しのぶ梅 着物始末暦 (ハルキ文庫 な 10-1 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.57
  • (15)
  • (87)
  • (74)
  • (9)
  • (1)
本棚登録 : 535
感想 : 71
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758437028

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み

  • 着物始末暦 シリーズ1

    以前に読んだ、アンソロジー「はなごよみ」に収録されていたこの物語が良かったので、最初から読んでみる事にした。

    着物の染み抜き、洗い、染めなど、着物に関して何でもする“着物始末屋”の余一は、男前なのに、無骨で、無愛想。

    いろんな人が持ち込む悩みを、余一は、思いを受け止め、人情味溢れる解決をしていく。

    「はなごよみ」に出てきた《吉原桜》では、余一は脇役っぽかったけど、主役だったんだ。


  • 初めましての作家さん  中島要
    着物始末暦
    印象悪い主人公と思いきや、主役をめぐり
    周囲の人間を第一人称に物語を進める趣向
    主人公は訳アリ、イケメン・着物職人
    職人といっても普通なら家庭の女が行うような
    染め・染み抜き・洗いなどの半端仕事を古着屋
    (コイツは盗人上がり)と組んで凌ぐのだが
    古着・着物・歯切れにまつわる思いを読み解く

  • 着物の始末をする職人を巡る人々の姿を描いた短編集。問題の生じた着物を、仕立て直したり、シミ抜きしたりする仕事をする余一。彼のもとに様々な事情で始末を頼みに来る人たち。そして新たな姿になった着物が人々に新しい生き方を
    示す。続編も読みたくなる。

  • 着物始末暦シリーズの初回
    愛想がないが腕のある古着始末職人余一をめぐり、いろいろな着物が持ち込まれる。
    人に対しては不愛想なのだが、古着に対しては愛情を抱き誠実に向き合う姿勢が心地よい。
    江戸時代の唯一の衣服である着物がどんなふうに捉えられたいたのか興味深い。
    余一の周りの人達との関わり合いも面白い。

  • 着物の染み抜き、洗いや染めてなんでもこなす着物の始末屋・余一は職人としての腕もよく、若くて男前だが、人と深く関わろうとしない。着物始末暦・連作短篇4篇。最初の話の綾太郎が読んでてイラッとしたので、全編これはつらいなーと思ってましたが、周囲の人から余一を見るタイプで、面白かった。続編あるみたいなので、それで余一の事ももっとわかるのかな。着物柄は好きなので巻末の付録はよかったけど、本編中でもっと余一の仕事ぶりの凄さを書いて欲しかったな〜

  • どんな傷みや汚れがあっても、着物を美しくよみがえらせる始末屋余一が手がける仕事を、彼の周囲の人達の目で描く短篇集。
    日常の謎仕立ての物語と、人情モノの組み合わせというありがちなパターンである。

    実の親を知らず、始末屋だった養父の跡を継ぎ、着物にしか興味のない余一と、その朴念仁に懸想する一膳飯屋の看板娘お糸、余一をうまい具合に使いながら金を稼ぐ古着屋の六助、ひょんなことから余一と知り合った呉服屋の若旦那・綾太郎が主要人物。
    シリーズ物前提ということで、余一含め、登場人物たちの全ては明らかにならない。

    帯や書店での扱いも明らかにみをつくし料理帖の二匹目のドジョウを狙ってきてるのがわかるけれどクオリティが違いすぎる。

    余一の人間的魅力が伝わってこない。というか存在が薄い。
    ヒロイン役だろうお糸のキャラクタも弱い。
    ストーリーも山場がない。キャラの肉付けができていないから誰が誰かわからなくなる。
    話ごとに主人公が変わるパターンはよほどうまくないと物語の統一感がなく、何を書きたいのか不明確で混乱する。
    しかも語り手がみんな強情というか幼すぎて感情移入が出来ない。
    始末屋の仕事について描写が少なく、魔法のように着物が綺麗になってしまうのもリアル感が足りない。
    なんか全てが少しずつ劣っている感。

    シリーズ一作ということでこれから進化していくだろうか。
    高田郁の質の高さが明確になった気がする。

  • 初めて時代小説を読む中高生には最適。
    どぎつい表現もなく、エロいシーンもない。
    主人公格の親友の女の子や世間知らずのややオタクな若旦那、など感情移入しやすいキャラクターも多い。
    主人公自体はあまり出てこないし、中身もわかりにくいんだけれど、典型的カッコイイ系ヒーローだと思う。

    が、高田さんの紹介文で手に取ったシニア世代には物足りなく感じるのではないか。
    こぎれいにまとまっているが、インパクトが弱い。
    今、はやりの人情小話うんちく添えの江戸時代もののお手本をきちんとなぞっているんだけれど、それ以上のものではないのが残念。
    単に年齢の問題もあるかもしれないけれど、若者たちの性格があまりに子供すぎてちょっと苦手だった。

  • 女子向け時代小説 見ーっけ!
    みをつくし料理帖が好きな人は好きだと思うなぁ。

  • 凄腕の着物の始末屋 余一が絡む着物をまつわる騒動を描く連作短編集。人が着る着物を元に話が展開する切り口や視点は面白い。が、「しのぶ梅」以外はいまひとつ絡んでこない話が多い。着物についてもあまり深く語られず、職人として何がどう凄いのか伝わってこない。余一をミステリアスな存在として仕事など多く語られないので影が薄く、他のキャラたちもあまり存在感がない。話も中途半端な印象を受ける。視点や切り口は面白いだけに、もう少し物語やキャラに深みがあれば面白くなるのに残念な気分。もう一皮剥けて欲しいと期待してる。

  • また読むのが楽しみな時代シリーズを見つけられて嬉しい。
    着物の始末屋余一と市井の人々が織りなす物語。
    人が死ななさそうなのもいいな。
    余一を玉木宏で想像して読んでます。お糸は誰にしようか考えるのも楽しい。

全71件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

早稲田大学教育学部(講談社文庫初期の傑作『古典落語』を編んだ興津要のゼミ)卒業。横浜在住。2007年、第2回小説NON短編時代小説賞で「寝姿指南」が最終候補になり、08年、「素見」で小説宝石新人賞を受賞。若き町医者を描いた初長編『刀圭』と、受賞作を含む短編集『ひやかし』が好評を集める。祥伝社文庫既刊に『江戸の茶碗』『酒が仇と思えども』。著書に「着物始末暦」「大江戸少女カゲキ団」シリーズ、『うき世櫛』『御徒の女』『神奈川宿 雷屋』などがある。

「2022年 『吉原と外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中島要の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有川 浩
宮部 みゆき
西條 奈加
高田 郁
有川 浩
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×