ふたたびの加奈子 (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 210
感想 : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758436960

作品紹介・あらすじ

五歳になる一人娘の加奈子を交通事故で亡くした桐原容子は、夫の信樹と"加奈子の魂"の三人で暮らしていた。容子は食事の時も、外出する時も、いつも"加奈子の魂"と一緒だった。だが、そんなある日、"加奈子の魂"は転生の場所を見つけたらしい。妊娠三ヶ月の主婦・野口正美の身体だ。容子は、ひたすら正美の出産を心待ちにするが、そこには意外な現実が待っていた…。愛する子を失った母親の深い悲しみと、魂の"転生"が驚くべき結末をもたらす、感涙必至の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 喫茶室でアイスコーヒーとアイスクリームを注文した女性。
    アイスコーヒーを飲みながら、アイスクリームが置かれた隣席に
    まるで誰かが座っているかのように微笑みかけている。
    エスカレーターでは右側に立ち、左側にこども一人分のスペースを空け
    突然誰かを探すかのように走り出して化粧室に入り
    「お子様と一緒に入れます」と書かれた個室から、誰もいない隣の空間に
    「よかったわね、間に合って。」と語りかけながら出てきて。。。

    当初はホラー文庫の一冊として刊行されたというのも大いに頷ける
    ぞっとするようなプロローグです。
    でも、私と同じ怖がり屋の読者さんも、どうか安心してください。
    読み進めるうちに、ホラーではなくて人を想うせつなさを描いた物語だとわかるので。

    自分がたまたま迎えに出なかったばかりに、可愛い盛りの娘を
    事故で死なせてしまったと悔やむ容子。
    彼女が、亡くなった加奈子の魂が戻ってきた、ちゃんと気配が感じられると言い張って
    幼児用のお皿にごはんを用意したり話しかけたりする気持ちは、
    なんだかとてもわかるような気がするのです。
    子を持つ母だからということではなく、誰でも大切に想う人を亡くし
    それが自分のせいだと思い詰めたら、そんな状態になっても不思議はないと思えて。

    それよりも、いつまでもそばにいてくれると思っていた加奈子の魂が自分から離れ
    見知らぬ妊婦のお腹の中の赤ちゃんに宿ったと知ってからの
    容子の行動のほうが、ずっと怖くて痛々しい。
    住む場所も職業も行動パターンも変え、じわじわと時間をかけて
    加奈子の生まれ変わりを宿したターゲットに近づいていく彼女を
    息を殺し、ハラハラしながら追いかけずにはいられません。

    容子に限らず、誰にどう思われようと愛する者を守ろうとあがく
    女性たちの姿が印象的な物語。
    容子の執着がおおらかな愛に変わる瞬間が鮮やかです。

    • まろんさん
      アセロラさん☆

      おお、アセロラさん、中居くんファンだったんですね!( ..)φメモメモの上書きしなくては。
      スマスマはずっと見てるんですが...
      アセロラさん☆

      おお、アセロラさん、中居くんファンだったんですね!( ..)φメモメモの上書きしなくては。
      スマスマはずっと見てるんですが、『ゴロウ・デラックス』が
      本に纏わる番組だなんて全く知りませんでした!
      吾郎ちゃんというと、なんだか映画通というイメージが強くて。。。
      教えてくださってありがとうございます♪

      親戚の冠婚葬祭があってしばらく家を空けていたので
      本もテレビ番組の録画もたまっているのですが
      『世にも奇妙な物語』、バッチリ録画してあります!
      辻村さん原作の作品があるなんて、楽しみ♪
      怖そうだけど、でも見ずにはいられません(*'-')フフ♪
      2013/05/16
    • まろんさん
      vilureefさん☆

      「マザーズ」、新聞の書評でも激賞されていたのですが
      vilureefさんも心配してくださる通り、打たれ弱い私なので...
      vilureefさん☆

      「マザーズ」、新聞の書評でも激賞されていたのですが
      vilureefさんも心配してくださる通り、打たれ弱い私なのでなかなか決心がつかなくて。。。

      でも、vilureefさんが「圧巻」と薦めてくださって
      作者の金原さんも泣きながら執筆したなんて聞いてしまうと
      やっぱりもう、読まずにはいられませんね。

      長男の嫁として、めずらしく冠婚葬祭の場でちょっとだけ頑張っちゃったりして
      今はひ弱な精神がなおさらしおしおになっているので
      猫とお菓子でエネルギー補給したら、果敢に挑戦しようと思ってます(*'-')フフ♪
      2013/05/16
    • vilureefさん
      まろんさん!!おかえりなさい。
      お久しぶりです(笑)

      もしやにゃんこ大戦争に参戦したきり帰国困難なのかと思っていましたよo(*^▽^...
      まろんさん!!おかえりなさい。
      お久しぶりです(笑)

      もしやにゃんこ大戦争に参戦したきり帰国困難なのかと思っていましたよo(*^▽^*)o
      なるほど、しがらみ活動(?)していたのですね。
      私も長男の嫁仲間です!!一応・・・(^_^;)
      あまりしがらみ活動していませんが。

      「マザーズ」、是非心が元気な時に読んでくださいね!
      レビュー楽しみにしています(^_-)-☆
      2013/05/16
  • 五歳になる一人娘の加奈子を交通事故で亡くした桐原容子は、
    夫の信樹と加奈子の魂〝マル子〟の三人で暮らしてた。
    容子は食事の時も、外出する時もいつも加奈子の魂と一緒だった。
    だが、そんなある日加奈子の魂は転生の場所を見付けたらしい。
    妊娠三ヶ月の野口正美の身体だ。
    容子はひたすら正美の出産を心待ちにするが、
    そこには意外な現実が待っていた…。


    プロローグから不穏な空気…。
    加奈子の魂〝マル子〟は空気の塊のような感じで、
    名前の由来は、その存在がなんとなく丸みを帯びて感じるから…。
    マル子としてまだ近くにいると言い張り、一緒にデパートに出掛け、
    一緒に食事をする。
    しかし当然その姿は容子にしか見えず夫の信樹は困り果てる。
    加奈子の魂が転生の場所として正美の子・菜月として産まれたと信じ、
    奪おうと計画的に着実に正美夫婦に近づき友人になっていく過程には、
    どうなるの…って怖かった。
    容子の愛する子を思う母性の強さに恐怖も感じたし切なさも感じた。
    でも、思いがけない展開…。

    容子の周りの人々が良い人で良かった。
    容子と信樹も哀しみを乗り越えて再生していく。
    子供を亡くした喪失を乗り越える希望が持てる結末。
    ラストはとっても良かった。

  • あの子が帰ってきてくれたら、そう思うだろう。
    それを感じたら確認にはしるわ。すごい勘違いだったけど、最終的には確認できたら次に進めるかしら。

  • 母親の深い愛と悲しみがテーマ。5歳の娘を交通事故で亡くした主人公。娘の魂を身近に感じ生まれ変わりを信じ、何もかも捨て、その娘の生まれ変わりの子供や母親に近づいていく。何を目的に近づいていくのか。展開は緊張感があり面白いけど結末はわりとあっさり。ハッピーエンドで良かった。

  • 転生って本当にあるのかな。
    でも、母親のおなかの中の記憶は3才くらいまでは本当にあるって言う。

    途中の容子の行動はハラハラするものもあったけど、最後は温かい感じで終わってよかったです。

  • 自分の子どもの生まれ変わりと思い込んで他人の子をどうにかするホラーと思って読むよりも、
    生まれ変わりはあるっていう完全フィクションの世界と思って読む方が良かったんだな、と思った。
    可愛いそうだけど、どうにか自分の気持ちに折り合いつけれて良かったなぁと思いました。

  • 交通事故で一人娘の加奈子を亡くした容子。加奈子の魂を感じた容子はいつも一緒に暮らしていたが、ある日加奈子の魂が妊婦の体の中に転生したことを感じた。加奈子との暮らしをもう一度手に入れたいと思い、一人画策する容子。
    新津きよみはやっぱり気味悪いの書かせたらすごいなあと思いながらこわごわ読んでいく。しかし意外な展開に最後は爽やかささえ感じる。

  • 映画版の『桜、ふたたびの加奈子』は、不協和音を奏でる弦楽器に居心地の悪さを感じながらも、想定外の展開に泣かされました。観賞後に原作である新津きよみの『ふたたびの加奈子』が気になり、即購入。私にとって新津きよみはこれが初体験。そうか、この人は折原一の奥様なのかと読みはじめました。これを映画化したら『桜、ふたたびの加奈子』になるとは到底思えず、原作というよりは下敷き程度というほうが妥当かと思います。

    桐原夫婦の娘、加奈子は、ひき逃げに遭って亡くなる。妻の容子はやがてこの部屋に加奈子がいると言うように。そんなものは見えないという夫の信樹に一応気を遣い、「加奈子」とは呼ばずに「まるこ」と呼びつづける。ある日、外出した容子とまるこ。亡くなった子どもの魂は、いつか自分の新しい居場所を見つけることがある。読んだ本にそう書いてあったことから、容子はそのときが来るのではと予感。その日、まるこはふわふわと正美という妊婦のもとへ。以来、正美に関するありとあらゆる情報を集めはじめる容子。心ここにあらずの容子と共にいることに疲れた信樹は、その頃たまたま知り合った女性と浮気。信樹と別れたいと思っていた容子はこれ幸いと離婚し、正美を監視できる場所へとすぐさま引っ越す。信樹は浮気相手の女性のもとへ転がり込むが、なぜか相手の女性はやたら物わかりがよく、容子の心配までするほど。公園デビューしてもママ友ができない正美に近づく容子。親身になって相談に乗り、正美の信頼を得ると、加奈子の生まれ変わりを手に入れるべく、着々と計画を進めて行くのだが……。

    原作も「感涙必死の長編小説」となっていますが、まったく泣けません。容子の常軌を逸した行動はただひたすら怖い。正美の子どもをこっそりつねって、正美の夫に「彼女は虐待している」と連絡したり、夫ごと正美から奪うことを考えたり。

    そもそも登場人物の誰も彼もが映画とは異なる設定。正美は高校生でもなければ、シングルマザーでもない。古書店を営む容子の母親も出てこなければ、空っぽのベビーカーを押して歩く女性も出てきません。

    原作はオチも含めて嫌な感じで、この原作からあんな映画をつくるのかと、あらためて栗村実監督に脱帽。これからも注目したい監督です。

    映画の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/5708d1ba46d17b4369466ee2e2dc1e01
    原作との比較についてはこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/34c163eae8ed8c98bc94971c1f88a484

  • 特に中盤ひやひやしたが、予想に反してみんないい人だった。

  • 泣けた、同じ年の娘と被って共感する点多々

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著者プロフィール

長野県大町市出身。青山学院大学文学部仏文科卒業後、商社勤務などを経て1988年に作家デビュー。女性心理サスペンスを基調にした作品を多数手がける。『二年半待て』で2018年徳間文庫大賞受賞。近著に『始まりはジ・エンド』『セカンドライフ』『ただいまつもとの事件簿』などがある。

「2021年 『妻の罪状』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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