対の思考を、完全に取っ払おうとしている。みんなそうあるべきだと、根底に流れるのは安心感であり、その安住の地から堕ちる恐怖は、人間が誰しももつもので、日本人だからとか戦後だからとかではない。安心して、勇気を持って堕ちることで、そこから戦後の日本人の重たい鎖を外そうとした。確かに、付き従うこと、盲目的に信じることの方が楽なのかもしれない。こういうものだよね、そういうセリフをいつのまにか吐いていることもあるかもしれない。でも、本当にやりたいこと、もっと俗で、もっと生々しいことの方にリアリティがあって、それやってみたらいいよと言えることの方が健全であるのかもしれない。堕ちるという単語を用いるセンス、戦後日本の精神を支えたエッセイと言える強さ、言葉が持つ力を十二分に感じられる作品だ。

  • この本を読んで感じたのは、常識だと思っていたことが、実際は常識でも何でもないことは数多くあるということ。
    戦争は早く終わってほしかった、天皇制は歴史上の為政者の都合の良いように利用されることが多かった、など。

    人間が堕ちたとか堕落することが必要とあるが、要は今までの既成の道徳観念を捨て去り、ありのままの人間を見つめ直すことが肝要ということか?と思いました。

    確かに人間は弱く、自分の都合ばかり考えがちな生き物なんだろうと思います。

  • 久しぶりに頭を使う読書でした。
    ちょっとその感じが感動だったので周りの人にお勧めしてみようと思う。
    今まで読んでいなかったのを後悔。
    10代、20代と歳を重ねて読みたい本。

    漢字の使い方とかが何となく椎名誠を彷彿させる。

  • 何かとっても面白かったです。明確な言い回しで切れ味がとてもいい文章でした。辛辣ではあるけれどそれだけでなく、自身の立ち位置がとても中立なのがよかった。どちらにも振れず真ん中でもの言うのって難しいし、そこが読んでいて好感が持てた。坂口安吾ってもっと昔の人のイメージでした…昭和の方だったんですね…お恥ずかしくも知りませんでした。他の作品も読んでみたくなりました。

  • テンポの良い文章、言葉の選び方が尖っていて良いです。
    時々、ぐさりと正面から突き刺されるようなこともあるけれどそれすら快く思えるのって凄い。

    青春論で宮本武蔵のこき下ろされっぷりには吃驚しましたが恋愛論の深さには唸った…。

    何と言うか…凄い本。
    ネットで本を買う時に送料無料にするために値段で買った本でしたがかなり良い買い物をした気がします。

  • 時々こういう圧倒的に素晴らしい本に出会えるから読書はやめられん。

  • (2016年2月25日)
    5年ぶりに再読。今回は、前回よりかなりストンと落ちてきました。

    安吾のメッセージは、生きよ、カッコつけずに生きよ、今を生き抜け、負けるな。そして、つまんない社会のシステムになんか妥協するな、ということなんだな、と響きました。

    一緒に収録されている「青春論」では、宮本武蔵の、何としてでも相手に勝って生き延びるという生き方にかなりのページを割いていますが、これこそ、彼の堕落論的な生き方なんでしょうね。

    (2011年5月8日)
    気になってたけど読んでなかった作品。
    堕落論、続堕落論、青春論、恋愛論の4作。共通するのは、カッコつけずに、今の生活と向き合って全力でカッコ悪く生き抜け!というメッセージ。熱いね!

著者プロフィール

1906年、新潟生まれ。評論家、小説家。おもな著作に『風博士』『堕落論』『白痴』など。1955年没。

「2019年 『復員殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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