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Amazon.co.jp ・本 (260ページ) / ISBN・EAN: 9784758435574
みんなの感想まとめ
心穏やかに楽しく暮らすことを目指すキョウコの物語は、45歳で有名広告代理店を退職し、格安の「れんげ荘」に移り住むところから始まります。独身女性として新たな生活を選んだ彼女は、共同トイレや風呂なしの不便...
感想・レビュー・書評
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あなたは、『アパートを探して』訪れた不動産屋さんで『お家賃はいくらぐらいがよろしいですか』と訊かれて幾らと答えるでしょうか?
まあ、これでは前提条件があまりにも少な過ぎますね。一人暮らしなのか家族で住むかによってもそんな答えは大きく変わるでしょうし、住む場所によっても金額は大きく変わります。では、こんな条件をつけたらどうでしょうか?
・一人暮らし
・都内でも有数の住宅地
昨今の住宅事情は大きく変化しています。例え、ワンルームの部屋であっても十万円近い金額を想定せざるを得ない場合も多いでしょう。しかし、そんな条件にも関わらず『三万円くらいで』と譲らない人がいたとしたら、そこにはどのような物件が提示されるでしょうか?
さてここに、『広告代理店』での仕事に別れを告げ、『ぜーんぶ込みで、三万円』という『ふるーい昔のアパート』に暮らし始めた一人の女性が主人公となる物語があります。『だけどこういっちゃ何だけど、あんたのような人が住めるようなとこじゃないよ』と不動産屋さんでさえおすすめしないアパートが登場するこの作品。そんなアパートのキョーレツな古さに引いてもしまうこの作品。そしてそれは、”月十万円で、心穏やかに楽しく暮らそう!”という言葉の先に、人のひとつの生き方を見る物語です。
『四十五歳になってはじめて実家を出ようと決め』、『都内の北西部の社宅』で『生まれ育った』日々を振り返るのは主人公のササガワキョウコ。『仕事一辺倒の日々を送』るエンジニアの父と、『ずっと専業主婦』で『働いた経験がな』い母、そして『のんびりおっとりした、いかにも坊ちゃんといったタイプ』の兄と暮らしていたキョウコでしたが、『三歳のとき、最寄り駅の反対側』の『閑静な住宅地の中にある建て売り住宅に一家は引っ越し』ました。『当時にしてはお洒落で立派な庭の広い5LDKの家』に暮らし始めたキョウコは『うちってお金持ちなのかも』と考えたりもします。そんなキョウコに『お父さんが働いているおかげで、この家に住めるのよ。これからもがんばって働いてもらわなくちゃ』と『いつも上機嫌で鼻歌まじりに家事をこな』す母は話します。そんな『キョウコはその家から中学、高校、大学と通い』、『都心の広告代理店』に『就職してからも住み続け』ました。一方の父は『休みの日にも』『コンピュータのプログラミングのアルバイト』をはじめます。それは『母がお尻を叩いて、とにかくローンを早めに返済せよと迫ったから』でした。『アルバイトまでしなくちゃならない』父のことをキョウコが詰るも『「あんたたちがもしも不良になったんだったら、お母さんの責任。お金がないのはお父さんの責任」といい放』つ母。それに『こんな大きな家に住む必要なんてないのよ』と言うキョウコに『あんただってこの家に住んで同級生に自慢できたでしょ。いい思いをしたくせに』とも言う母。『キョウコの会社はナンパなんだからしょうがないさ』と言う兄に『ナンパな会社って?』と訊くキョウコ、『地道じゃないっていうこと』と兄は続けます。『世の中はバブル経済まっただなかで』、『交際費は天井知らずだった』という時代。『交際費、資料費は使い放題で、あまりに忙しくて給料を遣う暇もなかった』キョウコは、年々、『そういう生活に疑問を持つようにな』ります。そんな中、『バブル経済が崩壊したのと同時に父が死』にました。『何の楽しみも知らず、ただ家族のために働きづめに働き、ローン完済とほぼ同時に亡くなった』父。そんな『父の遺体にすがり、「お父さんは、ばかよ。どうしてそんなに働かなくちゃならなかったの』と『半狂乱になっ』た母。その一方で『華やかな仕事に嫌気がさし』『月十万円で三十数年間、暮らせるだけの貯金を持って』『すっぱりと会社をやめ』た女性の生活を追うテレビ番組を目にしたキョウコは意志を固めます。『会社をやめ、母と離れる日が近づく』ことを思い『胸踊』らせるキョウコは、『別居していた兄一家が、母も七十歳近くになるので、同居を申し出』たこともあり、『何の未練もなく家を出られる』ようになります。そんなキョウコは『アパートを探してるんですが、駅から多少遠くてもかまいません』、『三万円以下だと助かるんですけど』と引っ越し先を探しはじめます。『その家賃じゃ、ないですよ』と断られ続ける中に、『錆びた不動産屋の看板をみつけ』、中に入ったキョウコ。『三万円ねえ。難しいなあ』とつぶやきながら資料を探し始めた男性は、『ここだとね、三万円だね。ぜーんぶ込みで』と『一枚の図面を取り出し』ます。しかし、『だけどこういっちゃ何だけど、あんたのような人が住めるようなとこじゃないよ』とも言う男は、『ふるーい昔のアパートだからねえ。夏は涼しいかもしんないけど、すきま風は吹くしトイレとシャワー室は共同だね。六畳で押入は一間ついてる。台所は半畳だな』と続けます。『築何年ですか』と訊くキョウコに『何年だっけなあ。古いぞ。うーん、軽く四十年はこえてるね』と返す男。それに『見たいんですけど』と言うキョウコに『え?ここでいいの…本人がいいっていうんだったら、しょうがねえよなあ』と答える男は『よっこらしょと立ち上が』ります。そして、『そこから三分ほどの住宅地の奥の奥にあ』る『れんげ荘』へと案内されたキョウコ。『ここなんだけどさあ』と言う男に『素敵です』と答えるキョウコ。そんなキョウコが『ここがこれからの住まいになる。六畳に小さな台所がついただけの部屋』という『れんげ荘』で『貯金生活者』としての日々を送る姿が描かれていきます。
“キョウコは、お愛想と夜更かしの日々から解放されるため、有名広告代理店を四十五歳で早期退職し、都内のふるい安アパート「れんげ荘」に引っ越した。そこには、六十歳すぎのおしゃれなクマガイさん、職業“旅人”という外国人好きのコナツさん…と個性豊かな人々が暮らしていた。不便さと闘いながら、鳥の声や草の匂いを知り、丁寧に入れたお茶を飲む贅沢さを知る。ささやかな幸せを求める女性を描く長篇小説”と内容紹介にうたわれるこの作品。群ようこさんの代表作の一つであり、このレビュー執筆時点で第8作までシリーズ化もされている人気作です。群ようこさんというと「かもめ食堂」や「パンとスープとネコ日和」など他の作品でも共通するのがゆったりとした時の流れとほっこりするような物語展開です。この「れんげ荘」もその点は同様であり、如何にも群ようこさんにイメージされる安心、安定の物語世界がそこには広がっています。
そんなこの作品の舞台は書名にもなっている「れんげ荘」です。作者の群ようこさんは広告代理店にお勤めでいらしたようですが、この作品の主人公のキョウコも、有名広告代理店に勤めていました。しかし、物語冒頭、そんな仕事を含めたそれまでの生活をバッサリと切り捨てて『四十五歳』で『貯金生活者』の道を選択します。まずは、そんなキョウコの新たな生活拠点となる「れんげ荘」がどんなところかを見てみましょう。
● 「れんげ荘」ってどんなアパート?
・”築四十年、もしかすると五十年かもしれない木造アパート”
・『六畳で押入は一間ついてる。台所は半畳』
・『トイレは昔ながらの和式のタイル貼りで、シャワー室は小学校のプール横にあるものを、一畳分持ってきたような代物』、いずれも『共同』
・『昔ながらの敷地の広いお屋敷二軒に挟まれ、二階は鬱蒼と樹が生い茂っているなかにまぎれ、いかにも忘れ去られて建っている風情がある』
・『薄茶色の外壁には至るところに、黒いスプレーで何やらわからないマークがいたずら書きされていた』
・『ぜーんぶ込みで、三万円』
さらに、
・『れんげ荘っていっても、れんげは咲かない』
いかがでしょうか?最後の『れんげは咲かない』はどうでもいいことかもしれませんが、それにしても『家賃はいかほど?』、『三万円くらいで』というやり取りの先に紹介されたとしてもなんのかんの理由をつけてとっとと不動産屋を後にする…これが多くの方がとる行動ではないでしょうか?もちろん、いやそんなことはない、面白そう!と目を輝かせる方もいらっしゃるかもしれません。そんなあなたに、こんな補足をしておきましょう。
『今のれんげ荘の二階には誰も住んでいない。というよりは老朽化しているので、人が二階で動くと床をつきやぶって一階に落ちるのではないかと、大家さんが心配して人に貸すのをやめた』
これは暮らしていて命の危険に関わるのではないかと思える環境だと思います。まさしく、『地震が来たら、一発で潰れるっていう感じがしませんか』という問いに激しく頷きたくもなります。しかし、長らくそこに暮らす住人はこんな風に語ります。
『まっさきにぺしゃんこになっちゃうかもしれないね。でもそのときにあの部屋にいないかもしれないし、いくら食料を蓄えたシェルターとか、立派な耐震設備や避難場所を家に造ったって、そのとき家にいなければ何の意味もないもん。こればっかりは運としかいいようがないわよ。物事は心配しはじめたらきりがない』。
なるほど。確かに強く言い切られるとそう感じてしまいます。そして、反論も難しいようにも思います。
『私もそういうふうに人生を達観できるようになりたいです』
そんな風に思うキョウコ。しかし、この「れんげ荘」はそう甘くはありません。『とんでもない数の蚊』や『びっしりとカビが生え』る押入、そして『屋根もあって壁もある建物の室内に、雪が降る』というように、季節を日々体感できるキョーレツな生活環境がキョウコを一年に渡って襲い続けていきます。この辺り、実際にこの作品を手に取っていただいて、じわじわと襲いかかってくるキョーフを是非お楽しみ?いただければと思います。下手なホラー小説を読むより怖いかもしれません(笑)
では、次にそんな「れんげ荘」に暮らす面々をご紹介しましょう。
● 「れんげ荘」に暮らす人ってどんな人?
・一号室: サイトウ。『華奢な体つきの今風の青年』、『若い男の子のわりには物静か』。別れた彼女のサンダルが捨てられない。『駅近くの路地裏』の小料理屋で働く
・二号室: キョウコ。四十五歳
・三号室: クマガイミチル。『六十過ぎ』、朝が早い。『日焼けしたつやつや顔』。『ここに何十年も住んでいる』。
・物置: コナツ。二十代後半。『髪の毛を頭のてっぺんでお団子にまとめて、赤い玉のついたかんざしを刺した若い女性』。『職業が旅人の外国人好き』
※家賃: 八千円
上記した通り二階には誰も住んでいないこともあって、「れんげ荘」に暮らすのはこの四人のみということになります。あくまで同じアパートに住む住人同士という関係性ではありますが、『貯金生活者』のキョウコにとっては日々の暮らしの大半を過ごす場所、まさに生活圏を共にする面々である以上、そこにはそれぞれの暮らしが見えてもきますし繋がりも生まれていきます。特に三号室のクマガイとは、劣悪な環境の「れんげ荘」での日々を乗り切る中で濃い繋がりが生まれていきます。この作品のようにアパートを舞台にした小説は数多あります。辻村深月さん「スロウハイツの神様」、島本理生さん「真綿荘の住人たち」、そして三浦しをんさん「木暮荘物語」などなど。いずれの作品も二階もしくは三階建ての木造アパートという共通点がありますが、それ以上に他の住人たちとの関わり合いの面白さにも魅せられる物語です。そんな中にあってこの群ようこさんの「れんげ荘」は、それまでの生活をリセットしたキョウコの新たな人生の場であるからこそのギャップ感が絶妙な味を醸し出す中に、くすっと笑みが漏れてしまう独特な雰囲気感に包まれる物語が展開していきます。
そんな物語は、『あまりに忙しくて給料を遣う暇もなかった』という『広告代理店』での日常を後にしたキョウコの新たな生活が描かれていきます。
『れんげ荘で自分は生まれ変わるのだ。おべんちゃらと愛想笑いと化粧と流行ファッションの鋼鉄の鎧にがっちりと包まれた自分は、ここにはいてはならないのだ』。
そんな強い意気込みをもって新しい生活に入ったキョウコですが、どうも勝手が違うことに戸惑いを覚えます。
『会社に勤めているときは、あれだけやってもやっても終わらない仕事に追いまくられていたのに、今はひとつ事が終わると、次にすることを思いつくまで、ぼーっとしているしかない』。
『仕事に追いまくられ』ることのない、何者にも縛られない日々になかなか慣れられないキョウコ。『緊急にやるべき事柄はひとつもない』という感覚がどうにも掴めないキョウコの新しい日々の描写は、読んでいて新鮮な感情が湧き上がります。かつてのキョウコがどのような忙しさの中に毎日を送っていたかは分かりません。しかし、恐らくは今の私、さてさてもキョウコのかつての側と似たような日々を送っているのだと思います。そう考えれば考えるほどに自分が仕事を辞めた先に待つ日々が朧げながらに見えてもきます。
『「そうだった、何もしなくていいんだ」と思えるようになった。気を許すとやるべきことがない自分がとても不安になってくる。それが心の九十三パーセントくらいを占めていて、残りの七パーセントをたぐり寄せるのがなかなか難しい』。
次第に新しい生活に慣れていくキョウコ。しかし、それでも『やるべきことがない自分がとても不安にな』ります。普段働いていると、何にも追われることのない日々を夢に見ることさえあります。しかし、本当に『やるべきことがない』という環境に自身が置かれた時、やはりキョウコのような感情が押し寄せるのかもしれない、そんな風にも思いました。そして、そんな感覚をこんな一言が絶妙に説明してくれます。
『会社にいるときもまじめに仕事をやって、それがいやになって、無職になったときもまじめに無職をやろうとする』。
キョーレツな皮肉とも言える言葉ですが、人は何もしないという状況を贅沢に思う一方で、何もしないという日々を享受することがそう容易いものでないと思わせてもくれます。これはもちろん、それまで生きてきた価値観との戦いでもあるのだと思いますし、頭で分かっていてもそう簡単に割り切れるものでもないのだと思います。物語は、そんなキョウコが「れんげ荘」で日常を送る様が描かれていきます。そこには、忙しさの中に気づけなかった季節の変化や他の人たちの思いの先に見え隠れする思いがあります。そして、そんな物語は、新たな暮らしに少しずつ馴染んでいくキョウコのゆったりとした穏やかな生活を淡々と描いていきます。そこには、キョウコが「れんげ荘」での暮らしを自分のものとしていく、どこまでもほっこりとした物語が描かれていました。
『ここがこれからの住まいになる。六畳に小さな台所がついただけの部屋』。
『広告代理店』を早期退職し、『ぜーんぶ込みで、三万円』という「れんげ荘」で暮らし始めた主人公のキョウコ。この作品にはそんなキョウコが新しい生活に馴染んでいくまでの日々が淡々と描かれていました。「れんげ荘」のキョーレツさに慄くこの作品。やがて、そんな暮らしに少し憧れる気持ちも湧き上がるこの作品。
あくせくした読書ではなく、まったり、ゆったりとした気持ちの中にのんびりと読んでみたい、独特な雰囲気感に満ち溢れた作品でした。 -
本来ならサピエンス全史の下巻を読もうと思っていたのですがあまりに堅苦しかったのでブックオフで見つけたこの作品で息抜きしてみました。
45歳で有名広告代理店を早期退職して一人暮らしを始めたキョウコ(何故かカタカナ表記)。新卒からの20年間で80歳まで10万円/月で暮らせるだけの貯金をしたとかww
ひぁああ、お疲れさまでした。まさに、あっぱれです。
3万円のボロアパートに引越して今までの価値観とは違う次元で暮らし始める。
キョウコさんの生き方は、世の価値観に囚われずシングル女性にとって新たな福音をもたらす救世主のようで冒険者に思えてきた。
共同トイレ(和式)に、風呂はなしで共同のシャワー室があるそうで、梅雨時にはじめじめカビが生え、冬場はすきま風が入り外にいるより寒いとか。壁も薄く隣で暮らしている人の会話や生活音が聞こえてくるとゆう劣悪な物件なのですが暮らしぶりが面白可笑しく描かれていて楽しめました。
キョウコさん今日はどんな生活してるのかページをめくるのが楽しみな数日間をすごせました。
で、このシリーズ全9巻でてるそうでブックオフで続きを探したのですが2巻の「働かないの れんげ荘物語」が見つからず、3巻の「ネコと昼寝 れんげ荘物語」を買ってしまったんですよね。うぅぅ、でも先に3巻読むとかありえないので2巻何処かにおいてないか物色中です。
なんとなくパンドラの箱開けてしまった感じになっていますが暑さも忘れて読んでみたいです。-
つくねさん、おはようございます。
この作品って全9巻もあるんですか??
シリーズ化されているものは、順番通りに読みたいですよね(*'▽'...つくねさん、おはようございます。
この作品って全9巻もあるんですか??
シリーズ化されているものは、順番通りに読みたいですよね(*'▽')
でも、順番通りと思っていても
違ってたことはよくあります(^-^;
2025/06/20 -
かなさん、こんばんは
そうなんです結構続いてるシリーズみたいなんですが
2巻は本屋さんにはなかなか置いてなくって
ようやく図書館で見つ...かなさん、こんばんは
そうなんです結構続いてるシリーズみたいなんですが
2巻は本屋さんにはなかなか置いてなくって
ようやく図書館で見つけてきましたw
2025/06/21
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主人公キョウコの設定が、既視感有り有りで、ビックリするほど。ビックリして直ぐに取り寄せて読んだ。
都内在住。毒親の母親に辟易しながら育ったが、なんとか大手広告代理店に就職。30歳の頃、父親が過労死で亡くなる。母親にマインドコントロールされていたとキョウコは思っている。ずっと営業仕事でストレスを溜め込んできた彼女は、その機に事務職に変わったが、やはり女子職員同士の妬み嫉み恨みの環境に嫌気、更には同居している母親との環境にも嫌気がさし、30歳半ばで「月10万円で30年間暮らせるだけの貯金を持って早期退社」1人暮らしをする決心をする。そのために10年間、婚活もせずに貯金をする。遂に45歳、兄家族が母親と同居を申し入れた時点で、月3万円築40年以上6畳トイレ・シャワー室共用の「れんげ荘」を見つけてこっそり契約を交わした。
動機とか、場所とか、少しずつ違うけど、いろいろ違うけど、「うんうん」と共感する所とか、「あんたちゃうやろ」とか「まだまだやなぁ」とか、ツッコミ入れたい所とか、いろいろあるんだけど、あまり具体的に書くと、わたしのプライベート丸わかりになるのでちょっと奥歯にモノが挟まった感じで書きます。
でもね、彼女は1年間、アルバイトもボランティアもせずにホントに何もせず、失業保険さえも受けずに過ごしているけど、普通はもらうべきものは貰い、ボランティアぐらいは始めると思うよ。それだけ、母親と仕事から離れるデトックス期間が必要だと彼女は呟いているけれども、下手をすると病状は悪化したかもしれない。人には勧められない。ヒトはつくづく人と人の間に暮らさないと生きていけない動物です。彼女は「たまたま」隣室にいい女性がいて、1人だけとっても的確なアドバイスをくれる友人がいて、ちょっと出来過ぎの兄貴夫婦がいたからよかった。
まぁ、都会でも月10万円あれば生活できます。6月はほとんど湿気でカビ生え放題、巨大ミミズ、ナメクジ出現(その前に巨大ムカデの描写が何故なかったのか?)とか、真夏の蚊の襲来、冬の底冷えぐらいで小説的には大騒ぎしているけど、まぁそんなもんです。キョウコさんは、部屋が隙間だらけだからクーラー導入しないのかもしれないけど、私は、最初の年からなんとかなったのでクーラーと暖房器具を未だ入れていません。本書の刊行は2009年。その頃まではなんとかなったんですよ。ホントに。でも、ここ数年の殺人的な暑さ(真夜中に30℃を下がらない!)に、キョウコさんはどうしているんだろう、と心配になります。
どうも続きが何巻もあるようです。これ以上何を書く必要があるのか?という気持ちもありますが、キョウコさんのその後が気になるので、ちょっと覗きに行こうとは思います。いやらしい意味じゃないですよ。
NO Book & Coffee NO LIFEさんのレビューを読んで存在を知りました。ありがとうございました。 -
初読みの作家。
45才、独身のキョウコは有名広告代理店でバリバリと働き、その仕事に疲れて事務に異動しても噂ばなしや働き方に馴染めず、家ではプライドだけ高い母親とも合わず、全てを投げ打っての「れんげ荘」住まい。貯めた貯金を少しずつ取り崩して生涯を無職で暮らすために、格安のれんげ荘を選択。春の気候の良い時期に移ったものの、梅雨のカビやミミズ、ナメクジ、夏の蚊、冬の寒さに参ってしまう。揺らぐ気持ちも親友からの言葉で元に戻る。1年を経過して、何とかれんげ荘にも馴染めたようだ。地震で砂壁が落ちた学生時代に住んでいた木造アパートを思い出す。働かず、貯金だけで暮らすのも若い頃の夢だったと思い出す。
このシリーズは続くようだが、このまま無職の生活は続くのだろうか。他の住人や母親との関係はどうなるのだろうかと先を読みたくなる。
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著者、群ようこさんの作品、ブクログ登録は2冊目。
群ようこさん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
群 ようこ(むれ ようこ、1954年12月5日 - )は、日本の作家、随筆家。本名:木原ひろみ。独身。軽妙な語り口の文体で、主に女性からの支持を受けている。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
月十万円で、心穏やかに楽しく暮らそう! ―――キョウコは、お愛想と夜更かしの日々から解放されるため、有名広告代理店を四十五歳で早期退職し、都内のふるい安アパート「れんげ荘」に引っ越した。そこには、六十歳すぎのおしゃれなクマガイさん、職業“旅人"という外国人好きのコナツさん・・・・・・と個性豊かな人々が暮らしていた。不便さと闘いながら、鳥の声や草の匂いを知り、丁寧に入れたお茶を飲む贅沢さを知る。ささやかな幸せを求める女性を描く長編小説。
---引用終了
そして、本作の書き出しは、次のとおり。
---引用開始
キョウコは会社に勤めているときに、歓送迎会で来たことのある町を歩いていた。四十五歳になってはじめて実家を出ようと決めた日、ふと頭に浮かんだのがこの町だった。駅前は再開発ビルが建ち並んでいるが、少し歩くと古くからの住宅街が広がっている。駅周辺は今風の格好をした若者たちが多いが、それにまじって古くからの住人とおぼしき、高齢者の姿も多い。
(ここだったら、まぎれて暮らせる)
東京生まれで東京育ちのキョウコが、はじめて自分の意志で住むのを選んだ場所だった。
---引用終了 -
主人公は、45歳、独身で実家暮らし、大手広告代理店勤務のキョウコ。母と不仲、会社のストレス等の煩わしさを投げ打ち、貯金を切り崩しながら月10万で生活すべく、月3万の「れんげ荘」に住み始めます。
しかし、理想としていた割に、不便さや断ち切れない母との関係など、都会に住む〝世捨て人〟になる積もりが、やはり全ては捨てられません。
結局は、環境においても、人間関係においても、時に感謝、時に当惑しながら折り合いをつけながら暮らしていくのが人間なのだと気付かされます。その中で、生活をスリム化し、その根幹となる軸をしっかりもてなければ、絵空事となるのでしょう。
それでも、身の回りの小さな幸せに気付き、大切にすることを教えてくれる物語でした。キョウコの大胆さ、不屈さ、時に滑稽さが上手く描かれていて、読み手は、誰もが身につまされながらも、楽しく読むことができると思います。
この「れんげ荘」シリーズ、6冊出ているようですが、キョウコのその後が気になります。 -
再読。前回、読んだときは毎日本当に忙しく働いていた時で、こんな生活だったらどんなにいいかと憧れに近い気持ちで読んだ。
今回はあの時憧れた暮らしを今してるんだなあと笑った。暑さ寒さが特に辛く、憧れるようないいもんじゃないけど、忙しくていつも何かすり減っていた日々よりは確かに豊かであるとは感じる。
れんげ荘の一番の魅力はクマガイさんやコナツちゃん、サイトウくんがいることだ。何を持つかよりも、誰と過ごすのか。
人の生き方を尊重できるレイナちゃんもとても素敵。年齢を重ねれば自然とそういう考えになるような気もするけれど、お母さんを見る限りはそうとも言い切れないみたい。
続編は読んだことがないので、借りてみたい。
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れんげ荘シリーズの始まり。
ハードな仕事と世間体を気にするプライドの高い母から離れて、なにもやらない生活を始めたキョウコさん。今までのガチガチの鎧を被った生活から、なにもしない生活を楽しめるように徐々になっていきそうな予感がする。梅雨時は湿気、夏は蚊、冬はすきま風と雪。れんげ荘に住むのは大変だけれど、隣人のクマガイさんや、コナツさん、大家さんとこれからどう季節を重ねていくのか楽しみ。優しいお兄さん、姪のレイナちゃん、母親との関係もこれからどうなるのか気になるところ。 -
群ようこさんの作品を読んでみたくて、古本屋で出会ったのをきっかけに読了。
45歳で有名企業のOLをスパッと辞め、これまでの貯金を元手に6畳1間アパートで月10万円の暮らしを始めるキョウコの物語。
合う合わない、それぞれ理想とするライフスタイルはあるけれど、何となく世間一般の生活のイメージがとても画一化されてると感じるから、キョウコのような暮らしも含めて、様々な暮らし方がゆるやかに肯定されるようになったらいいのになぁと思う。
もうひとつ感じたのは、親の影響って甚大だなぁということ。キョウコと母親はなかなか価値観が合わず、母親の価値観に長らく振り回されてきている。いざ実家を出て、のんびりライフが始まってからも、母のようになりたくないという形で母を意識している瞬間がとても多い。
そういう描写が、なんともリアルだなぁと感じる。 -
職場や取引先から母親まで、周囲に気を遣い窮屈な生活を続けることに嫌気が差した女性が、45歳で退職して始めたひとり暮らし。年金を受給できるまでまだ20年ある。その間は、月10万円でつましく暮らすことにした。
そんな、古くて不便なぼろアパートで奮闘する女性の日々を描いたヒューマンドラマ。シリーズ第1作。
◇
大手広告代理店でバリバリ働き、管理職としてそれなりの給与を得ていたキョウコではあるが、若い頃からずっと自分の生き方に疑問を感じてきた。
業務の大半を占める接待と、湯水のごとく消費される交際費。金と欲に塗れた世界にあるのは虚飾に満ちた仕事ばかりのように感じるからで、クリエイターでないキョウコには尚更だ。
そんな、地に足がついていることを実感できない日々に耐えられなくなったキョウコは45歳になったのを機に退職。
さらに独善的で見栄っぱりな母親との生活に嫌気がさしていたこともあり、家を出て1人暮らしを始めることにした。
退職金を加えた蓄えだけで一生を送るためには、 ( 年金受給までの20年間の ) 生活費一切を、月10万円で賄う必要がある。
そんなときに見つけたのが廃墟寸前の木造の安アパート。家賃は管理費等込みで月額3万円。それが「れんげ荘」だ。
ミニキッチンは付いているものの6畳ひと間。エアコンなし。おまけにトイレ ( しかも和式でペーパーの設置はなし ) ・シャワーは共同。でも自分だけの城は何か楽しい。
不便でつましいけれど、自由で心豊かなキョウコの新生活が始まった。
* * * * *
本当の豊かさってなんだろう。そんなことを考えさせてくれる作品でした。
誰にも束縛されず、自分の身の回りのことは自分できちんとこなして健康的に生きていく。シンプルだけれど、それが何よりの豊かで幸せな生活なんだと、本作を読んで思いました。
清潔で快適な実家での暮らしに馴染んだ身には、れんげ荘の暮らしは驚きの連続だったでしょう。
春秋はいいけれど、その他の季節は大変です。
まず梅雨時。強烈な湿気に始まり、どこからともなく侵入してくるナメクジたち、さらに押入れに大発生するカビ。
夏には多数の蚊が襲来し、冬には冷たい隙間風とともに雪が吹き込んでくる。
そんな自然との戦いを、キョウコさんはマメさと工夫でエネルギッシュに乗り切っていきます。しかも楽しそうですらあるのです。
会社の方針に ( 自分を殺して ) 従い、母親の束縛を ( 躱しきれずに ) 受け入れるというそれまでの生活。そこに費やしていたエネルギーがいかに大きかったかがよくわかる描写でした。
遠からずやってくるれんげ荘の取り壊しと転居問題や意固地な母親との関係など、読んでいて心配してしまうことはあるけれど、隣人にも恵まれ、 “ 豊かな ” 生活を満喫するキョウコさんの1年は、こちらの心まで豊かにしてくれるようでした。
住めば都。「青山」は案外身近にあるんだろうなと思いました。 -
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8月に最新刊出たので、また読み直す。忘れかけた場面も思い出すとほろっと来る。人間不信の仕事場を辞めるのは本当に葛藤だと思うし、お母さんの欲望で家を買いお父さんが働かされて、体裁だけで生きるって、家を出るとか辛かったろう、実際れんげ荘の生活大変で、よく笑うしかない境地に出来たのかな、それも人間性だ。帰り道お母さんとすれ違う無視されたとか、薄い人間のお母さんだな、何度もこれで良いのか考えて吹っ切れて、その繰り返しで。それだけで尊敬する、8桁の預金なんか充分働いた証拠だよ、下北沢も素敵だ
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カバーのれんげの花が可愛く月10万円で楽しく暮らそうと書かれている帯に惹かれて手に取った。
内容は10万円でどう楽しく生活するかというより、40代独身女性の今までとこれからの人生を迷いながらも幸せを感じる生活を少しずつ始める話。
ゆっくりと平凡な日常が送られていくなかにときに彼女の今までの人生で関わってきた人に対する思いがするどく書かれていて繰り返して読んでしまう。
まだまだこれから始まったばかりでおしまいになってしまったけれども続編があるようなので楽しみ。 -
周りの環境や情報量の多さから、事を荒立てないマイルドな自分が出来上がる。そして本当の「自分」というものを見失ってしまう。現代あるあるかも(?)。
それをぜーんぶ取っ払って、昭和レトロと言っていいのか自然いっぱいと言っていいのか「れんげ荘」に住む。
うーん、出来ない。でも、れんげ荘には遊びに行きたい。 -
2011年って、結構前だなぁと思ったけれど、そうでもないのか。
現在、7冊まで出ている『れんげ荘』シリーズ。
古本屋でふと目に止まり、とりあえず一冊と買ってみた。
日々の仕事に嫌気がさして、仕事を辞めて、月10万円の貯金切り崩し生活をする事に決めたキョウコ。
家賃3万の古いアパートれんげ荘は、そりゃ夏は暑くて冬は寒い、虫は出るわ、湿気てカビるわ。
想像以上の生活にも関わらず、何だか楽しめている。
こういう作品は、もっとほんわかしたり、温かい周囲の人々との関わりや、その人たちから出る名言的な言葉とかかと思いきや、確かに周囲の人との関わりはあるけれど、思ったよりも普通だった。
あー、でも、だからこそ良いのかもね。
はて、7冊。どういう物語展開になるのだろうと気になるところ。
それにしても、キョウコも母親との関係が嫌なら、もっと遠くの田舎暮らし的にすればいいのに。
それに仕事を辞めるはいいけれども、何もしないをするってのはよく出来るなと。
まぁ、それが難しくて本人も苦労はしてるけれど。
同じアパートの住人(3人)は、まだ何となく分かるけれど、キョウコはこれからどうしていくのだろうか。
仕事もしないし、貯金切り崩しだと経済も回せないし、生きている意味的な何かを…。
って考えている時点で、僕も何かに侵されているのかもな。 -
面白かった!こんなふうに過ごす自分を想像できないけど、誰もが一度くらいは考えるのではなかろうか。働かないで貯金だけで、何にもしないで暮らしたい。私は計画性がないから、全くもって貯金生活とは無縁で、日々生活に追われているからこそ、憧れるのかな。一人暮らしの身には家賃は重くのしかかる。トイレ、シャワー共有かー。3万円という金額には惹かれるけれど、実際にはクマガイさんみたいな人が隣人ではないだろうしなぁ。仕事をしないで毎日暮らすって1ヶ月は楽しめそうだけど、それ以上になったら、お金を心配をしてしまうだろうな。貯金があれば違うのか?
いろんなことを想像しながら、キョウコさんと一緒に夏の暑さにまいり、冬の過酷さに身震いし、一輪の花に心癒され、やっぱり憧れは森茉莉さんか、と納得しながら楽しく読みました。 -
読んだのを忘れて再読した。癒されたいと思った時に手を伸ばしてしまうのが群ようこさんだと気が付いた。
月10万円で暮らすと決め、家賃3万円のぼろアパートに済む。憧れのスローライフが始まるかと思ったが、まだまだ迷うことばかり。読んでいて貯金生活にリアリティーもあり、癒されるばかりの話ではないはずだが、何となく癒された。 -
おもしろかった!
ゆったりとした気持ちで入り込める。
とはいえ、キョウコさんにとっては、人生の大きな転換なんよな。
いいなあ。
ほんとにいいなぁ。
この本、大好きだなぁ。
何でこんなに大好きなんだろう。
(って考えてて、解説を読んで、そう!そうなんよ!ってなった。
言語化するって難しい。) -
疲れたら、ほんと何もしなくてもいいんだな
それも必要なんだなと思って読んでたら
本当に最後まで働かず、特に趣味もなく、
何もしないで終わった。
続編では何か変化があるのかな。
主人公のお母さんは
主人公に無理解が過ぎるけど
程度の差はあるけど
結構こういう人はいるとおもう。
判断基準が全部近所の人からどう見られるか。
嫌だねぇ。
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精神的デトックス。必要なのは心が豊かに生きること。心許せる隣人と、丁寧に淹れたお茶を飲む贅沢を味わうこと。貧乏性格とは違う、欲から解き放たれ、不便さを楽しんで生きる、羨ましい暮らしかも知れない。自分に今の生活を手放す勇気は無いけれど、時には精神的デトックス、必要だ。
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ある日40代の独身事務住まいOLが、職場も毒母も嫌になり、会社を辞め貯金だけで暮らすためにオンボロアパートに引っ越す。それからのミニマルな生活を描いた小説。
最近、清貧生活だとか、実際にこういう暮らしに挑戦している人の本も出ているが、しがらみや見栄や物欲を離れた人生に共感する人が増えているのだろうか。
群さんはデビュー作の頃から読んでいるが、息長くヒットし続けていて、かもめ食堂で映画化もされて、大変な人気だ。
彼女の飾らない筆致は、疲れているときにも楽に読めて、まるでお腹に優しいスープのようだ。
彼女の作品はいつも、「若くも、美しくも、特別な取り柄もない普通の女子が、生きていて、幸せになれるんでしょうか?」というテーマを巡っているように思う。
彼女の作品の主人公は、(作者と同じように)太いウエストや、合わない服や、困った世間の人たちと格闘し、猫とまったりし、草花や美味しいお茶にほっこりする。
そんな普通の姿にみんなはほっとする。
本の最後の増刷の版数のすごさにびっくりした。
玄米パンのようにお腹とハートに優しいから、人気なんだね。
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群ようこの作品
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感想 :

保護者か!
うちの子がご迷惑おけして…か!( ゚д゚ )クワッ!!
保護者か!
うちの子がご迷惑おけして…か!( ゚д゚ )クワッ!!
なんか微妙に責任感じちゃうのよ
なんか微妙に責任感じちゃうのよ