ズルい言葉 (ハルキ文庫 さ 18-1)

著者 : 酒井順子
  • 角川春樹事務所 (2013年5月15日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758437356

作品紹介

「ある意味」「蟹を食べる時って、みんな無口になるよね」「どこか懐かしい」「普通」「もしアレだったら」…あなたもよく耳にしませんか?私達の生活の中には、その手の「ズルい言葉」があふれています。ついつい使いがちな責任逃れ語、曖昧語、紋切り語四十七に、エッセイの名手である著者が鋭くかつユーモアたっぷりに斬りこんだ好著、待望の文庫化。

ズルい言葉 (ハルキ文庫 さ 18-1)の感想・レビュー・書評

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  • 「どんなに面白いことでも、決して自分で笑って話してはいけません。 」

    「ある意味」「嫌いじゃない」「今度、ごはんでも」「どこか懐かしい」などなど、表現をぼかすことによって曖昧に責任を逃れようとする「ズルい言葉」が世の中にはあふれている。採集されたそれらの言葉への斬り込みっぷりが冴え渡る抱腹絶倒のエッセイ。

     酒井さんが聞きたくないという言葉のひとつに挙げられていた

    「蟹を食べる時って、みんな無口になるよね」

    この話、ヤバいです。

    <蟹を食べている時は、無口になる。従って、テーブルがしーんとする。これは、誰もが知っている蟹セオリーです。あまりにも周知の事実であるため、いい大人になってくれば、
    「もういい加減、そのことを言うのはやめようや」
    という暗黙の了解があったりもする。
    しかし中には、その暗黙の了解に気付かない人も、いるのでした。ものすごく気の利いた発見をしたかのように、
    「あのさぁ、蟹食べてる時ってさぁ、みんな無口になるよね!」
    と生き生き言われると、「どう反応してよいものやら」と困ってしまう。>

    「蟹を食べる時は、沈黙も調味料の一つ」という酒井さんの本音、即座に爆発。

    <「ただでさえ蟹を食べるのにイラついてるんだから、そのイラつきに拍車をかけるようなことは言わないでくれないかなー」とか思っている。>

      著者のエッセイが面白いことは言うまでもないのだが、なぜ面白いのかじっくり考えてみたところ、本書を読んで気づいたことがある。どんなに面白いこと言ってても、それを言ってる当の酒井さんは決して笑ってない。気がする。

     自分は馬鹿々々しいことナンセンスなこと(たとえば袋が意味も無く笑い続ける「笑いぶくろ」なんかもうツボ)に目がない。そういうものや出来事があると人にどうしても話したくなってしまう。ところがそれを人に話していると相手より自分が先にウケて笑ってしまうため、せっかくオチまで話しても相手に「全然面白くない」といわれることがしばしばある。

     その点酒井さんは、採集してきた言葉を真面目な顔して上下左右あらゆる角度から眺めて観察し、時には顕微鏡でのぞき、最終的にいかに面白い分析結果が得られようとも、それを決して笑うことなく読者に提供してくれる。分析結果そのものの面白さはもちろんだか、内容の面白さと酒井さんの決して自分から笑うことのない冷静さのギャップが、笑いにこらえ性のない者にとってはぐっときてしまう。うらやましいかぎりである。

     酒井さんのエッセイは、その淡々と冷静な語り口がかえって「お嬢ちゃんのたわごと」とか「上から目線」などと評価する向きもあるようで、好みの問題もあるかとは思うが、今を生きる老若男女なら読めばだれでも「あるある!」となる本書は酒井さん未読の方にもおすすめ。

  • ズルい言葉、、、意識的には使っていないつもりでも無意識に使うからこそズルい言葉なんだろうなあ。こんなに面白い本はうれしくなっちゃいますね。特に「蟹を食べるときの言葉」と「コラーゲンたっぷり」。私たちは日本語の本来の意味じゃなくてその裏にある微妙な思いを汲み取って会話しているのでしょうね。普通に考えれば何とも気苦労の多い会話だけど、実は本来の意味をそのままくみ取るがずっと大変なのかも。ズルいのも生活の知恵なのかなあ。

  • 本は、さーっと読み終えてしまったけど、、、、これは「ズルい言葉」なのだろうか?

    日本語の曖昧さの言葉のようにも、思える。
    「ある意味」の魔力も書かれているが、大阪弁の「儲かりますか?」に対しての「ぼちぼちでんな!」の様な、儲かっているのかいないのか?。。。。

    今の子たちに、意見を聞くと、「微妙!」と、答えるように、良いのか悪いのか?。。。。

    「今度御飯でも、、、」「今度お会いしたいですね」などの手紙文や電話などは、社交辞令の言葉である。
    毎年 年賀状の最後に、「今年こそ、お会いしたいですね!」の文章に対して、友人が、送って来た葉書に、「お会いしたいと、思いつつ、会わずに過ごして、年を重ねるだけの年賀状になるのでしょうか?」と書かれてきて、慌てて、どちらも連絡取り合い再開した事があった。
    本当に、「又、お目もじしたいです!」 「お会いできるのを鶴首しております。」 「ぜひとも、再会を 期待しています!」と、言う言葉も、言うのも、書くのも簡単だけど、現実にするには、皆忙しすぎるのか?、、、言葉だけのやり取りになっている事もある。

    「私の事好き?」「私の事嫌い?」 返答の答えは、「好きだよ!」の一つしか選択肢はないのであるという事。
    これは、曖昧さではなく、唯一の答えを導く質問である事に、気がついた。
    今は、女性でなく、男性が言うのかもしれないけど、、、、、。

    最後に、「ズルイ言葉」にしないで、『ズルい言葉』にした意図は何なんだろうと、思いながら、この本を、閉じた。

  •  世の中で使われている言葉に焦点をあてて綴ったエッセイ。
     言葉の使われ方にはとても興味があるので、とても楽しんで読めた。言葉の裏にはいろいろな気持ちが隠されているものですね……

  • 言葉の使い方についての、とっても鋭くて清々しいエッセイだった。面白かった!どの節の内容も、他人だけじゃなく自分にも当てはまる「ズルさ」だと分かってるからこそ、この容赦ないツッコミがいっそ気持ち良く感じられるんだろうなって思った。隙のない言葉遣いをするのって難しいけど楽しい。

  • 面白かった。読みながら、やっぱり日本語って難しいなぁ…って思った。『ズルい言葉』は、いっぱい使ってる気がする。ちょっと、自分の言葉を意識してみようかなぁ。

  • 読んでいて自分も「ズルい言葉」を使っていることに気づく。無意識で使っていることも 多い。これからは気をつけようと思っても、きっと使ってしまいそうな「ズルい言葉」の数々。無意識に使っている言葉について考えるきっかけとなった。

  • マイルドなナンシー関。

  • 思ったより毒舌が少なくて物足りなかった。けど、言葉を考え直すのは楽しい。日本語って誤魔化す言葉が多い...

    お気に入りの件りは、「なかなか」と「一定の」。
    今後控えようと思ったフレーズは「本当ですか?」と「みんな」。

  • 確かにずるい言葉ってあるな~と、おもわず購入
    小賢しくてなんだか嫌なずるさ(狡猾さというのでしょうか?)とは違って、
    なんかお調子者で憎めない感じのずるさ、もぉ~っ!と言いたくなる類の言葉

    “「全て、自分の選んだものでないとイヤだ」というアラカルト派の方が、
    もしかしたら肝っ玉は小さいのではないか、とすら思えてくるのです。”
    自分で選ぶことへの執着がとても強い私にはドンときました
    確かに私は肝っ玉が小さく、予期せぬことに弱いので、妙に納得

    望む望まないに関わらず起きたことを受け入れられたらなんだかかっこいいな~
    と思いつつ、かっこいいと思っている時点でそこまでまだまだ距離があると痛感

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