心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758435840

感想・レビュー・書評

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  • みをつくしシリーズ第6弾。
    もう物語も折り返し地点を過ぎてしまいましたね~あっという間です。
    そしてこの巻では大きな転機が盛りだくさん。
    優柔不断というか、どこまでもやさしい澪にもどかしくなったりもしましたが、ここで改めて彼女の芯の強さがしっかりと感じられました。
    そして一番はやはり小松原との恋の行方ですよ!!
    早帆の登場でぐんと急展開をみせ、澪と小松原2人きりで話をするシーンではもうキュンキュンがとまりませんでした。
    普段飄々としている小松原のあのストレートな気持ちの伝え方ときたら、もう読者はメロメロですよ。
    澪の、手を伸ばしてその皺に触れたい、と思う気持ちを封じ――の描写が本当に良かった。
    結ばれて良かったね~でもどうなっちゃうの?!と思いながらのラスト。
    女としての幸せか、親友との約束か、それとも料理人としての決意か。
    揺れ惑いながらも、澪の心星が夜空にはっきりとみつけられるようでした。

    料理も秋の良さがぎゅっとつめこまれたようなお品書きで素晴らしかったです。
    茶わん蒸し食べたいよー。

  • このシリーズにどっぷりはまり、次々と読み進めているが、心の中ではいつも☆5つ。
    でも完結までは☆4つを付けようと思ってたけど、もういいや。☆5つ!

  • 澪がこれまでになく大きな決断を迫られる巻だったように思います。
    女の人が、しかも江戸時代に自分の夢を追いかけるのはとても大変なことなんでしょうね。
    でも、迷い苦しみながらも自分の道を歩もうとする澪の姿は、現代にも通じるものがあって、きっといろんな人の励みになるんじゃないかと思いました。
    作中でも出てきますが、ほんとに何もかもうまく行く人生があればいいのに…と思わずにはいられない、切ない一冊でした。

    そして、巻末の瓦版がとっても嬉しい一冊でもありました♪

  • みをつくし料理帖シリーズ第6弾。
    シリーズ作品でこんなにハマった本は未だかつてありません。
    シリーズと言えば第1弾が一番面白いというのが私の勝手な定説でしたが…
    みをつくし料理帖シリーズは私の定説を覆してくれました!
    どんどん面白くなってくるのです。
    時代小説じたい、それほど好きではなかったのに・・・
    今は続きが気になって気になって・・・
    第7弾は既刊です。早く読みたい~!!

  • シリーズ第6巻。
    つる屋の営業は順調だけど澪の人生は岐路に立たされてるねぇ。
    何が幸せかは人それぞれだけど、澪はもっと欲張りになってもいいんじゃないかな。
    これからどうなるのか先が気になるんで、さっさと7巻を読むとしよう。
    この作品はおもしろいけどお腹空くのが玉に瑕だー
    おーい!こっちにも苧環ひとつおくれーっ!!

  • 先に読んでいた友人に聞いていたけど、ついに来たか!という感じ。
    プロポーズの場面にはかなりグッと来ましたが、澪の心情とリンクするのか、それ以上にお客の一言や些細なことにすごく心を揺さぶられ、寂しかったです。
    結果を知っているからそんな呑気な事を言っていられるのかもしれませんが(^_^)
    知らなかったらすっかり騙されていた。
    しかしそんな先行きを小松原さまは読んでいたからこそのあの一言で、そんな澪だからこそ、彼も惹かれたというのがあるんだろうな。
    野にあらねば枯れる花だと知っている、ということ。

    しかし源斉先生の動揺ぶりに、前巻から思っていたけど、やっぱり源斉先生ってばー!とテンションが上がりました。
    これで源斉×澪の目がやおら浮上してきた!……と私は思うのですが、どうでしょう。
    しかし里津さんのことを思うと胸が痛い。
    そして早帆さんは大好きなので、美緒ちゃんとの間のように、また友情が復活してくれると嬉しいけど…無理かなぁ。

  • 今回は、これまでののんびりとしたテンポが少し早まったように、ドラマチックな展開があれこれと起こります。
    お店のこと、そして恋のことで、人生の大きな決断を迫られる澪。
    作品に流れる粋な江戸の人情やあたたかい情緒はこれまでと変わりませんが、彼女を取り巻く流れがうねるように押し寄せてきたため、読んでいる側も息苦しさを感じました。

    一心に料理を作り続けていければ、それだけで幸せな彼女。
    なまじ腕が良いだけに、彼女の才能を愛する、またはそねむ周りの影響を避けることはできません。
    料理は一生修行の道とも言えますが、そんな彼女の秘めた恋も、思わぬ形で急進します。

    誰もが人の幸せを願いながらも、それが実際にその人の幸せになるとは限らないのが、人の世の難しいところ。
    さまざまな申し出に澪は翻弄され、悩み尽くします。
    愛する人々全ての幸せと、自分の幸せは両立しえないものなのか。
    料理人の道を究めることと、好いた人と添い遂げることは、両立しえないものなのか。

    難しい問題が彼女の前に横たわっています。
    小松原が小野寺とばれたことが、思ったよりも大ごとにならなかったのが意外でした。
    またその当時、町人も手筈を踏めば、武家に輿入れできるということは知りませんでした。
    ただ、武士の妻となった以上は台所には立たなくなるもの。
    それは澪の命を止めるようなものではないでしょうか。
    かといって、偲ぶ思いが通じた喜び、恋慕う気持ちを止めることはできるのでしょうか。

    唯一無二の幼馴染の野絵ちゃんから貝の片方を返されたのも、双方の気持ちが痛いほどわかるだけに、やるせなくなります。

    多くの問題を抱えたまま話の決着は先送りとなったため、いつになく、もやもやと考えさせられる読後感となりました。
    源斉先生のことも気になります。このシリーズ、まだまだ続きそうな予感です。

    この巻では、巻末に特別付録として「みをつくし瓦版」が掲載されていました。
    作者の声がインタビュー形式にまとめられています。
    作者は、内容、構成、料理を考えるのに一、二カ月、執筆に二カ月、遂行や取材に二カ月かかり、どうしても本を一冊仕上げるまでに半年くらいは必要とのことでした。

    また、毎号数点紹介される作中の料理は、すべて著者本人が考案して作っているということには驚きました。
    天才料理人、澪になりきって、本文とはまた別のレシピの生みの苦しみを体験していたとは。
    続巻を読むのが待ち遠しいです。

  • みをつくし料理帖シリーズ6作目。
    あ~良かったわぁ。今までは事件が起きても澪自身の問題ではなかったのだが、今回は澪自身が答えを出さないといけない自体が次々と持ち上がる。それなのに澪は自分のことは二の次で、友達のこと、お店のこと、ご寮さんのことなどを、気遣い悩んで悩んで悩んで。
    どうするの?どうするの澪?とはらはらさせられる事。

    結局そうするのね。あなたの幸せはそれなのね。
    最後大いに落胆させられたが、そこはこのシリーズが続くか終わるかということだから・・・ね。

    「人は与えられた器より大きくなることは難しい」
    結局は、器に中にいる人の心がけ次第なんだけど、心に残った言葉だった。
    今回も、しみじみ、じ~ん、ほろり。

  • 酷暑を過ぎた葉月のある午後、翁屋の桜主伝右衛門がつる家を訪れた。伝右衛門の口から語られたのは、手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないか、との話だった。 一方登龍楼の采女宗馬からも、神田須田町の登龍楼を、居抜きで売るのでつる家として移って来ないか、との話が届いていた。登龍楼で奉公をしている、ふきの弟健坊もその店に移して構わないとの事に、それぞれが思い揺れていた。つる家の料理人として岐路に立たされた澪は決断を迫られる事に―― 野江との再会、小松原との恋の行方は!?

    終盤、小松原の言葉に胸がぎゅーっとなって泣きそうでした。澪ちゃん良かったなあと思うけど、「料理」が一番澪にとってなくてはならないものでもあるので、どうなるのかなと今後の展開が気になりすぎます・・・。成就しないと諦めきっていた恋だからなおさら叶って欲しいけれど、難しいですね。誰かのためにいつも頑張ってきた澪のことを周りの人がとても大事に思っているのが物語全体の温かみを増幅させている感じ。相変わらずおいしそうな食べ物と共に心がほっこりするシリーズです。

  • みをつくし料理帖シリーズの第6弾。

    前5作をはっきりと覚えてないなぁ、と思いながら読み始めたが、心配は無用、すぐに馴染みの物語の中に入っていけた。著者の巧いところだ。

    本書には、読者の興味を集める、大きな山場が用意されている。
    澪は何度となく決断を迫られる。
    澪の選んだ道は? はたして今後はどうなるのか?

    澪に限らず、現代においても人は同じような悩みを抱える。
    複数の選択肢の中から一つを選ばなければならない立場に置かれた時、人はどう考えるだろう? 何に重点を置く?

    身近にあって一筋縄ではいかないテーマが恋愛ではないか。好きな人との結婚だ。
    現代女性は、好きだから結婚したい、とストレートに考える人は少なくなっている。たとえ相思相愛であってもだ。いわゆる「条件」というものがある。

    いうなれば、澪も現代女性と同じような立場に置かれた女性。もし、専業主婦を選べば、夢も希望も叶えるのが困難を極める。否、不可能になる。
    澪が現代女性と異なる点は、相手に条件を求めることが不可能なところだ。

    さあ、どうする?
    シリーズは読者の興味をまだまだ煽り続ける。

    著者の高田さんは、なんだかんだ言っても、読者の希望を叶えてくれそうな作家。ハッピーエンドになると思うが、それまでにはどんな試練を用意されるのか? すべてを丸くおさめるのも難しいだろう。

    • カレンさん
      いよいよ局面を迎えるのですね?
      澪の一大事と言ったら・・・う~ん気になります。
      大事にとっておきましたが、そろそろ読もうかな?
      いよいよ局面を迎えるのですね?
      澪の一大事と言ったら・・・う~ん気になります。
      大事にとっておきましたが、そろそろ読もうかな?
      2011/11/29
    • trade-windさん
      T-カレンさん、こんにちは。
      そうなんです、局面を迎えるんですが……。いくつかの局面に選択を余儀なくされるのですが、「一番の」「とっておき...
      T-カレンさん、こんにちは。
      そうなんです、局面を迎えるんですが……。いくつかの局面に選択を余儀なくされるのですが、「一番の」「とっておきの」「読者の最大関心事の」の局面に対して、澪は……。はたして、どうするのでしょう?

      もうしばらく、大事に取っておくのもいいかもしれません。すぐ、読み終わってしまいますから。
      次が待ち遠しいです。もう一冊新刊が出てから読めば良かったかなあ、と読後すぐに思ったんですよ。
      2011/11/30
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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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