走れメロス (ハルキ文庫 た 21-2 280円文庫)

著者 : 太宰治
  • 角川春樹事務所 (2012年4月15日発売)
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  • 18レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758436526

走れメロス (ハルキ文庫 た 21-2 280円文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 280円文庫で読み直しました。この本もいいなあと、中高生に読んでくれという熱いエールを感じました。太宰の魅力も味わえ、藤谷治さんのあとがきも若者たちに読んでほしいって思いました。

  • 手に取りやすい価格の一冊。
    『懶惰の歌留多』『富嶽百景』『黄金風景』『走れメロス』『トカトントン』の5編。
    トカトントンのラストにツッコミを入れたい。

  • 数多いる文豪の中で、太宰治は取り立てて好きでも嫌いでもない作家である。そんな読者にとってこの280円文庫はとっつきやすいのではないだろうか。太宰の代表作ともいえる「走れメロス」や「富嶽百景」が収められている。太宰をとりあえず読んでみたいと言う人にはオススメできる1冊である。100ページあまりと短く紙質も決して良いと言えないが入門にはもってこいである。

  • 「駆込み訴え」 太宰治 著 「走れメロス」所収 新潮文庫

     この太宰の短編は、キリストの弟子であるユダがまさしくキリストを裏切ろうとしているその心のうちを一気に吐露している様(駆け込み訴え)を書いたものです。

     キリストだとかユダだとか、そんな説明が無ければ、以下の引用がキリストへ向けられたものだとは俄かに信じ難いのではないでしょうか。

    『それよりも、その時、あの人の声に、また、あの人の瞳の色に、いままで嘗つて無かった程の異様なものが感じられ、私は瞬時戸惑いして、更にあの人の幽かに赤らんだ頬と、うすく涙に潤んでいる瞳とを、つくづく見直し、はッと思い当ることがありました。ああ、いまわしい、口に出すさえ無念至極のことであります。あの人は、こんな貧しい百姓女に恋、では無いが、まさか、そんな事は絶対に無いのですが、でも、危い、それに似たあやしい感情を抱いたのではないか? あの人ともあろうものが。あんな無智な百姓女ふぜいに、そよとでも特殊な愛を感じたとあれば、それは、なんという失態。取りかえしの出来ぬ大醜聞。私は、ひとの恥辱となるような感情を嗅ぎわけるのが、生れつき巧みな男であります。自分でもそれを下品な嗅覚だと思い、いやでありますが、ちらと一目見ただけで、人の弱点を、あやまたず見届けてしまう鋭敏の才能を持って居ります。』

     あの聖職者をこれほどまでに肉感的に語る太宰の視点も素晴らしいし、自虐的なユダの自己分析の下世話加減が、太宰の自己投影なんていう分析を通り越して、その人間らしさに愛らしささえ感じてしまいました。

     キリストへのコンプレックスの狭間でユダは揺れ続けます。その心情を書き連ねる太宰の筆は乗りに乗って、ユダの心の振り子を大きく片側に寄せ切った時、彼はスコンっと絶妙に「落とす」のです。

     これまでみなさんも、恋愛のうえで(もしかしたら結婚生活でも…)「魔法が解けたような瞬間」を経験したことはありませんか?

    「え、なんで今までこの人のこと、あんなに好きだなんて思ってたんだろう?」

     あの瞬間です。

     太宰は読者をぶんぶん揺さぶって、そして突然一歩引いた筆致で冷たく断じるのです。

    『私は、それを思った時、はっきりあの人を諦めることが出来ました。そうして、あんな気取り屋の坊ちゃんを、これまで一途に愛して来た私自身の愚かさをも、容易に笑うことが出来ました。』

     心理の層が「遷移した」瞬間。

     ドラマチックでダイナミックな短編中に差し込まれた鋭利なナイフ。

     いやぁ朝から良い心の運動になりました。

  • 星4つ

  • 先日、テレビで話題の林先生のオススメを聞き、冒頭の数行に興味を持ち、iBooksで読了。
    これこそ、笑いあり、涙あり…この短い間に多くのことを気持ちよく、わかりやすく詰め込んだ最高の作品だと思いました。
    とにかく、メロスの純朴さ…なんというか今テレビで再演するなら長瀬智也さんに演じてほしい、そんな感じ…短いのに人の強さと弱さをとても、うまく描かれていて、さらに当時はわからないですが、現代であれば多分笑いを誘うような描写。
    30分くらいで読みましたが、本当に泣き笑い!
    冒頭しか知らなかった私は、本当にハラハラドキドキ…しながら一気に読了。
    大好きな作品の一つになりました!

  • kindleにて。

    ″私は、今宵、殺される。
    殺される為に走るのだ。
    身代わりの友を救う為に走るのだ。
    王の奸佞邪智を打ち破る為に走るのだ。
    走らなければならぬ。″

    考えてみれば、死刑でも寿命による死でもなんでも、死は向こうから迫ってくるものだ。
    けれど、メロスは自分から死に向かって走る。

    自殺とも違う。自殺は望んですることだけれど、メロスは死を望んでいるわけではない。

    なのに走る。走らなければならない。

    このような特異な事態に置かれたからこそ、正義感滾り一点の濁りもない心臓を持つメロスのような誠直な男でさえ、これほどの『走る理由付け』をしなければならなかった。
    という解釈をしてみた。

  • 中途で倒れるのは、初めからなにもしないのと同じ事だというセリフが好きです。

  • 教科書にて

  • 私の本読みの原点。様々な誘惑や自分に負けそうにながらも走ることを諦めなかったメロス。そして最後のセリヌンティウスと抱擁し、笑うところはとても微笑ましいです。強いんだか、弱いんだかわからないメロスが何だか好きだなぁ。小学生のころから好きな作品です。

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